別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

姉と弟

2007-05-04 | アートな時間

 

  二人のクローデル展は  川口市立アートギャラリー・アトリア および 国登録有形文化財 ・ 旧田中家住宅 の二カ所で開催中。 会場はシャトルバスで繋がれている。  連日夏日、 蛙の頭も乾いてしまいました。 メモは上手くまとまるでしょうか。
  連休は皆さん郊外へお出かけ?  混雑もなくゆっくり鑑賞できた。  家族連れの熱心な方が多い。

  カミーユの彫刻には、ものがたりがある。 時とともに 歓びや苦しみ、 別れや悲しみを映している。 とくに、 波や岩、 暖炉、 長椅子などの演出によるもの。  大きな波は 見る人にも降りかかった。

  語りかける作品、 質感、 動き、 ポーズ、 表情、 モデルの内なる精神、 人格。  彫ったときの作家の心の動き、 深さを想像する。 小さな作品にも緊張感、 迫力がある。

             -☆-

    以下 図録より 
  弟 ポールは述べている。
  『カミーユが、その不幸な生涯のすべてをかけて残した彫刻作品の、まったく独自な意味、それは作品のすべてが彼女の生の歴史にほかならないということだ。

  カミーユの作品がもう一人の作家某氏(つまりロダン)の作とよく並べて論じられるのに反駁して
  彼女の作でこそ 『もっとも力強いそしてもっとも純真な想像力、 つまり想像の才そのものである想像力が思う存分にみごとに発揮されている』 と。 (ポール・クローデル「わが姉カミーユ」から 芳賀 徹)

  写真: 旧田中邸  三階から庭を眺めて

  和室で彫刻を見る。 開け放した廊下から風が吹きぬけた。
  ブロンズの前に 座布団と抹茶の用意がされている。
  さわやかな五月に、 存命ならば 自分たちの展覧会があると知って、 はるばる来られるに違いない姉弟のため、ご用意しました。 と、 案内のかたは仰った。     影響を与えあった二人の藝術家と、 旧田中家住宅、 心ゆくまで楽しみました。  取り組まれた皆さんの気持ちも感じました。 スタッフの熱い視線、 痛いほどです。 お礼を申しあげます。

  ほかに カミーユからいとこ宛ての直筆手紙。 デッサン。 ユーモアと即興の「走鼠図」 竜安寺や西芳寺をめぐった後に、 竹内栖鳳らと西陣の料亭にてスッポンの昼食、 老舗大市の一室の天井を鼠が走ったか…  後ろ向きの猫はポール画(図録より) 

       旧田中家住宅 

  追記  
  5月6日 教育TV 新日曜美術館アートシーンで 「二人のクローデル」展
 「澁澤龍彦   -幻想美術館- 」 が紹介されました。  過去記事はこちら

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6 コメント

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彫刻の物語 (boa !)
2007-05-07 07:36:58
ラグタイムさんの感動の追体験の余韻を味わっています。
それにしても、文化財の建物の中、和室でカミーユですか。企画そのものの情熱も伝わります。

”カミーユの彫刻には物語がある”この捉え方で、蛙さんの耀く目まで想像できます。いい1日はかけがえのないものですね。

「走鼠図」のクロッキー、背中から尻尾にいたる線の走りに描いた人の気持ちが感じられます。
映像は思い通りにはたちどまってくれません。やはり、自分の目で思うがまま感じとってみたいものです。またお邪魔します。
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啓蒙 (ラグタイム)
2007-05-07 11:43:23
田中家は ポールが駐日大使として着任して程なく、1923年(大正12)に建設されたそうです。
 日仏親善のために日仏会館の建設を、ポールが渋沢栄一に進言してできたことも。そのような縁をたいせつにしてと。  
 ほとんど知られていなかったので、市内の公民館やロータリークラブなどで啓蒙を図ったとNPO代表の方が仰いました。 文化を形に、 市民参加で立ち上げたのです。 すばらしいと思いました。 

 鼠は竹内栖鳳、 猫の絵と賛はクローデルです。「猫は夜でも目が見える」とフランス語で。boa!さんには 「どどいつ」もお見せしたいです。
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ポールさん、やさしい。 (うしろの正面)
2007-05-08 12:21:01
よい展覧会を教えていただきました。
実は、カミーユ・クローデルの作品を生でみたことがありませんでした。
田中家も建築物として興味がむくむく湧きました。
5月27日までならなんとか行けそうです。

弟のポールさんの言葉、カミーユだけでなくすべての亡くなった芸術家の代弁かもしれません。
誰と彼、あるいは師匠と弟子、括られて、常に比較されることは本人にとってはなんの意味もないかもしれない。
生きている私達の勝手な行為なのかもしれません。
芸術家はオリジナルであること、が命でしょうから。
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二人の芸術家 ()
2007-05-08 22:28:50
 建築と彫刻、文学と日仏の文化、どれも充たしています。うしろの正面さんに ぴったりだと思います。 資材も様式も聞いただけでワクワクしますよ。
 芸術は 個性、独創性がいちばんですね。 素人のくせに、アカデミックな作品と言われるのも嫌いです。 
 
 とくに ポールのことばは 普通の姉弟以上の、芸術家同士の波乱に富んだ親密な関係から出たことば、そのことが分かります。 是非ご自分の目で確かめて下さい。
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建築も彫刻も (もか)
2007-05-15 19:45:44
ラグタイムさん、お邪魔します。TBありがとうございました!

この展覧会、良かったですね。あまり宣伝されてないのが残念です。アクセス可能な人には、できるだけお薦めしたい、気持ちの良い展覧会でした。

別所沼、近いのですが、まだ行ったことがないんです。こちらを拝見して、すぐにでも行きたくなりました…
また、お邪魔しますね。

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もかさん (ラグタイム)
2007-05-16 06:22:38
 いらっしゃいませ 仰るように気持ちの良い展覧会! 

 話題の展覧会も目白押し、 何処に行くか、 迷っている間に見逃してしまいます。
 なんども通うのもあるし… 

 別所沼へ是非、 立原道造さんに会いに来て下さい。 ありがとうございました。  
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