退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「名前によって病になった症状と生きづらさあるいは『イヤだ、イヤだ』と繰り返す『悪夢探偵』」について

2019-04-25 02:40:36 | Weblog
くもりときどき雨。夜になって上がる。

立岩真也「自閉症連続体の時代」を読む。

発達障害、ADHD、アスペルガー症候群、統合失調症あるいは高機能自閉症など。
かつては名前もなく家族が原因だと思われて。

それらが「病」だとされ「症状」も紹介されることで
「現在の自分」を把握できるようになったことはいいことである一方。

個人によって「症状の在り様」は異なる上に
「本当にその病なのか」という判定が実は微妙。

仮に「本物」であったとしても周囲の人間にとっては受け止めがたい「症状」もあり。
どのように「共存」していけるかについてあれこれ考える内容。

いずれにせよ「普通に仕事をすること」が難しい以上
「生活を維持できる手段」を提供するのは重要なのは確か。

「人付き合い」が苦手ならそうでない仕事で収入を得られるように。
もっとも「感情労働」が多くなった現在では厳しいところも。

ある種の「ハンディキャップ」を抱えた人々がどう暮らしていくのか。
「病者」だけでなく障害者や貧困家庭あるいは公害や災害、犯罪被害者についても同様に。

「スポットライト」が当たるにふさわしい「物語」だけが好まれるのでは仕方なく。
「病者であることの証明」や「個々の事情」が「当事者間の分断」を生み出すこともあり。

実に複雑な問題をピンセットで薄皮を剥がすような手付きで語る著者の文体は
その魅力ゆえに読者を「立ち止まらせる部分」が少ないという「危惧」なども。

もっとも「どういうところに問題が潜んでいるか」についての指摘は大いに参考になるはず。
誰もが一度はじっくりお付き合いした方がいいように思われるけれど。

塚本晋也「悪夢探偵」(’07)「悪夢探偵2」(’08)を観る。

前者の方が内容は豊かかも。
ガタガタ震える小物と鼻を中心にうずまき型に歪む顔がコワイ。

役者としては素人のHITOMIの「睡眠不足な顔」をうまく使っている印象。
電話や歪んだ声、「エルム街の悪夢」の設定など採り入れて。

「不穏な顔」をした松田龍平はいかにも。
「イヤだ、イヤだ」と言いつつ事件の解決に協力する。

フジファブリックのエンディングテーマ「蒼い鳥」もいい感じ。

後者は女子高生の登場で「よくあるホラー感」が出過ぎなような。
イジメに遭う菊川は鈴木清順「ピストル・オペラ」(’01)でロリータな魅力を見せた韓英恵。

和風の家の階段を上って行くあたりは「呪怨」を思い出し。
「おちんちん丸出し」の男の子の映像は案外珍しいかも。

「人の考えが声になって聞こえてしまう」主人公が
同じ能力を持ち彼を憐れんで殺そうとした母親と「和解」するのがポイント。

「ビル街」を切り取ったショットの挿入はある種の「小津感覚」か。
「怖いものだらけの黒い絵」のあとに「光の粒が溢れる『天使』の絵」が出てくる。

このシリーズで続けて出る「近所の子どもたち」も印象に残る。
ただし「お兄ちゃん、いなくなっちゃいそうな」と泣く演出はいささか「やりすぎ」。

宙に浮く女の幽霊に「工夫」が。
その正体をお楽しみに。
コメント
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