イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

吸う気にもなれず

2008-04-24 18:31:34 | アニメ・コミック・ゲーム

総合病院の、通院部門を“外来(がいらい)”と呼ぶの、だいぶ前から思っていたんですが失礼じゃないですかね。

いや、失礼とは言わないまでも、あまりにも愛想がないというか。病院としては、入院して院内に寝泊りしている(させられている)患者に対して、まさに院の“外から来る”患者という概念で、何の気なしに呼びならわしているんでしょうけど、なんだか最近悪評嘖嘖たる“こーきこーれーしゃ医療制度”みたい。

”で働いたり通学したりそれなりに生きている人が病院へ“”るのは、診察であれ検査であれ救急であれ、ご家族の付き添いや介助であれ、“まかり間違っても好きこのんで、来たくて来たくて喜び勇んで来るわけじゃない”“苦痛に耐えかねて不承不承仕方なく、武運つたなく無念の涙をのんで(大袈裟か)来ているのである”ってことへの配慮と思いやりが、微塵も感じられない事務的な言葉だなあと思うわけです、“外来”

各地の、特に公立病院や大学病院で、いつまでたっても“待ち時間のいつ果てるともない長さ”や“医師以下、看護師や事務方の無愛想不親切スパイラル”に関する不満苦情が絶えないのも、“外から来る患者だからガイライ”という、味も素っ気もない思考が根底にあるからじゃないでしょうか。

“外”と“内”という区分は、主体をどこに置くかで決まってくる。この場合、病院側の人間が、自分らが居て組織して衣食のタネにしているテリトリーを最初から“ウチ”と決めてかかって胡坐かいて微動だにしない姿勢が、コロモの下のヨロイの様にちらつくから、患者としては常にではないけど随所で「…あれ?」「おい!」という気分にさせられるのだと思う。

お医者さん看護師さんスタッフの皆さんにとっては、当該病院も医療界全体も、このご時勢に少なくとも薄給ではない給料がもらえ、ボーナス諸手当もそれなりにもらえ、最新知識を摂取し職場ロマンスのきっかけもあり、ご家族ぐるみの福利厚生優待もあり、勝手知ったる居心地良い場所に違いない。しかし“外”から“来”る患者にとっては、“こんな所にこんなに時間を割いて、交通費もつかって来ないですめばどんなにいいだろう”と恨めしい、いまいましい場所なのです。

もう10年以上前ですが、久米宏さんの『ニュースステーション』で、多胎妊娠だか異常分娩だか、とにかく産婦人科医学分野の話題を専門家をゲストにフリップ図解しながら解説した日があって、「久米さんは再三、膣口のことを“口”“口”と言及されていたけど、あれは“口”です」と、特に既婚女性視聴者から抗議と訂正要求の電話が殺到した…なんて話もありました。

まぁそんなことはどうでもいいけど、どうなんだろう。“外来”じゃなく“在宅”患者じゃいけないのかな。なんか、“世の中はオレたち私たち医療界を中心に回ってる”みたいな、天動説的な思考をやめて、“病院にも医療にも縁なくそれぞれの家族とともに職業や趣味や生活を全うするのがいちばん幸せであって、来院する人は来院の時点でもれなくなんらかの敗北感と不幸感を背負って来るのだ”という、患者の身になった惻隠の情が全面にあふれた呼び方を考えてもらいたいと、切に願うものです。

そう言えば、昔、谷村新司さんたちアリスが歌っていた『狂った果実』の2番の歌詞♪ ポケットで折れていたハイライト が、何度聞いても 保健所(ほけんじょ)で漏れていた外来の に聞こえた時期がありました。てっきりその、クチで…えっと何だ、オーラル行為の結果、性感染症に罹っていろいろあせった、みたいな、陰惨ポルノチックなストーリーの歌詞だとばかり脳内翻訳。……この話、前にもここで書いたかな。

さて『花衣夢衣』は第19話。一昨日の17話でいより(田岡美也子さん)が澪(尾崎由衣さん)に将士(眞島秀和さん)の写真(←コレ女の子がいきなり見たら引くだろってぐらい首上だけド正面の、証明写真拡大モノクロ版というか、“生前笑顔の少なかった人の遺影”みたいのが、表紙開いたらドーンとこっちを細目で睨んでるという。気の弱い子なら泣くかも)を見せて「年はあなたより三つ上の23歳」と言うのを聞いてちょっとびっくり。眞島さん(実年齢31歳)の将士、267にはなってそうなたたずまいに見えたもので。

