別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

二人のクローデル 

2007-04-28 | アートな時間


    いよいよ 「二人のクローデル」 展がはじまった。
       (川口市立アートギャラリー・アトリア  5月27日(日)まで)

  姉、 彫刻家 カミーユ ・クローデル。  弟は詩人で外交官 ポール・クローデル  

    4月27日 基調講演から (覚え書き)     熱心なファン  Hさんへ 
                著作権もあるので  ほんの少し。

  「ジャポニズム(日本趣味)を超えるもの ~クローデル姉弟の藝術」 
              京都造形芸術大学名誉学長  芳賀 徹

  姉の周りにあったジャポニズム。 
  ポールを介し、ドビュッシーと知り合う。 彼は北斎の浮世絵「神奈川沖波裏」 を譜面台に置き、交響詩「海」を作曲。 カミーユも 彫刻 「波」 を制作。
  日傘を差し掛けられるカミーユの写真からもわかる。 後ろには 花鳥画の屏風。 
 
 フランスの小説家で浮世絵を仏に紹介したエドモン・ド・ゴンクールの日記にもある。
 アルフォンス・ドーデの家に呼ばれ クローデルという女の子にあった。 彼女は日本刺繍(大きな花柄)を施した胴着のようなのを着ていた。 かわいらしく子供っぽく見えた。  と、

 姉に浮世絵の面白さを教えられ、日本にあこがれた。 外交官となり赴いた弟 ポール・クローデル。  
      
  公人としての働きはもちろんのこと、 自国の近代化のかげで、 これほど日本を愛し、 日本的魂のうるほひに惹かれた外国人が、 かつて、 あっただろうか。 
  日本人に 普通のひとでさえも宿しているような魂のうるほひを、見つけた。 そしてポールも感じ、 俳句のような短歌のような 短かい詩を作る。 
  
   ・水の上(ヘ)に 水のひびき 葉のうへに さらに葉のかげ 
   ・はるばると わが地の涯ハテより来りしは 初瀬寺ハセデラの白牡丹ハクボタン 
     そのうち一点  淡紅のいろを見んがため

  これらを集めた 「百扇帖」。  芭蕉以上に純化した簡潔さで ついにジャポニズムを超えたと思う。 ほか 「どどいつ」は 美しい絵入りで刊行。 詩人大使は藝術家や学者とつきあい「能」 「歌舞伎」 「文楽」を研究し、 神社仏閣を訪ねた。
               
               -☆-

 パリで日本敗戦の報に接し、 高貴な日本文化の喪失を嘆き、 再生を願って 「さらば、日本!」 を「フィガロ」紙(1945.8.30)に発表した。

   日本人は貧しい。 しかし高貴だ。 世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ  
 
               -☆-

  講演は内容も深く、 熱く。 話し足りないと思われる様子、 こちらだってもっと聴きたい。 訳詩がすてきでした。
  … 時間なんか 無ければいいのに。
  ほかに 姉に寄せる弟の思いなど。

   今 日本は豊かだ。 しかし、 こころは貧しくなった。 
 「国家の品格  藤原正彦著」 からも 思い出される 

  日本人一人一人が美しい情緒と形を身につけ、 品格ある国家を保つことは、 日本人として生まれた真の意味であり、人類の責務と思うのです …  

     過去記事1    2     
    カタログから  1926年(大正15)の 四風帖 をお目に掛けます。
    冨田渓仙 画、 詩 ポール・クローデルによる墨書。

  展覧会へはこれからです。  川口市に感謝しながら…

  

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6 コメント

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二人のクローデル展 (ルピナス)
2007-04-30 10:53:09

ラグさま、興味深い記事のご案内、ありがとうございます。基調講演 、仕事と格闘してる間に。。。残念。余裕がないと言うことはダメですね。すべて後手後手ですが、せめて川口市の方へはいきたいと思います。
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わくわく (ラグ)
2007-04-30 12:11:54
ルピナスさん 積み重ねたお仕事がいよいよ実を結ぶときです。おめでとうございます。
 清川 妙先生の新刊も 5月のNHKわくわくラジオ出演も わくわくでお待ちしています。
 
 クローデルの作品も楽しみです。 ずーっとワクワクです。
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ワクワク四重奏 (boa !)
2007-05-01 17:36:57
四重奏でも、三曲合奏でも存分に楽しめるときにお楽しみください。

お福わけの東風がいまに届くことでしょうから。
それにしても、薫風の季節に、憧れの人にあえるなんてでき過ぎではありませんか?

四風帖なるものの存在、初めて知りました。
異国の人とも思えません。感謝と羨望をこめて。
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拍子不合 ()
2007-05-01 22:23:48
 boa!さん 地の利と言いましても、あちらこちら目移りして消化不良気味。 四重、五重奏もあり、それで「拍子合わず」

 時間も器も足りません。 でも、ちょっとくらいは お見せしたいと、喜んでいただけますよう学習に励みます。
 
 記事の信憑性は? 過去記事を読むと UPすることだけに気を取られ いろいろ間違っていました。 責任を感じます。 一生懸命なだけです。

 

 
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クローデル (赤胴)
2007-05-03 16:56:35
芳賀先生の公演はなかなか内容も濃く楽しい話でした。パネリストの方々もそれぞれの個性で貴重な話をしてくれました。田中邸での洋館や和室で見る彫刻も珍しいと思います。
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いらっしゃいませ ()
2007-05-03 21:45:31
 赤胴さん もしかして川口市の方でしょうか 待ち望んだ企画展をありがとうございました。 開会式シンポジウムで クローデル姉弟に寄せる熱き思いを語って下さった先生方のお話も忘れられません。 期待も高まります。

 田中邸も彫刻も楽しみに伺います。ありがとうございました。

 今度のNHK新日曜美術館アートシーンで紹介されるようですね。
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