さてさて先日届いた修理依頼のストーブたちも順番に仕上げて残るは右端の一台。
(左奥の№12はこの時の追記もので、パッキン改良とシールテープで解決しました。)
米軍用M-1942ですが、
これは少し変わった初期型というかプロトタイプ
以前「レアな初期型! GIストーブ ・M-1942 」でご紹介したように、
見た目は一般型とよく似ていても構造は全く別物。
で、実は私所有の一台も、いまだにいじっていなかったので、
今回併せてレストアしてみたいと思います。
というのも、実は私はこれをいじるのが初めてなので、
このように二台並行して作業ができると、仮に頭をひねる部分が出てきても
解決の糸口がすぐに見つかるから。
そういうわけでまずはばらしていくわけですが…
いやはやほんと、この手のGIストーブはみなバルブの分解に手こずる。
まずはゴトクを固定している歯車状のネジをポンチで叩いて緩めたあと、
接合部をトーチで焼いてレンチを噛ませて叩いて緩めていきます。
GI系は接合部を接着剤で固めてあるので、この焼く作業を怠ると、まず抜けません。
というわけでまずはこんな感じ。
で、このプロトタイプ独特な構造がこの部分。
この大きな歯車状のホイールを回転させ火力をコントロールし、
同時にニードル操作も行うのです。
こちらが一般的な1942のコントロール部。
aでニードルを、bで火力をコントロールします。
ですのでプロトの方は、いわばこの縦スピンドルに近い構造となっておるわけです。
そういうわけでバルブ部分を分解すると、
基本的な仕組みは前モデルであるMー1940を踏襲しているので、
今回の設計は、スピンドルをなくしコストダウンを図ったのかもしれません。
ちなみに修理依頼の方にはグラファイトガスケットが欠品状態でしたが、
私の方にはこのようなひも状のガスケットが封入されておりました。
石綿(アスベストかな?)
でも、おそらくここにはちくわ状のグラファイトガスケットが入るはずなので、
これはきっと前オーナーなりの工夫であったんでしょうね。
さて、そういうわけでさらに分解したのち洗浄、磨き上げとしていて気が付いたのですが、
このヴァポライザー(加熱器)内部には二種類のストレナーが入っておりました。
上(ニップル側)には目の細かいもの、下には目の粗いもの。
目の粗い方が蓄熱性が高いのでヴァポライザーとしてはその方が好ましいのですね。
これが一般型の1942では細かい目のもの一種類ですからコストカット?
しかし写真にあるように、このプロトタイプのヴァポライザーは、
プレヒートカップにかしめてあり分離不可能でありますが、のちの一般型では分離でき、
予備パーツとしてヴァポライザーを付属させておりましたから、
こういうのは、現場で部品交換する際の楽さを考慮した結果かもしれませんね。
(出先でニップルのみを交換するのは厄介で、また小さい部品故紛失しがち。
でもヴァポライザー丸ごと交換ならそう手間もかからない。)
そういうわけで仮組をして動作を確認。
うむ、ひっかかりもなくスムーズに良く動く。
ちなみにこのコントロールホール、当初いものと思っていたけれど、
実はプレスなんですよ。
当時のアメリカのプレス技術はかなりいいですね♪
てなわけで、隙間にせっせとシートを押し込み圧縮。
これを根気よく何度も繰り返します。
地味ながら時間のかかる作業ですが、それゆえに時の経つのを忘れます。
でも、考えればここまでばらさないとガスケット交換ができないってことは、
メンテ性はかなり悪い!
なるほど、だからプロトで終わったのかも…
そんなこんなでバルブがきれいに組みあがりました。
さて、あとはタンクに接続して加圧して…
そして加圧して漏れをチェックっと。
あれ?ニップルから漏れている?
バルブを閉じ切っても、ニップルから少しずつ圧漏れを起こしております。
これはM-1940の時にも経験した吸い込み口の摩耗による圧漏れかと思われます。
同じ構造を持つだけに、弱点も同じなんでしょうね。
だから、のちのモデルはゴムパッキンを装備するに至ったのかな?
ちなみに、私の方もテストしてみましたが同様。
どちらも酷使され過ぎたのでしょうか?
まあ、そういった感じなので、スパッと消火できるかは怪しいですが、
テスト燃焼ならできると思いますので、後程時間があればしてみたいと思います。
すると…
あれ?漏れがなくキレイに燃える?!
おまけに消火もスパッと決まる?!
*この炎の色目と輝きの違いの理由については↓の動画のおまけをご覧ください。
*動画*
米軍用 M- 1942プロトタイプ試験燃焼 (US Military stove M-1942 prototype)
一応念のため冷ましては再点火を数回繰り返し、
そのつど5~10分ほど連続で燃やし続けても問題もないし圧漏れもない。
おまけに火を消し確認すると、先ほどのニップル圧漏れも治まってる???
?????????
燃焼の熱が何か関係している??
まあ、何はともあれこれはこれで一応完了ということだよな。
うん…
ですが、一応ねんのため、この旨を依頼主にお伝えし、、
後々も分解整備がしやすいようにバルブの締め込みはシールテープを厚めに巻いて締めこんでおきました。
でもこのストーブは、このバルブを締めこむ回転方向が、バルブが開く方向と同じなので、
問題が無い場合は、耐熱のネジ固定剤でバルブとタンクをしっかり固定しまう方が安心ですね。
これにて作業完了!
