退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「現在のサル学の紹介と『現在』が『未来』を殺すこと」について

2019-04-17 02:18:05 | Weblog
晴れ。割りとおだやか。

中川尚司・友永雅巳・山際寿一編「日本のサル学のあした」をおそらく再読。

若手研究者の「現在」をあれこれ紹介したもの。
せっかくの内容がややもったいない感じ。

研究している当人たちにその内容を興味深く伝えられる能力があるかどうかは別の話。
それなりの「文章」が書ける人に頼んだ方がよかったような。

とはいえこの分野を目指そうと思っている若者たちにとって
「現状」がわかるのは悪いことではないのも確か。

もっとも京大を初めとして東大、阪大、東北大など「高偏差値」が基本。
それらをバネにしてそうでない大学の研究室にも奮起していただきたいもの。

かつての立花隆「サル学の現在」くらい面白ければなあ。
それももう28年前の作品ではあるけれど。

「知的興味」をそそるためにはもっと簡潔に要点を説明した方がよかったかも。
「どういう点について何が面白いのか」をピンポイントで。

とはいえ「再読」であることを忘れていたような読者の提言だから
いささか信憑性に欠けるものであるやもしれぬ。

詳細は本書に当たって確かめていただければ幸い。

それとは別に。

わが国の研究体制はいつのまにか「短期間で成果を上げる」という主義に毒され。
「論文捏造」を生み出しやすい「環境」と言っても過言ではなく。

つい先日もノーベル賞を取った本庶佑教授が小野薬品に「正当な対価」を要求するニュースなど。
「必要な投資」がなければ「未来」もなくなる当然がなぜか危惧されぬ模様。

そもそもわが国で「ベンチャー」は可能なのだろうか。
いわゆる「富裕層」にそうした「余裕=豊かさ」はあるのだろうか。

好ましい「選択と集中」が行われるためにはそれを見極める「人材」も必要。
残念ながらその種の人々の存在を耳にしたことはなく(かつての民主党政権の仕分けは問題外)。

少なくとも「サイエンスの世界」の中で
それぞれの研究がどのような「位置」にあるものなのかを知っておかないとどうにも。

さらにはそうした内容を一般人にもわかりやすく解説することも重要。
これが「スポーツの世界」なら誰が見てもわかりやすいのだが。

「国威を発揚」するならこの世界がよかろう。
「過去の遺産」を賞賛するばかりではどうにもならず。

「現在のみを優先すること」は必ず「未来を殺す」。
そのことについてあらためてきちんと考えておきたいものではある。
コメント
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