真帆(尾崎亜衣さん)の求婚固辞の理由をなんらか察してやれないところ、もう一度会ってくれと「凍え死んでやる」脅迫まがいに雪の河畔で立ちんぼしたりする弁えのなさなどは、確かに“若さゆえ”と絵解きするのがいちばんシンプルだったのでしょうが、眞島さん持ち前の考え深げで悲愴な空気感のせいもあり、どうも“ガラに似合わず”感がここまでのところ強かった。そうか23歳だったのか。

『仮面ライダーキバ』の世界観で言えば、1986年時制の紅音也(武田航平さん)と同い年です。あーーそりゃ女に惚れたら無鉄砲だわ。空気読めないわ。なんだ、こう考えるとやけに腑に落ちるな。

設定の昭和28年に23歳なら、昭和4年か5年生まれ。月河の実家父や伯叔父たちとほぼ同世代で、兵役召集には若年過ぎひっかからなかったものの、10代半ばからの中等教育以降は戦争でいちばん混乱直撃された世代です。呉服屋のせがれ、しかも長兄は早世(戦死?)したらしくもあり、将士は最終学歴どのへんまで行けたのだろうか。大学は志望したのだろうか。入学して全うできたのだろうか。この年代、特に男性は、多かれ少なかれ高等教育に関して「もっとやりたかった」「世が世ならやれたのに」という残念感、不完全燃焼感を引きずって大人になった人が多い。

戦後の荒廃→がむしゃら復興期に嫁取り好適年代を迎え、いちばん浮わつきたかった青春期の盛りを“意に反して無駄にされた、もったいなかった”無念がやはり影を落としたはずです。「せめて結婚ぐらいは、親や世間の言うなりではなく、自分が心から好きになった人としたい」という気持ちは強かったのではないかな。

今日19話では、先頭に立って将士と澪をくっつけようとしていたいよりが、澪母=和美(萩尾みどりさん)の身上を「旦那さんが亡くなる前から画商と通じていてメカケになった女」と調べ上げ、「金沢で修業している双子のお姉さんも男に狂って大変だったらしい」「あーあ失敗したよ」とこれまたずかずかと破談に。

「真帆、キミはなぜボクの愛を拒んだ?いつか後悔させてやる」と陰にこもってた将士、これを聞いて「真帆さんは自分の母親のそういうふしだらを恥じて拒んだのか、そうだったのか納得」ぐらい想像できないかな(違うけど)。

先立って、澪との見合いの後、真帆(尾崎亜衣さん)の本心を尋ねに金沢の工房に押しかけた将士、いっそ玄関先で止めに出た安藤(長谷川朝晴さん)が将士の粘着嘆願一部始終を聞いて「沢木は子供が産めないカラダなんだぞ!だからキサマと別れる決心をしたんだ、ガタガタ言うなおととい来やがれ!」って言っちゃえばよかったのに。真帆がいちばん傷に思う“子供が産めない身体(しかも原因はレイプ妊娠中絶)”、心ある人はクチにのぼせず、彼女に良かれと思って胸にしまっておく。心なく悪意ある伯母なんかは他人の前でもびゃーびゃー暴露しちゃう。

心やさしく思いやりある人が、自分さえ良ければいい人、自分に都合よくない相手は恨む憎むキレる、エゴい人の被害者になるという皮肉な図式が続いています。

それにしても解せないのは呉服屋女主人いよりの狭量。せっかく澪の仕立て仕事ぶりから誠実さや裏表のなさを汲み取ったのに、“母親がメカケ”だけで破談とは。

女性の色気や虚栄心を煽ってなんぼの呉服店なら、そういう立場の女性も少なからず顧客にいるはず。いより自身は戦災死した夫に代わって2人の息子(うち1人は病弱)を育てつつ商売を建て直してきた根性の女ですから、世間で言う“妾”=金満男に囲われの女とは思想が相容れないには違いない。しかし“前近代の残滓濃厚な敗戦国日本で、女が生きて行く身過ぎ世過ぎの様々な有り様”にいちばん理解があるべき稼業のはずです。

