イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

あなたと会ったその日から

2008-04-29 18:36:24 | テレビ番組

昨日、出かける支度で家の中飛び回っている時間帯、朝1030ぐらいでしょうか、高齢家族が見ているTVから『行列のできる法律相談所』再放送らしき音声が聞こえてきました。

島田紳助司会者の声の向こうに、珍しくサンドウィッチマンの声もしたので、動き回りながらヴォリュームを上げてもらったら、「いまだ一度もNHK『オンエアバトル』に出たことがない」という話。

ダテちゃんによれば「“色が違う”と言われて(出演させてもらえない)…」とのこと。わはは。どんなイロだ。金髪か。ネクタイの柄か。

音声だけですがその後トミー(←ボケ富澤。個人的に最近こう呼ばせてもらってます)が「こっち(=ダテちゃんを指すらしい)の親が堅いので、NHKに出ないとお笑いで芽が出たと思ってもらえない」とも言っていました。地方では可視聴チャンネルNHKのほかは民放1局か2局、って地域まだありますしね。都会在住経験のまったくない地方の高齢者ほどTV総視聴時間の中でNHKにチャンネルを合わせている時間比率が高いとも聞きます。

しかしねー。『オンバト』がサンドを“色が違う”を理由に門前払いしているとはちょっと意外です。確かに、特にダテちゃんは極道チックなヴィジュアルともの言いを看板にしてはいるけど、ネタそのものは極道路線ではないし、むしろツカみで“外見ヤクザっぽいことをトミーがくすぐると、「ペットショップやってんだよ」「遊園地でクレープ焼いてんだよ」と意外にカワイイ職業を名乗る”が定番になってもいる。見た目もチンピラヤクザ、ネタ中身もヤクザキャラネタのえんにちや、族ルックの超新塾が常連になって高得点連発しチャンピオン大会にまで駒を進めているのに。

ここで何度も書きましたが、01年に当地での収録に審査員参加したとき、本番前別室に集められてスタッフさんに全体の流れや注意事項を聞きました。そのとき「流さなかった玉を記念に持ち帰らないでね」などぶっちゃけた話をしてくれたのが、番組の総合構成(たぶん)を担当しておられた(たぶん現在も)井上頌一さん。ロマンスグレーと言うには若干野生的な風貌で、浅黒い、ビール好きそうな、ざっくばらんなかたでした。01年の当時は、新年度から2355~の放送になったばかりで、「やっと日付が変わる前の放送開始にすることができた。この5分がタイヘンだったんです」としみじみ言っておられたのがいまも印象深い。

「色が違う」を理由にサンドウィッチマンを出演(“出”られるかは審査次第なので、正確には収録参加)させない意向が番組サイドにあるとしたら、言いだしっぺ張本人は少なくともあの井上さんではないだろうという気がしますが。

「色が違う」で久しぶりに思い出したのは、昭和44年頃だったでしょうか。奥村チヨさんのスマッシュ・ヒット『恋の奴隷』という曲が、売れていて奥村さんも何度もNHK番組に出演経験があるにもかかわらず、NHKだけで歌唱禁止、放送禁止になったということがありました。さすがに子供だったので正確な事情は読み聞きできませんでしたが、♪ 悪い時はどうぞぶってね アナタ好みの アナタごのみの 女になりたい… という歌詞がNHK的にイケナかったらしい、ということだけは伝え聞いていました。

前年の昭和43年ぐらいに“売れてても髪の長いグループサウンズ(=GS)はNHKには出られないらしい”“髪の短い、ブルーコメッツとかはOKらしい”とも聞いていたので、NHKっちゅうのは何だかいろんなことがわけわからない基準でダメになる放送局なんだなぁと思った記憶があります。

それでも子供なりに、「髪の長いGSは“不良”につながるからいかんのんだろう」ぐらいの解釈はできました。しかし奥村チヨさんの♪ アナタごのみの女になりたい は、何がどういけなくてダメなのか、さっぱりわからなかった。実家の親など周りの大人に訊いてみた記憶も、なんらかの答えが返ってきた記憶もありません。たぶん、訊いても「バカなこと考えてんじゃないよ」とはねつけられそうな空気を子供なりに察していたんでしょうな。

