大阪では鶏肉のことを「かしわ」といいます。
皆様の地方ではどのような呼称でしょうか?
「とりにく?」「けいにく?」それとも大阪と同じように「かしわ」でしょうか?
大阪では鶏肉を何故「かしわ」と言うのか、今日はその由来を調べてみました。
「鶏肉」
一般的に鶏肉という場合、「ブロイラー」と呼ばれるニワトリの肉を指すケースが多いということです。
ブロイラーとは、アメリカ発祥の白いニワトリであり、通常のニワトリより短期間で育つように改良された若鶏の総称です。
鶏肉の場合、通常、生まれてから成鶏になるまでには4~5ヶ月ほどかかりますが、ブロイラーの場合はたった50日ほどで食用の大きさに育ちます。
私たちが普段スーパーなどで購入し、調理して食べている鶏肉の多くはブロイラーであり、一般的な鶏肉として浸透しています。
「カシワ肉の由来」
関西地方で鶏肉が「かしわ肉」と呼ばれているのは、日本でブロイラーが広まる前に、日本在来種のニワトリを「かしわ」と呼んだことに由来しているそうです。
日本のニワトリは、白いブロイラーとはまったく異なり、見た目が茶色であることから、この色が落葉して茶褐色になった柏の木に似ていたことが「かしわ」と呼ばれる由来なのだそうです。
つまり、
・鶏肉がアメリカ発祥の白いニワトリの肉を指すのに対し、
・かしわ肉は日本在来種の茶色いニワトリの肉を指しているということです。
この呼び方は、以前は全国的に使用されていましたが、ブロイラーが主流になるにつれ、徐々に使用されなくなり、現在は限られたエリアでのみ使用されているようです。
・鶏肉(カシワ)のから揚げです。(ネットより)
「隠語として生まれた言葉」
また、鶏肉を「かしわ」と云う言い方は肉食禁止令による隠語として生まれた言葉でもあるようです。
即ち、仏教の国教化で天武天皇の三年(675年)に肉食禁止令が出て、肉食は禁止されましたが、肉を草木に例えた隠語が生まれ、植物と偽って食べ続けたことから生まれたということです。
「鶏肉以外の隠語」
鶏肉以外にも下記の肉に植物の隠語が当てられています。
本来の肉名 隠語 理由
・猪肉 牡丹 =ぼたん (肉の色が牡丹の花の色に似ている)
・馬肉 桜 =さくら (肉の色が桜の花の色に似ている)
・鹿肉 紅葉 =もみじ (肉の色がモミジの紅葉の色に似ている)
なお、肉食禁止令が解除されたのは約1200年後の明治5年(1872年)であり、牛や豚はその時以降に食べるようになったことから隠語はありません。
「かしわ」は、厳密には鶏肉全般ではなく、昔から日本で飼われている茶や黒い羽の鶏の肉です。しかし、最近では、ブロイラー種なども含めて鶏肉全般をかしわということが多くなっているようです。
「西日本がかしわの理由」
現在、「かしわ」という言葉を使うのは、愛知県・富山県、近畿地方一帯と愛媛県の一部・福岡県・鹿児島県など西日本に集中しており、東日本では秋田県だけだそうです。
その理由は、
・江戸時代の文献には『江戸は軍鶏(しゃも)』とあって、関東では黄鶏より軍鶏(しゃも)が好まれていたこと。
・また、名古屋あたりではトリ肉を食べるという言い方は品がないとされ、トリ肉とストレートには言わず、木の葉の色にたとえた「かしわ」が好まれたのではないか。
・更に、以前は全国的に使用されていたことや、別の地域と比べて古くから流行して鶏肉の種類として人気があったからだということのようです。
つまり、現在も西日本でかしわ肉という呼称が残っているのは、別の地域と比べて古くから流行していたから、鶏肉の種類として人気があったからだということのようです。