顧客の中でも堅気の商家や、勤め人の夫人・子女なら“水商売やお妾衆が贔屓にする店”で着物を買うのを嫌がるかもしれない。しかし呉服商売って店頭にお客さんを雑多に来店させて買わせるものじゃなく、似合いの色柄や価格帯の商品を見立てて持参訪問する言わば“外商”がメインじゃないのかな。あちらの奥方にはいつ何日頃コレを、あすこの小唄師匠には旦那が泊まって御手当くれた後のいつ頃コレを、みたいな仕切りは、やり手女主人ならお手のものだろうに。

ま、金ずくの商売と、息子の嫁選びは別だってことかな。娘は娘時代にはひとりの娘でも、人の妻となり子の親となり中年になる頃には、いつの間にか“自身の母親が子の親となった頃”に似るもの。将士と結婚するのは真帆でも澪でも前途多難そうです。

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そうなっちゃいます?

2008-04-22 23:27:01 | CM

ChupaChups(チュッパチャプス)”50周年キャンペーンCMがとてもいいですね。思わず検索かけてストリーミング動画で3ヴァージョン見て、壁紙もダウンロードしてしまいました。

リプレイしてよく見ると“LOLLING STONES(‘ROLLING’にあらず)”がマイク持って腰振ってたり、月面にロケットが着陸、って言うかぶっ刺さったり、インベーダーゲームのようなクラゲくんが浮遊したり、ベルリンの壁が打ち壊されたり、1958年誕生から今日までのいろんな歴史的イベントが盛り込まれているようですが、色づかいとか、キャラのデザイン、アニメーションの流れ方や速度がとても懐かしく、“ザ・アニメーション!”という感じ。白黒テレビの時代にもああいうCMがあったような気がします。

TVCM、嫌悪派ではなくどっちかと言うと愛好派の月河も、最近のCMはちょっと方法論的に行き詰まりかな?と思うことがあります。①想定ターゲット年代層に好感度の俳優さん・アイドルをフィーチャーしたり②大画面ハイビジョンTV普及を追い風に映像美やCGテクニックで魅了したり③既存・オリジナルのキャラクターを前面に出したり④耳に残るユニークなフレーズや有名アーチストの曲タイアップで“耳”から攻めたり…といろいろやってますが、正直、“凝れば凝るほどスルー”という感が否めない。

「こういう商品を買う人は、このタレントのファンが多いと分析されてるわけね、なるほど」という豆知識にはなりますが、最近のCMって、すげー映像!いい曲かかってる!すげーメジャーな人出てる!んでなんかおもしろい芝居!うはは笑った……で、何のCMだっけ??ということのほうが多いのです。

そんな中、♪ チューパチャプスィズ マローリポッ、 チューパチャプスィズ マローリポッ というあの単純なメロディが耳を惹きつけるし、絵もあの通りとてもシンプルでレトロ。CM大量出稿の2400台でも際立って新鮮でした。何年か前『トリビアの泉』で知った、ChupaChupsのおなじみのロゴはシュールレアリスムの巨匠サルバドール・ダリ画伯のデザインになるという話も思い出しました。

それにしても、50年ですか。若い衆にも自信を持って「生まれる前からある」と言えるアイテム、それもお菓子、少なくなりましたからねえ。日本で発売されたのは1977年だそうですが、月河が物心ついてから、絵本や漫画に出てくる“主人公(=小学校低学年想定)とは一緒に遊べないぐらい幼い幼児”や“ちょっとおバカな甘えっ子”は記号としてあの形の棒つきキャンディを手に持ってペロペロしてた記憶があります。

月河はその、まさに“学童期のお兄ちゃんお姉ちゃんがウザがる幼児”期に、虫歯をダカツの様に嫌っていた実家の親の方針で飴モノ、砂糖モノは縁が薄かったのですが、当時“欲しいんだけど買ってもらえないアイテム”定番だった不二家の紙製棒つき“ポップキャンディ”はもう廃盤になったのかな。

50周年と言えば、東海テレビ開局50周年記念番組でもある『花衣夢衣』です。第17話、ここまでどうも将士(眞島秀和さん)と真帆(尾崎亜衣さん)のなれそめに、「そりゃ惹かれるだろう、離れ難いだろう、かわいそうに」と自然に思える要素が少なく「え?」「そうだっけ?」「そうなっちゃうの?」と押っつけ押っつけな悲恋展開、確かに02年『新・愛の嵐』や03年『真実一路』、04年『永遠の君へ』『愛のソレア』辺りは、狭い人間関係の中でも「こういう2人ならもう惹かれ合うしかない!」って納得性があったんだけど。