(左奥の№12はこの時の追記もので、パッキン改良とシールテープで解決しました。)
米軍用M-1942ですが、
これは少し変わった初期型というかプロトタイプ
以前「レアな初期型! GIストーブ ・M-1942 」でご紹介したように、
見た目は一般型とよく似ていても構造は全く別物。
で、実は私所有の一台も、いまだにいじっていなかったので、
今回併せてレストアしてみたいと思います。
というのも、実は私はこれをいじるのが初めてなので、
このように二台並行して作業ができると、仮に頭をひねる部分が出てきても
解決の糸口がすぐに見つかるから。
そういうわけでまずはばらしていくわけですが…
いやはやほんと、この手のGIストーブはみなバルブの分解に手こずる。
まずはゴトクを固定している歯車状のネジをポンチで叩いて緩めたあと、
接合部をトーチで焼いてレンチを噛ませて叩いて緩めていきます。
GI系は接合部を接着剤で固めてあるので、この焼く作業を怠ると、まず抜けません。
というわけでまずはこんな感じ。
で、このプロトタイプ独特な構造がこの部分。
この大きな歯車状のホイールを回転させ火力をコントロールし、
同時にニードル操作も行うのです。
こちらが一般的な1942のコントロール部。
aでニードルを、bで火力をコントロールします。
ですのでプロトの方は、いわばこの縦スピンドルに近い構造となっておるわけです。
そういうわけでバルブ部分を分解すると、
基本的な仕組みは前モデルであるMー1940を踏襲しているので、
今回の設計は、スピンドルをなくしコストダウンを図ったのかもしれません。
ちなみに修理依頼の方にはグラファイトガスケットが欠品状態でしたが、
私の方にはこのようなひも状のガスケットが封入されておりました。
石綿(アスベストかな?)
でも、おそらくここにはちくわ状のグラファイトガスケットが入るはずなので、
これはきっと前オーナーなりの工夫であったんでしょうね。
さて、そういうわけでさらに分解したのち洗浄、磨き上げとしていて気が付いたのですが、
このヴァポライザー(加熱器)内部には二種類のストレナーが入っておりました。
上(ニップル側)には目の細かいもの、下には目の粗いもの。
目の粗い方が蓄熱性が高いのでヴァポライザーとしてはその方が好ましいのですね。
これが一般型の1942では細かい目のもの一種類ですからコストカット?
しかし写真にあるように、このプロトタイプのヴァポライザーは、
プレヒートカップにかしめてあり分離不可能でありますが、のちの一般型では分離でき、
予備パーツとしてヴァポライザーを付属させておりましたから、
こういうのは、現場で部品交換する際の楽さを考慮した結果かもしれませんね。
(出先でニップルのみを交換するのは厄介で、また小さい部品故紛失しがち。
でもヴァポライザー丸ごと交換ならそう手間もかからない。)
そういうわけで仮組をして動作を確認。
うむ、ひっかかりもなくスムーズに良く動く。
ちなみにこのコントロールホール、当初いものと思っていたけれど、
実はプレスなんですよ。
当時のアメリカのプレス技術はかなりいいですね♪
てなわけで、隙間にせっせとシートを押し込み圧縮。
これを根気よく何度も繰り返します。
地味ながら時間のかかる作業ですが、それゆえに時の経つのを忘れます。
でも、考えればここまでばらさないとガスケット交換ができないってことは、
メンテ性はかなり悪い!
なるほど、だからプロトで終わったのかも…
そんなこんなでバルブがきれいに組みあがりました。
さて、あとはタンクに接続して加圧して…
そして加圧して漏れをチェックっと。
あれ?ニップルから漏れている?
バルブを閉じ切っても、ニップルから少しずつ圧漏れを起こしております。
これはM-1940の時にも経験した吸い込み口の摩耗による圧漏れかと思われます。
同じ構造を持つだけに、弱点も同じなんでしょうね。
だから、のちのモデルはゴムパッキンを装備するに至ったのかな?
ちなみに、私の方もテストしてみましたが同様。
どちらも酷使され過ぎたのでしょうか?
まあ、そういった感じなので、スパッと消火できるかは怪しいですが、
テスト燃焼ならできると思いますので、後程時間があればしてみたいと思います。
すると…
あれ?漏れがなくキレイに燃える?!
おまけに消火もスパッと決まる?!
*この炎の色目と輝きの違いの理由については↓の動画のおまけをご覧ください。
*動画*
米軍用 M- 1942プロトタイプ試験燃焼 (US Military stove M-1942 prototype)
一応念のため冷ましては再点火を数回繰り返し、
そのつど5~10分ほど連続で燃やし続けても問題もないし圧漏れもない。
おまけに火を消し確認すると、先ほどのニップル圧漏れも治まってる???
?????????
燃焼の熱が何か関係している??
まあ、何はともあれこれはこれで一応完了ということだよな。
うん…
ですが、一応ねんのため、この旨を依頼主にお伝えし、、
後々も分解整備がしやすいようにバルブの締め込みはシールテープを厚めに巻いて締めこんでおきました。
でもこのストーブは、このバルブを締めこむ回転方向が、バルブが開く方向と同じなので、
問題が無い場合は、耐熱のネジ固定剤でバルブとタンクをしっかり固定しまう方が安心ですね。
これにて作業完了!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます