goo blog サービス終了のお知らせ 

らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

日本で発展した「温水洗浄便座」

2021-01-22 | 雑学

いつもコメントをいただいているH氏の2か月ほど前のブログに「インド紀行」と題して、インドのトイレのことが書かれていました。
その記事によると、「インドでは、排泄物も野外で、これは鳥や動物の餌になり、あるいは植物の肥料になり、やがて循環してまた人の役に立つことになっている」と記し、別の日のブログには、「インドで公衆トイレを見かけることは無かった。インド人の家にはトイレが無い?)ように感ずる。(注:2013年の記録では家庭のトイレ普及率は46%と言う)」と記されていました。
先進国に次ぐ経済発展を遂げたBRICS5か国の一員であるインドにおいて、トイレ事情がこの有様とは「日本とはずいぶん違うものだなぁ」と驚いたものです。

翻って日本はどうでしょうか。
 内閣府の2018年3月の消費動向調査によると、2人以上世帯の家庭の温水洗浄便座普及率は80.2%、100世帯当たりの普及台数は113台となっています。
数年前にインバウンドのアメリカ人女性だったと思いますが、インタビューに答えて、「日本のウォッシュレットは気持ちよくて素晴らしかった」と言っていたのを記憶しています。
このようなことから、ウォッシュレットは日本で開発されたのかと思っていたら、そうではありませんでした。
そこで今日はウォッシュレットについて調べてみました。

・ウォッシュレット(ネットより)


「ウォッシュレット」
「ウォシュレット」を調べてみると、この名称は製造メーカーTOTOの商品名でした。
この製品の正式な名称は「温水洗浄便座」です。
TOTO以外の会社が製造している製品は「温水洗浄便座」で、「ウォシュレット」ではありません。
間違わないように気をつけましょう。

「温水洗浄便座」
さて、本題に入ります。
世界初の温水洗浄便座は、身体の不自由な人や痔で悩む人向けの医療用機器としてアメリカで開発されました。
日本では1964年、アメリカンビデ社の「ウォッシュエアシート」をTOTOが輸入販売し、1967年に同社より特許を取得して、「ウォッシュエアシート」の国産化に踏み切りました。
同業者の伊奈製陶(後のINAX、今のリクシル)も、1967年10月に国産初の温水洗浄便座付き洋風便器「サニタリーナ61」を発売しました。

しかし、いずれも大変高価で納入先は病院や高所得者層だけで普及には至りませんでした。
ただ、お尻を洗う気持ちよさだけは好評だったようであり、メーカー2社は一般向けの販売に手応えを感じて改善に取り組みました。
温水を放出するノズルの位置や角度を調節したり温度管理を徹底したりして日本で独自の発展を遂げました。

その後、1980年6月にTOTOがウォシュレットを発売し、1982年から放映されたTOTOのテレビCM「お尻だって洗ってほしい」が大きな話題となり認知度が急上昇しました。
更にマッサージや脱臭など独自のハイテク機能も次々開発され、世界から評価される「日本製品」となりました。

温水洗浄便座は2012年に日本機械学会から初代のウォシュレットGが機械遺産に認定されるなど、その技術は国の「宝」となっています。

このように日本のトイレ事情は冒頭に書いたインドとは比較にならず、製品も技術も世界から高く評価されています。
清潔な日本に生まれてきて本当に良かったと思います。