前に「このドラマで“写真”が出て来たのは将士に母(田岡美也子さん)が見せるお見合い写真と双子父・圭二郎(長谷川初範さん)の遺影だけ」と書きましたが、そう言えばもう一葉、万平(斉木しげるさん)と圭二郎の学帽姿&女学生和美(萩尾みどりさん)の3ショットスナップがありましたね。3人とも推定大正生まれ、撮影時は昭和初期と思われ、婚約中でもない未婚男女が親しく並んで歯を出して笑っているくだけた写真はちょっと時代に合わないかとも思いますが、万平息子・俊彦(吉岡毅志さん)が父親たちの秘めたる事情を知るために必要だったのだろうな。

今日17話では将士が初めて母から見合い候補の澪(尾崎由衣さん)の写真を見せられて、別れを告げられた真帆にそっくりで動揺…という描写がありましたが、ここまで来ると今度は“電話”の無さがおもしろい状況を呼んでいる。連絡手段は、返事が来るか、それ以前に相手の手許に届くかどうかも覚束ない郵便の手紙だけ。この距離感が、“別にこの相手にそこまで…”レベルの恋愛感情に油を注いでいるってことはありそう。早い段階で将士が「結婚し子供を育てて」と真帆の弱点をピンポイント衝いてきたのも、真帆を切ながらせる上で大きかった。

真帆が結婚をあきらめ恋愛を封印し、澪も真帆への罪悪感から見合いを躊躇する、花の盛りの娘たちの将来に暗雲をもたらした張本人にして母親・和美(萩尾みどりさん)の、俯仰天地に恥じるところ無さが見ものです。修業ひとすじの真帆のためには勘当された実家を訪問、姪の婚約祝いに当時は庶民にとって高級品の電気洗濯機を贈りかたがた縁談を依頼。見合い話が持ち込まれた澪には着物を見立てる。もちろんなしくずしに内妻として同居している万平(斉木しげるさん)の財力が裏付けです。

娘ざかりの真帆と澪にないもの、言わば“恋愛体質負け”せずに世間を泳いで行くパワー、ある意味“女”の極北を見る感じ。熟女フェロモン系の女優さんではなく、ポーラテレビ小説『わたしは燁』出身、質素に清らかに耐え努力する女性を得意としてきた萩尾さんが演じていることで、ちょっと独特に迂回した、「…オンナって怖い」と思わせる説得力があります。

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表参道軟派ストリート

2008-04-21 00:23:57 | テレビ番組

先週17日の午後、滅多にないことに在宅の高齢家族から、携帯にメッセージがありました。

「いま市内南方にいるか?(←出かける前そう言って家を出てきた)」。何事かと思って折り返しすると、「○☆局(←テレビ朝日系ローカル。市内南地区の駅付近にあり)の近くにいたら足を伸ばしてみよ」何で?何か事件?人質立てこもりとか?もちろん月河の携帯はぷりコールで、ワンセグもネットも見られません。

『相棒』劇場版の宣伝で、右京さん(水谷豊さん)と亀ちゃん(寺脇康文さん)が夕方の情報番組にスタジオ生出演するといまTVで告知してる。いま○☆局の玄関とかに行けばナマ局入りが見られるかも」

……どんだけテレビっ子だ高齢家族。市内南方って言っても、ウチの市内は南がさらに東西南北あるってぐらい広いのよ。クルマじゃないから言われて即移動できないし、荷物も現金も預かってるし、そもそも遊びで出かけてるわけじゃないし。

それにしてもリタイア後の高齢家族世代で、『相棒』の支持率は驚異的ですね。ウチのなんかは、放送期間中、同年代の高齢お友達と長電話の半分は『相棒』の話題だった気がする。

わかりやすくてテンポよくおもしろくて、演技のうまいユニークな俳優さんが出て、1話見逃しても脱落しない実写TVドラマが見たい、でも『水戸黄門』『京都迷宮案内』ほどは緩くないのがいい、っていうニーズに、ちょうどいい受け皿みたい。

