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今日はなにいろ?

人間失格 太宰治

2012-11-02 10:52:06 | 読書感想文
喫茶店で時間を潰すため、本を買おうと本屋へ向かった。
最近本を読んでない。
最後に読んだのはいつだったか覚えてないほど。
スマートフォンを使うようになってから読書の習慣がなくなってしまった。
気がつけばスマートフォンをいじっている。
かと言って電子図書は自分には不向き。
ネットのニュースに時間を費やす日々。

古典が読みたくなった。
「銀河鉄道の夜」とか。

目に留まったのは太宰治の「人間失格」
未読。
値段も安いし、薄いし、時間つぶしには丁度いい。

と思って読み始めたのだが。
時間つぶし、とは大変失礼な言葉でした。
夢中になって読み漁った。
こんなに読書が楽しいと思ったのは久しぶり。

悲惨なのだがどこかコミカル。
「解説」で津軽の民族性に影響があると言う一文を読んで、なるほど。

本にマーカーでしるしを付ける人がいる。
そう言う習慣はないのだが、思わずマークしたいと思うほど、納得、と言う文章があった。

「私」が友人から「世間がゆるさないからな」
と言う言葉を投げかけられた時。

「世間と言うのは君じゃないか」と言う言葉が舌の先まででかかった…。
と言う文章。

うーむ、なるほど、これは今でも、さらにはどんな状況でも通じる言葉ではないだろうか。

テレビのコメンテーターが
「世間の人はそれを許さないでしょうね」とか、
親兄弟がしたり顔で
「世間じゃ通用しないよ」
と言ったり。

そうだ、そうだ、世間が~と言う言葉は言っている本人のことじゃないだろうか。
まさにその通りだと思わず、その文章に線を引きたくなったのだ。
まあ、線は引かなかったけどね。

それ以外にも読んでいて、頷けるところが多々あり。とても「世間」じゃまともに見られない主人公であるのだけれど。

そして最後、思わずジーンと胸が熱くなる。
主人公のことを語るバアのマダムのひとこと。
「神様みたいないい子でした」
本を読んで胸がジーンとなるなんて、ほんと、久しぶり。
次は「斜陽」を読んでみよう。



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