今日は「世界遺産・丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)」をご紹介します。
この神社は、大阪南部の熊取から和泉山脈を超えて紀ノ川より紀伊山地に入り、標高450mの天野盆地に鎮座しており、2007年4月に『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部としてユネスコの世界遺産に登録されています。
先日、懇意にして頂いているご近所のK氏ご夫妻に、この神社と高野山・奥の院を案内して頂きましたので、早速ブログにアップすることにしました。
丹生都比売神社は今から1700年前の創建と伝えられており、全国に108社、摂末社を加えると180社余を数える丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)を祀る神社の総本山です。
丹生都比売大神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)の妹御神様で、神代に紀ノ川流域の三谷に降臨され、紀州・大和を巡られて農耕を広め、天野の地に鎮座されたそうです。
・丹生都比売神社の全体図です。
中央手前から「外鳥居」、「輪橋」、「中鳥居」、「楼門」、「本殿(右から第1殿、第2殿、第3殿、第4殿、若宮)」です。
「輪橋(りんきょう)」
神様が渡られるための神橋で、反り橋の形状になったのは淀君が寄進したと言われています。
また、手前の池は「鏡池」で、不老長寿になった八百比丘尼(やおびくに)という尼僧が池にその姿を映し、年老わない自分を嘆き鏡を投げ入れたと伝わっています。
「外鳥居」
両部鳥居の形式となっており、鳥居に屋根と台輪・前後の稚児脚が付属し、神仏習合の特色を表しています。
「中鳥居(なかとりい)」
大正6年に焼失したものが、平成22年10月16日に再建されました。
神仏習合の神社の鳥居形式「両部鳥居」で軒高7mを超える朱塗りの鳥居です。
・中鳥居とその奥は楼門です。
「楼門」
室町時代の1499年建立で入母屋造、檜皮葺、室町中期の三間一戸の代表的な楼門形式で、国の重要文化財に指定されています。
「本殿」
楼門の奥に第一殿から若宮まで、五殿の本殿が並んでいます。
第一殿に丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)を、祀っています。
御神徳は、諸々の禍を祓い退け、一切のものを守り育てる女神で、不老長寿、農業・養蚕の守り神です。
第二殿に高野御子大神(たかのみこのおおかみ)を、祀っています。
弘法大師を高野山に導いた、人生の幸福への導きの神です。
第三殿に大食都比売大神(おおげつひめのおおかみ)を、祀っています。
あらゆる食物に関する守り神、食べ物を司る神です。
第四殿に市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ)を祀っています。
財運と芸能の神、七福神の弁天さまです。
そして、若宮には行勝(ぎょうしょう)上人を祀っています。
これらは室町時代に再建されたもので、屋根は檜皮葺、一間社春日造りでは国内最大級の規模を誇っています。国の重要文化財に指定されています。
・楼門から奥には入れないので、楼門を通じて撮影しました。奥に本殿が並んでいます。
(参考)
[神仏習合(しんぶつしゅうごう)]
6世紀に伝来した仏教は日本古来からの神道との融和をはかり、神道も仏教との融和をはかるようになり、その中で生まれた「神の本体は仏」という思想です。
神は人々を救うために仮に現れている姿で、仮に現れた神のことを権現(ごんげん)、本体である仏を本地といい、仮に神になって現れることを垂迹ということから「本地垂迹(ほんちすいじゃく)」思想ともいいます。