30年前なら『太陽にほえろ!』、25年前なら『西部警察』『特捜最前線』のポジションでしょうかね。

水谷豊さんと言えば何と言っても『傷だらけの天使』でショーケン弟分、寺脇康文さんと言えば『ジェラシー』で黒木瞳さんのサイコDV 夫か、いっそ『オレたちのオーレ!』ぐらいが主要イメージな非高齢組にはちょっと意外なものがあります。

夜、帰宅してから聴取したところでは、確かに告知通りの情報番組に水谷さんと寺脇さん、劇場版監督の何タラ言う人(←月河が調べて和泉聖治さんと判明)が出て、情報番組の女子アナキャスターなどは緊張と感動で噛んだり泣きそうになったりしてたそうですが、「何時間も前から告知して、新聞ラテ欄にも載せて大騒ぎして、番組冒頭から引っ張って引っ張って、右京さんと亀ちゃん映ってたの正味5だった」とのこと。「時計見て測ってたから間違いない。5分ポッキリ」…測ってたのかい!それは、右京さんと亀ちゃん、もとい水谷さんと寺脇さんが悪いのではなく、○☆局情報番組の仕切りが悪いんでしょうよ。

高齢家族の話では、水谷さんはいつものスーツにオールバック、寺脇さんもいつものエンブレムつきブルゾンで、ちゃんと“杉下右京”と“亀山薫”を“演じて”くれつつ映画についての一問一答に応じてくれていたとのこと。水谷さんはキャラ設定下のインタヴューに慣れてなかったのか(あの世代の役者さんでは慣れてる人も少ないと思いますが)終始若干キョドり気味だったけど、寺脇さんはカメラ目線で滅法愛想がよかったそうです。正味5分のケチ出演も、役者さんへの好感度は落ちなかった様子。

劇場版、51日公開らしい。「観に行きますか?」チケット予約とかするっつったらウチじゃ月河しか担当いないじゃんよ面倒くせえな、と思いきや高齢家族「しんどい」。

DVDレンタルに出たら借りてくるように」とのお達し。あーよかった。でも『踊る大捜査線』『ショムニ』『ケイゾク』などTVで当たれば劇場版”って商法、もう飽きられ街道行き止まりだろうに。

 ゴールデンのドラマはどうでもいい月河の目下の関心は『花衣夢衣』

15話まで見ていて改めて思うのは、“写真の時代じゃなかったんだなあ”ということ。

15話中、“写真”というものが登場したのは、将士(眞島秀和さん)に母(田岡美也子さん)が見せた釣書つきの深窓令嬢お見合い候補、あとは双子父・圭二郎(長谷川初範さん)の遺影のみ。東京と金沢、互いに案じあいながら離れて暮らす真帆(尾崎亜衣さん)と澪(尾崎由衣さん)も、一緒に写った写真を大事にしまってはいない。真帆が父の遺作となった姉妹の晴れ着肖像を持っているだけ。

昭和28年。人生よっぽどのことがなければ、顔のわかる写真なんか撮らなかったし、持たなかったし、人にも見せなかったんだなぁ。

真帆(尾崎亜衣さん)が初恋の相手を澪(尾崎由衣さん)に、あるいは将士母が息子を澪に、同じく「私が気に入った娘さん」を息子・将士に、将士が病弱の弟・祐輔(『仮面ライダー555』西洋洗濯舗溝呂木賢さん)に、「どんな人?」と疑問が発せられて「こんな人」と写真が提示されることはない。現時点で見せられれば、見ておけば、事態の進展も収束ももっと簡単かつ迅速なのに。

双子姉妹と将士ら関係者がこれからはまる地獄は、ひとことで言えば“事前に写真がない”ことがもたらす悲劇とも言える。

2008年のいま、「どんな人?」の問いあらば、もれなく写真がついてくる。ちょっとした上半身写真ぐらい、撮るツールは誰もが持っているし、そこらじゅうにある。問いを予想しない局面ですらも、誰もが誰もの写真を撮る。

もちろん撮影機材の進歩、簡素化廉価化、大衆化が大きいのでしょうが、いつから日本人は“写真、なかんずく顔写真”こんなに大好きになったんでしょうか。

さて本日は皐月賞。ジンカーズのどっちか似の川田将雅騎手キャプテントゥーレ逃げ切り勝ち。2着タケミカヅチ、ここへ来て社台の勝負服ワンツー。1番人気マイネルチャールズ3着、老雄ブライアンズタイムも08年さすがにここまでか。月河の贔屓フサイチアソート・フローテーションの甘系カフェオレ栗毛コンビはどこ行ったかな。

