「而今」という言葉があります。
「而今」、この漢字は「じこん」または「にこん」と読みます。どちらでも構いません。
「而」は、一字では通常「じ」と読み、「そして」「すなわち」「それでも」という意味があり、
「今」は、いうまでもなく「過去とも未来とも言えない時」のことです。
以上から「而今」の意味は、「過去の話や未来の不安はさておき、今に集中しよう」となります。
「出典」
この言葉の出典は、曹洞宗の開祖道元の『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』です。
道元はご存じの通り、鎌倉時代の禅僧で、厳しい修行で有名な永平寺を開き、大著『正法眼蔵』を記しています。
「道元禅師・而今の教え」
今、自分自身をより良く生かすこと。
今、私がなさなければめぐり合うべき真実の何もありません。
この世の全てのものはみな変化しています。
『仏道を学ぶ人は、後日に修行しようなどと考えてはいけません。今日、このときをぼんやりと過ごさず、その日その日、その時、その時を勤めなければならない。』
過ぎ去った日の自分を振り返ってみて、わが人生に悔い無しと、言い切れるでしょうか。
「而今」、未来のありたい姿のイメージ、目指したいビジョンは持っていていい。
しかし、忘れてはならないのは未来のために「今」を犠牲にするのではなく、「今、この瞬間」を大切にすること、本当に重要なことに時間を使うこと。
道元禅師はこのように教えています。
今日の記事は決して曹洞宗を推奨しているのではありません。
皆さんは、今、この瞬間を大切にしていますか?
自分にとって本当に重要なことに意識を向けていますか?
それらを先送りにしていませんか?
曹洞宗の「而今」は「今この瞬間を大事に生きていこう」と教えています。
八十路を過ぎると、残りの人生を考えるようになってきました。
未来のことよりも、今この瞬間を大事にしたいという思いが強くなります。
皆様、一日、一日を大切にお過ごしください。