何十年もたって大人になってから振り返ると、♪ アナタ好みの…という歌詞そのものより、曲聴いて詞読んで「コレはダメだ、放送するべからず」と判断を下したNHKの担当部署の偉い人の、感性回路のほうがよっぽどいろんな意味でヤバかったんじゃないかという気もします。当時年齢お幾つぐらいの、どんな学歴職歴局内キャリアをお持ちのかただったのか知るよしもありませんが、愛読書の中に谷崎潤一郎『痴人の愛』は間違いなくあったことでしょう。もし08年のいまもご存命なら、渡辺淳一『シャトウ ルージュ』も。

年代の記憶があいまいなのですがその後奥村さんは♪ たまにはアタマをナデナデしてよ (『嘘でもいいから』)とか ♪中途半端はやめて (『中途半端はやめて』)など、直球で“いろんなプレイ”を連想させる歌詞の曲を続々歌っていくので、くだんのNHK担当氏も“放置したらイクとこまでイキそうな匂い”を感じて先手打ったつもりだったのかもしれない。まぁそんなことは奥村さん的にもNHK的にも時効でしょうがね。時代も変わった。

しかしサンドウィッチマンに、あの井上さん構成になる『オンバト』が「色が違う」とは。むしろサンド側の、それもご本人たちではなく事務所サイドがNHK向けにあまり積極的に営業かけてない、敷居が高い、ぐらいのことじゃないかと思いたいですが。『笑点』にもしっかり出て、あの平均年齢超高の客席から結構、笑い取ってるんですから。

『花衣夢衣』は第22話。真帆(尾崎亜衣さん)はいろんな、実に幅広い層の男性から好意持たれるんだなあ。友禅師匠(宮内洋さん)が勧めた縁談相手・家紋職人の西山(山崎秀樹さん)も、抜き打ち見合いもそこそこにお床入りかと思いきや、真帆が着物脱いで号泣し始めただけで「自分をもっと大切にしろ、きっと良い仕事ができる」と紳士で辞去。そりゃ初夜の床であんなに犬みたいにびぃびぃ泣かれたら何かスル気も萎えるというもの。

一方東京では、呉服屋おかみ修業のためよね屋に入った澪(尾崎由衣さん)は、いより(田岡美也子さん)のイビリまがい厳格指導にも「ハイッ。」「ハイッ。」と往年の河合奈保子さんを髣髴とさせる明るさ元気さで見事パス。金沢の水上家を訪れても、真帆と同じ“駆け落ち家出した妹(和美=萩尾みどりさん)の子”という立場にもかかわらず「あの泣き虫澪ちゃんがすっかり大人になって」と喜久代叔母さん(南一恵さん)の物腰が明らかに違うし、この辺り“男好きのする真帆”“同性、特に親世代受けのいい澪”という個性分けがおもしろい。

昼ドラのヒロイン、思う相手となかなか結ばれないすれ違いメロドラマはつきものですが、“本命の彼氏より、こっちとくっついたほうがずっと世間的には幸せだしお似合いでは?”と客観的には思える、“当て馬”的男性人物が現われるのもつねです。友禅修業の先輩・安藤(長谷川朝晴さん)に続いて西山も、結構心根のいいヤツだった。しかも手に職あり。それに比べて将士(眞島秀和さん)は、結局、人間的・異性的にどこが魅力で真帆も澪もマジ惚れなのだろう。男性に免疫がないところに出会いがしら…ってだけな気がするがなぁ。

「使用人のつもりで働かせて戴きます」と平身低頭の澪を傍らで見守る将士に、いより「アンタは田所先生のお宅へ行って頂戴」。…“田所”と聞くと『愛のソレア』(04年)の洋一(半田健人さん)実家(=赤線“オアシス”)を思い出しますが、あちらはドラマスタート時点で昭和32年。こなた『花衣~』の世界は昭和28年。洋一さんはまだ中学生になったばかりで、美保(前田綾花さん)との出会いなど思ってもみなかったでしょうね。いや田所“先生”って付くから、洋一パパ(石田太郎さん)、継母(奈良富士子さん)のトコとはまったく別人かもしれないけど。久しぶりの戦後モノなので、ちょっと思い出しちゃいました。