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グズ、早くしろ、ヘタクソ

2008-04-20 00:31:25 | アニメ・コミック・ゲーム

昨日(18日)の午後、出先で、別に「ウチで留守録中の『花衣夢衣』はもう録れたかな?ミスないかな?」と考えながら歩いていたわけではないのにもかかわらず、いつもの外回りコースと違うバス通りで“京呉服 よねや”の看板のお店を見つけました。“や”を漢字の屋にしたら、将士(眞島秀和さん)の実家・羽嶋家と同じ。お寿司屋さんの幸寿司、福寿司と一緒で、呉服屋さんにはよくある屋号なのかしら。思わず15話終わりの澪(尾崎由衣さん)のように、“中にはどんな人が?”みたいな姿勢で覗き込んじゃいました。

同じような状況で、“ドラマと同じ名前のお店”に行きあったとして、呉服じゃなく洋服・洋品やアクセの店だったら、十中八九覗くだけじゃなく店内入って見てましたね。あまつさえノリで何か買ったかも。高額かつ“見ても良さがわからない”ジャンルの代表=呉服のお店でよかった、のかな。

帰って勇んで見たその『花衣~』第15話、途中CMを挟んでの後半は、傷物の心身ゆえ将士への恋心を断とうとする真帆(尾崎亜衣さん)と、玉の輿の縁談に姉への遠慮で動揺している澪との、探り入れたり抱いたりさすったりの綱引き合いオンリーで焦れったいだけでしたが、前半、真帆と生き写しの澪を初めて目の前にして、一瞬戸惑う安藤(長谷川朝晴さん)の表情がとても良かった。

安藤は真帆をひそかに想っていますが、自分が友禅職人としてまだひとり立ちできていないことと、真帆がそれに輪をかけて発展途上で、才能はあるけど男からコナかければ動揺挫折してしまうのが一目瞭然、同じ友禅の道に精進する先輩として、志高く見込みある若い者を潰したくないのとで、感情に封印かけています。友禅という至高の技芸を目指す地平においては、安藤の中で男も女もないわけ。ここがまずカッコいい。

そこへ3年前「姉の真帆を弟子にとってやって下さい」と師に泣いて頼んだという妹が訪ねて来た。想う真帆と、顔かたち外見は瓜二つです。入室したとき一瞬「…え?あれ?」の表情、でも安藤にとってはあくまで“真帆を強引に弟子入りさせて、出会うきっかけを作ってくれた人”。当然と言えば当然ですが、想ってもかなわない(と彼は決めている)真帆と、顔が同じ澪を見ても、彼の想いも決意も微塵も揺らぎません。ここでさらにカッコいい。

私見ですが、異性に好意をもつ時「好みの芸能人や売れっ子アイドルに似ている」「元彼・元カノや初恋の人に目元クチモトがそっくり」なんてのを手がかりにする人は、惚れ方も人間性も浅い気がする。

“想う相手と顔だけそっくり”な人と相対した男のリアクションって、安藤のような対応こそノーマルで正当だと思う。実は澪の見合い話の相手は誰あろう真帆に一目惚れの将士その人で、口外できない事件の傷ゆえに真帆に断られた将士が、真帆と顔だけは同じ澪と引きあわされて、真意と誠意が問われる今後のお話になるのですが、昨日15話の段階で安藤が“言葉に出さない誠意と忠実さ”を真帆・澪、両方顔を揃えた場面でちゃんと示していることが興味深い。安藤、ポイント先取です。

このドラマ、真帆と澪の双子姉妹の運命の絡み合いと見せて、さりげなく将士と安藤、個性も境遇も違うふたりの男性のバトルの側面も持っているのではないでしょうか。とかく女のバトルになりがちな昼ドラだけれど、昭和風味“和”ワールドに生きる男2人のせめぎ合い、『仮面ライダー』『スーパー戦隊シリーズ』でおなじみ“カッコいい男同士の対決もの”愛好者の月河としては、これまた大歓迎です。

もちろん、この場合、変身しなくても許す(当たり前だ)。

「身を引くことで示せる愛もあるんですね」「私も、愛する人の幸せが自分の幸せだと思えるようになりたい」と真帆が言ったときの安藤のなんとも言い難い表情。将士を思い切ることでいっぱいいっぱいの真帆には察してやれと言っても無理かもしれませんが、恋愛感情というのは視野狭窄なので、しばしばおもしろいくらいきれいにすれ違う。

