イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

グズ、早くしろ、ヘタクソ

2008-04-20 00:31:25 | アニメ・コミック・ゲーム

昨日(18日)の午後、出先で、別に「ウチで留守録中の『花衣夢衣』はもう録れたかな?ミスないかな?」と考えながら歩いていたわけではないのにもかかわらず、いつもの外回りコースと違うバス通りで“京呉服 よねや”の看板のお店を見つけました。“や”を漢字の屋にしたら、将士(眞島秀和さん)の実家・羽嶋家と同じ。お寿司屋さんの幸寿司、福寿司と一緒で、呉服屋さんにはよくある屋号なのかしら。思わず15話終わりの澪(尾崎由衣さん)のように、“中にはどんな人が?”みたいな姿勢で覗き込んじゃいました。

同じような状況で、“ドラマと同じ名前のお店”に行きあったとして、呉服じゃなく洋服・洋品やアクセの店だったら、十中八九覗くだけじゃなく店内入って見てましたね。あまつさえノリで何か買ったかも。高額かつ“見ても良さがわからない”ジャンルの代表=呉服のお店でよかった、のかな。

帰って勇んで見たその『花衣~』第15話、途中CMを挟んでの後半は、傷物の心身ゆえ将士への恋心を断とうとする真帆(尾崎亜衣さん)と、玉の輿の縁談に姉への遠慮で動揺している澪との、探り入れたり抱いたりさすったりの綱引き合いオンリーで焦れったいだけでしたが、前半、真帆と生き写しの澪を初めて目の前にして、一瞬戸惑う安藤(長谷川朝晴さん)の表情がとても良かった。

安藤は真帆をひそかに想っていますが、自分が友禅職人としてまだひとり立ちできていないことと、真帆がそれに輪をかけて発展途上で、才能はあるけど男からコナかければ動揺挫折してしまうのが一目瞭然、同じ友禅の道に精進する先輩として、志高く見込みある若い者を潰したくないのとで、感情に封印かけています。友禅という至高の技芸を目指す地平においては、安藤の中で男も女もないわけ。ここがまずカッコいい。

そこへ3年前「姉の真帆を弟子にとってやって下さい」と師に泣いて頼んだという妹が訪ねて来た。想う真帆と、顔かたち外見は瓜二つです。入室したとき一瞬「…え?あれ?」の表情、でも安藤にとってはあくまで“真帆を強引に弟子入りさせて、出会うきっかけを作ってくれた人”。当然と言えば当然ですが、想ってもかなわない(と彼は決めている)真帆と、顔が同じ澪を見ても、彼の想いも決意も微塵も揺らぎません。ここでさらにカッコいい。

私見ですが、異性に好意をもつ時「好みの芸能人や売れっ子アイドルに似ている」「元彼・元カノや初恋の人に目元クチモトがそっくり」なんてのを手がかりにする人は、惚れ方も人間性も浅い気がする。

“想う相手と顔だけそっくり”な人と相対した男のリアクションって、安藤のような対応こそノーマルで正当だと思う。実は澪の見合い話の相手は誰あろう真帆に一目惚れの将士その人で、口外できない事件の傷ゆえに真帆に断られた将士が、真帆と顔だけは同じ澪と引きあわされて、真意と誠意が問われる今後のお話になるのですが、昨日15話の段階で安藤が“言葉に出さない誠意と忠実さ”を真帆・澪、両方顔を揃えた場面でちゃんと示していることが興味深い。安藤、ポイント先取です。

このドラマ、真帆と澪の双子姉妹の運命の絡み合いと見せて、さりげなく将士と安藤、個性も境遇も違うふたりの男性のバトルの側面も持っているのではないでしょうか。とかく女のバトルになりがちな昼ドラだけれど、昭和風味“和”ワールドに生きる男2人のせめぎ合い、『仮面ライダー』『スーパー戦隊シリーズ』でおなじみ“カッコいい男同士の対決もの”愛好者の月河としては、これまた大歓迎です。

もちろん、この場合、変身しなくても許す(当たり前だ)。

「身を引くことで示せる愛もあるんですね」「私も、愛する人の幸せが自分の幸せだと思えるようになりたい」と真帆が言ったときの安藤のなんとも言い難い表情。将士を思い切ることでいっぱいいっぱいの真帆には察してやれと言っても無理かもしれませんが、恋愛感情というのは視野狭窄なので、しばしばおもしろいくらいきれいにすれ違う。

一方、縁談について真帆に遠慮しながら、相談しようかしまいか迷いつつ金沢に訪ねてきた澪は、初対面で安藤を「親切だけれど、すべてを見透かされているみたい」と看破しました。不幸な傷を負った姉もどうにかして女の幸せを掴んでほしい…と願っている澪には、姉の身近で、厳しくも温かく見守ってくれているらしい若い男性の気持ちが直感できるのでしょう。CM明け真帆の部屋で「ねえ、さっきの人…」と、安藤の印象を姉に切り出す口調は、双子姉妹ということを抜きにした若い娘さん同士の会話なら、暗に「お似合いよ?候補に入れてみない?」を促す甘酸っぱいニュアンスでした。

澪にわかることが、真帆にわからない。真帆が痛感することでも、澪にとっては想像するだけ。「真帆はもうひとりの私」「澪はもうひとりの私」と、事あるごとに2人で確認し合っているうちは、双子独特の濃い結びつきもそれなりのものですが、逆にすれ違い、離反することでより強く鮮烈に浮かび上がり、むしろ離れたいのに互いを縛るようになる。むしろこうなってからのほうが“双子もの”物語の真骨頂でしょう。物語を動かす種は順当に蒔かれつつあります。

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