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バカだからかもしれません

2008-04-29 00:40:28 | アニメ・コミック・ゲーム

『炎神戦隊ゴーオンジャー』が毎話、素晴らしい牽引力なので、つい後送りになってしまいますが、スーパーヒーロータイムのもう一方の雄『仮面ライダーキバ』も、1986年時制の紅音也(武田航平さん)に“戦う動機”が固まってきてからめっきりライダーシリーズらしいテンションになってきました。やはりライダーは“正・邪両陣営のライダー能力争奪戦”“ライダー能力と一般人生活との間で肉体的精神的に葛藤するヒーロー”というモチーフが物語に織り込まれてこそ。

それにしてもキバの3rd強化変形フォームたるドッガフォーム、パープルアイド・パープルアームドで王蛇(@『龍騎』)よろしく首も回してたし、ライノセラスファンガイア(人間体がやはり『龍騎』香川教授・神保悟志さん)戦でのキバットくんのアドバイス「力にはチカラだ!」通りパワー主体の強化だってのはわかるんだけど、キャッスルドランからでっかい紫の握りコブシが降臨してきたときには「おいおい、いくらなんでも」って思いましたよ。しかも客室乗務員のおねえさんが空港内移動するときのカートみたいにゴロゴロ地面引きずって運ぶという。

もともと仮面ライダーって敵組織や怪人のあの手この武器に対しても、素手のキックパンチで応戦して最終的には倒してしまう、というところにライダーのライダーたる所以があったと、いまだに月河世代は潜在的に思っているので、ライダーが“いかにも武器然”としたツールをえっさこらさと携行していると、“ライダーのパロディ”みたいで微苦笑してしまいます。ま、どんなにスットンキョーに強化変形しようと、お話としておもしろく、キャラとして魅力がありさえすれば、まったく構いませんけどね。

『花衣夢衣』は第21話。真帆(尾崎亜衣さん)が暴行されたときはお皿割れたりテレパシーに近いくらいの姉妹間感応力があるのかと思った澪(尾崎由衣さん)、自分の結婚話が現実化し幸福に目が眩むと、相手=将士(眞島秀和さん)の写真を見せたときの真帆の異常な反応にまったく気づきませんね。

もともと澪には、たぶん思春期序盤から“同じ顔で同じ環境なのに、真帆のほうが明るく機転がきいて人に好かれ評価が高い、男の子にもモテる”というコンプレックスと焦りがある。レイプ事件以降「真帆は私のせいで傷を負い女の幸せをあきらめたのだから、私ひとり幸せになっては申し訳がない」と母にも自分にも、当の真帆にも言い張ってやまないのはエクスキューズであって、実は“何もなければ真帆のほうが先に恋人ができて愛されて結婚し、私は取り残されるはず”という潜在的恐怖の裏返しなのです。

だから「好きな人がいたけどきっぱり別れて、あなた1人を愛するよ」と宣言してくれた将士は、澪にとってたぶん生まれて初めての“真帆より前に出ることができた”輝かしい経験のシンボル。でも“自分のせいで負った傷がために真帆が女の幸せからリタイアしたままでは、先んじる幸せも美味しくない”から「真帆がお見合いするって言うからワタシもその気になったのよ」「一緒に結婚しようって約束したのに」と駄々をこねるわけ。澪としては是が非でも真帆に“戦線”にとどまって、なおかつ自分の後ろにいてほしいのです。

そもそも“客観的に見て自分より幸福度が落ちる人”が近くにいてくれないと、人間、幸福を実感はできないものです。

“真帆が納得し満足したうえで、格的にもルックス的にも将士さんほどはステキじゃない人と結婚してくれる”のが澪にとっていちばん喜ばしい着地。物語としては、傷を負って友禅の道にいそしみ、心かよわせる恋人をやっと得たのに身を引かざるを得ない真帆に視聴者の同情が集まるところでしょうが、人間の心の有り様、生き様のサンプルとしては澪のほうがずっと興味深い。

基本は男女の恋愛メロドラマですから、将士→真帆、将士→澪の恋心の芽生えと盛り上げ方、もう少しなんとか…という食い足りなさもありますが、全体的には堅実な描写で中盤にさしかかってきています。

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