一方、縁談について真帆に遠慮しながら、相談しようかしまいか迷いつつ金沢に訪ねてきた澪は、初対面で安藤を「親切だけれど、すべてを見透かされているみたい」と看破しました。不幸な傷を負った姉もどうにかして女の幸せを掴んでほしい…と願っている澪には、姉の身近で、厳しくも温かく見守ってくれているらしい若い男性の気持ちが直感できるのでしょう。CM明け真帆の部屋で「ねえ、さっきの人…」と、安藤の印象を姉に切り出す口調は、双子姉妹ということを抜きにした若い娘さん同士の会話なら、暗に「お似合いよ?候補に入れてみない?」を促す甘酸っぱいニュアンスでした。

澪にわかることが、真帆にわからない。真帆が痛感することでも、澪にとっては想像するだけ。「真帆はもうひとりの私」「澪はもうひとりの私」と、事あるごとに2人で確認し合っているうちは、双子独特の濃い結びつきもそれなりのものですが、逆にすれ違い、離反することでより強く鮮烈に浮かび上がり、むしろ離れたいのに互いを縛るようになる。むしろこうなってからのほうが“双子もの”物語の真骨頂でしょう。物語を動かす種は順当に蒔かれつつあります。

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andターン andリバース

2008-04-19 00:35:20 | アニメ・コミック・ゲーム

『爆笑オンエアバトル』172440~)、新年度3週目の回を録画視聴。

初見ではうわぁ…と思った金ピカ王朝風・多色イルミネ使いのステージセットも少し見慣れてはきました。

計量前の新MC小松宏司アナ「楽しく笑って厳しくジャッジする『爆笑オンエアバトル』」。このマクラは実にNHKらしい。

前年度4勝め以来、一気にチャンピオン大会狙って来るかな?の期待もあったノンスモーキンが、2489kbと高評価だったわりには内容はちょっと薄味だった。「レッツ!」「追試!」のあとたたみかけるように盛り上がるかなと思ったけど、菊池の“受験生徒ひとりなのに後ろにひとクラスいるつもり”を引っ張り過ぎた感も。

菊池の白シャツ見て思ったんですが、やはり上着の下、胸にデカデカと“”と大書したシャツを着てきて、中尾生徒が「あれ?数学の中村先生は?」に「見ろ、私だってコレだ」と上前を開き「書いとかなきゃわかんないってどんだけ存在感薄い教師だよ」ぐらいの出インパクトがほしかったですね。

しかも“教”のツクリの“孝”がさりげなく“考”になってて、中尾生徒「しかもあからさまに誤字って」菊池教師「よし!そこに気がついたら追試、現国は免除だ」生徒「小5の漢字っすよ、それに数学の追試だし」みたいなね。

彼らの可笑しさってしゃべくりメインではなく、アンジャッシュのようなシチュエーション重点でもなく、豊富な持ちギャグで連打連打が売りのタイプでもないので、やはり強烈なキャラを冒頭にドンと出して欲しい。また、どんなキャラ設定にしてもそれなりに塗って来れる“地”の透明感、白地感が魅力でもあると思うので。このネタ、この演りで489kb取れるということ自体、好悪が大分かれせず、オンバトの客に総じて歓迎されている証拠。これは諸刃の剣ですが、七:三で有利です。

いつもの感じで安定していたラバーガール3457kb。「冷蔵庫ん中見て来るわ」「冷蔵庫には誰もいないと思うよ」からどんどんトンデモ振幅が大きくなる作りはもう堂に入ってますな。

毎オンエア感心するのは、大水の非常識ボケがどれだけエスカレートして行っても、飛永のツッコミが一定以上高テンションにならず、絶対“アタフタ”“激怒”“キレ”モードにならないこと。これが大水の“ボケてもボケても一貫して両棲類顔”以上に、彼らのコントの品質を保証している。

一方、ツッコミがアタフタしてキレる芸風の代表・ランチランチ4393kbは、営業マンネタ途中で海野が「先輩と上司」と言い間違えなかったらもう少し玉入ったかな。あまり変わらなかった気もするな。

