らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

着流しの西郷隆盛像

2015-03-11 | 雑学
上野公園のシンボルとなっているものに西郷隆盛さんの銅像があります。
西郷隆盛は明治新政府の陸軍大将を務めた人ですが、この銅像では軍服姿ではなく着流しになっています。
なぜなのでしょうか?

西郷隆盛の銅像が建立された時、除幕式に招かれてこの銅像を見た西郷糸子夫人は「宿んしはこげんなお人じゃなかったこてえ(うちの主人はこんなお人じゃなかったですよ)」また「浴衣姿で散歩なんてしなかった。軍人の大将にしてはあまりにもひどか」と言って嘆いたと言われ、親族には大不評だったそうです。

・上野公園の着流し姿の西郷隆盛像です(ネットより)


確かに、鹿児島に建立された西郷隆盛像は軍服姿の凛々しいものですが、上野の西郷隆盛像は着流しで犬を連れているという非常にラフなスタイルです。

・鹿児島の西郷隆盛像です。(ネットより)


しかし、このようなデザインにしたのは深い理由がありました。
西郷隆盛は西南戦争を起こした首謀者として逆賊扱いされていましたが、明治憲法が制定されたときの大赦で罪が許され、名誉も回復されました。

西郷は江戸城を無血開城に導き、江戸の町を戦火から救った人物だったことから、東京市民には人気があって、「西郷の銅像を建てよう」という運動が起こりました。
この運動に宮内省から500円が下賜(かし)され、更に全国25000人余りの有志からも寄付金が集まりました。

建立場所は、西郷が上野で彰義隊と戦ったゆかりの地ということから上野公園にすんなり決まりましたが、デザインで紛糾したそうです。
最初に出された案は「陸軍大将軍服着用の騎馬銅像」でしたが、騎馬像にするためには集まった寄付金だけでは足らず、「大将服着用の立像」に変更されました。
しかし、製作途中で政府関係者から「反政府のシンボルになり兼ねない」と横やりが入り、着流し姿に再変更されたのだそうです。

なお、西郷が連れている犬はオス犬ですが、当初はお気に入りの薩摩犬の雌イヌ「ツン」にする予定だったそうです。
しかし、銅像制作時ににはツンはすでに死んでいて、やむを得ず、海軍中将・仁礼景範(にれかげのり)の雄犬をモデルにしたのだそうです。