ご存じのように道路交通法の一部が改正され、令和5年4月1日からすべての自転車利用者に乗車用ヘルメットの着用が努力義務となりました。
また、令和5年7月1日からは、特定小型原動機付自転車の利用者にも乗車用ヘルメットの着用が努力義務化されました。
「特定小型原動機付自転車」
特定小型原動機付自転車とは、電動キックボードなどです。
この自転車の定義は、原動機付自転車のうち、電動機の定格出力が0.6kW以下であって長さ1.9m、幅0.6m以下かつ最高速度20km/h以下のものを特定小型原動機付自転車とし、それ以外の原動機付自転車を一般原動機付自転車と定義しています。
「罰則」
上記の自転車の乗用時にはヘルメットを着用することが努力義務となりましたが、仮に、着用していなくても努力義務であるため罰則を受けることはありません。
努力義務には強制力や拘束力はなく、あくまでその人の努力に委ねられている規定です。
つまり、自転車に乗る際にヘルメットを着用していないからといって、罰金や懲役などの刑罰があるわけではないのです。
その他にも、自動車の速度違反をしたときのような違反点数などもないため、絶対的な拘束もありません。
「自転車違反に反則金検討」
ところが、先日のニュースでも報じられていましたが、警察庁は、自転車利用者の違反者に反則金の支払いを求める、いわゆる「青切符」の導入を視野に有識者検討会を設置しました。
年内に内容をとりまとめ、早ければ来年の通常国会での法改正を目指すという事です。
「背景」
その背景は、警察庁によると、自転車全体の事故は減っている一方で、歩行者との事故は昨年2905件発生しており、2年続けて増加していること。
また、自転車が絡む死亡重傷事故では、7割以上で自転車側に違反があること。
等があります。
こうした悪質な自転車に対して、全国の警察は取り締まりを強化し、昨年は2万4549件が摘発されました。これは10年前に比べて3倍以上となっています。
現在の制度では、自転車の悪質な違反は、刑事責任が問われるいわゆる「赤切符」の対象になりますが、手続きに時間がかかり、違反者にも警察にも負担が大きいことから、実際に起訴されるのは1~2%に過ぎないようです。
そこで検討会は、自転車も車や電動キックボードと同じく、行政処分として反則金の支払いを求める交通反則金制度、いわゆる「青切符」の導入の検討を始めるということです。
「青切符の対象違反」
自転車利用者の違反者に反則金の支払いを求めるいわゆる「青切符」の対象となる違反には下記が検討されています。
・対象は、「逆走」
「信号無視」
「歩行者の妨害となる危険な運転」
などになるとみられています。
・自転車は免許が不要のため違反点数はありません。
・対象年齢については、16歳以上となっている電動キックボードも参考にするということです。
自転車に乗る人は自分の身を守るためにも、信号無視や逆走をしないように、交通ルールを守って、安全運転を心がけましょう。