部長刑事張り込みネタで藤崎の“ヘラってるほうが部下”はもう見ているので、「はいっおはよー、じゃねさっそくね…」と偉そう芝居が始まった段階で速攻読めてしまう。また、「ほらほら来る、例のアレ、来た!」とおなじみお約束感を楽しめるような類いのネタでもない

今回は、2連敗から一気の1493kb LLRと、同じく3回目の挑戦で初オンエア5385kbぼれろ、新顔2組が新鮮でした。15位、108kbというほどの差は実質無かったと思う。LLRはやはりここまで未オンエアの緊張のせいかちょっとつかみから駅伝話に入るつなぎや細かいところがギクシャク固かったし、ぼれろは逆に上っ滑り空回りしかけたところもあったけど、両者よく踏ん張った。3度目の正直、是非オンエアされたいとかなり練習を積んで来たことが窺え好感が持てました。

LLRの冒頭、伊藤の10人兄弟話は、もし使ったとしたらヒカリゴケ6365kbオフエア)の叔父甥話からだいぶパイを切り取ったんじゃないかな。コンビ名が、90年代に『Bye』『Day by Day』などを歌っていた黒沢兄弟らのユニットLRを思い出させますが、ぼれろ共々、最近の若手くんたちはネタ中で積極的に歌うなあ。

新年度第一週は気がつかなかったのですが、冒頭のアナウンス「ボールを入れる基準は…」が「…この笑いを、全国に届けたいか否か」から「ネタがおもしろいか否か」に変わっていました。意味としては一緒なんでしょうけど、微妙にもったいない。何と言うか、番組のスピリット継承に悖るような気がするのです。

少なくとも01年に月河が審査員一度だけやった頃は、お笑い好き素人の集まりと言えども“使命感”“責任感”のような空気は客席にありました。自分がこの玉一個入れるか入れないかで、おもしろい芸人おもしろいネタが全国の視聴者にご披露できずに終わったり、逆につまらないネタが放送に乗ってしまったりするかもしれない。新アナウンス文言通り「自分が笑えれば入れる」「オレは、ワタシはつまらなかったから入れない」というスタンスは、お笑い観客たるもの結局はそれでいいのですが、それじゃ玉入れる/入れないが審査を伴わない一般の公開番組の、拍手や歓声やブーイングと一緒の意味になってしまう。

さりげないけど“ネタ”って言葉をNHKも当たり前のように使うようになった、これも大袈裟に言えば隔世の感あり。

ハマカーンのオチ前スタッフミス暗転で棄権という、いかにも年度替り担当替え直後らしいアタフタ感あふれるアクシデントも今週はありましたが、びっくりしたのは本編後の“オンバトヒーローズ”コーナーに登場したダンディ坂野

04年ぐらいからのピン芸ブームを基準にすると“生まれてくるのが早過ぎた”ひとりかもしれないけど、おかげで波田陽区レイザーラモンHG風に“公開人体実験の如く衆人環視の中で磨耗し去った”イタさは免れた人でもあります。

それにしても白スーツで「ライドオン!ゲッツ!」しながらカメラの前に登場すると、怖ろしいばかりの“現役感希薄さ”。なんか、“かつてコメディアン(←‘ピン芸人’よりこちらのほうが似つかわしい人でもある)やってた洋菓子喫茶オーナーが昔を語る”みたいだった。出の「ゲッツ!」も、その昔を知らない若者たちにこんなんだったんだよとなぞって教えてるようなテンション。

「あなたにとってオンバトとは?」→「“現実”」「誰も落ち(オフエア)ようと思ってやってるわけではない」って、リアル過ぎ真っ当過ぎ。いっさいトークで笑い取る気もない様子。

リプレイされていた朱赤総ラメパンタロンスーツでのオンエア時は、227勝のうちいちばんブイブイ言わせてた頃というチョイスでしょうが、036月。余勢を駆って?『特捜戦隊デカレンジャー』でオズチュウ星人イーアルに扮したのが1年後の046月。そしていま、084月。そんなに昔のことではないんですけどね。まさに駆け抜けましたね。

「では、次回挑戦するのは、この10組です!」ってジャンクションしてくれてるのが、なんとも生木を剥がしたような距離感で少し物悲しかった。こうなると、逆に真っ白に燃え尽きて跡形もなくなるってのも、芸人としてひとつの幸福かもしれません(“逆に”って何だよ)。

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