一鼓作気
中国故事に「一鼓作気(いっこさき)」があります。
この意味は、物事をするには、やる気が充実している時に一気にやり遂げることを言い表す言葉です。
出典は春秋左氏伝(春秋の注釈書)で、それによれば、中国、春秋時代に強大な斉の国が、弱小の魯国に侵攻しました。
早速、魯国の荘公は、軍師の曹劌(ソウカイ)と大軍を率いて戦場へと赴き、斉の大軍と距離を置いてにらみ合いました。
まず斉の軍隊が太鼓を威勢良く鳴らして攻めてきたので、魯の荘公はすぐに反撃に出ようとしたところ曹劌(ソウカイ)はこれを制止し、「もうしばらくお待ちください」と言いました。
そして、斉の太鼓が3度鳴り終わるのを聞いてから、自軍の太鼓を威勢良く鳴らして突撃するように兵士たちに命じました。
兵士たちがその通りにすると、魯の軍隊は軽々と斉の軍隊を打ち破り、あっという間に勝利を収めました。
荘公は不思議に思い、戦いの後で曹劌(ソウカイ)に次のように尋ねました。
「これはいったいどうしたことだ。斉も魯も、同じように太鼓を打ち鳴らしたのに、なぜこうも結果が違うのだ?」と。
曹劌(ソウカイ)は答えて曰く、
「荘公さま、戦にもっとも必要なものは、勇気です。兵士の士気は、1度目の太鼓には充実しますが、2度目には衰えて、3度目には消滅するものです。斉の兵士は3度にわたる突撃で、疲れきっていました。しかし、わが軍の士気は、1度目の太鼓によって溢れんばかりになっていました。それで、敵を一気に打ち破ることができたのです。」と。
このことから『一鼓作気』という成語となり、「何事も成す時は、やる気が充実しているときに一気にやり遂げてしまうに限る」という意味で使われるようになったと言うことです。
日本経済はアベノミクスで明るさが戻りつつあります。
昨日の日経平均株価は1万2283円62銭で引け、リーマンショック直前の1万2214円を上回って、08年9月10日以来、約4年半ぶりの高値をつけました。
アベノミクスの3本の矢でこのまま一気に上昇トレンドに突入して欲しいですが、太鼓を3回鳴らした斉国のようにならないことを願いたいものです。