ピーコはものすごく頑張って頑張って、
昨晩家族に見守られながら、眠りにつきました。
実は、昨日いつものように一緒に店番をしていたのですが、
お昼頃から様子がおかしくなってきたので、
奥さんと共に帰宅させ、自宅でゆっくりさせることにしたのです。
その後は夕方まで30分ごとに激しいけいれんを起こし続け、
それがかなりの苦痛を伴っているものならと、
家族で相談し、そして最後の決断をすべく獣医さんに連絡をしました。
病院へ向かう途中、早咲きの桜の木があることを思い出し、
少し寄り道しピーコをそこに連れて行きました。
「ん?何これ?桜?」
これで今年もピーコと梅、桃、桜をちゃんとお花見できました。
その後通りの向こうに見える病院まで向かったのですが、
いつもなら歩くのに面倒だと思う距離がこの時はやけに近く、
「このままずっと、延々道が続けばいいのに。」と思いながら歩きました。
病院に着き状況を説明、そして軽く診察。
今この状態で頑張っているのが信じられない状態だとのこと。
そして、痛みを取り除いてあげるための、最後の決断も立派な治療の一つですと。
そのうえで、もう一つの選択肢を提示してくださいました。
それがモルヒネによる痛み止めのパッチ処置。
いわゆる麻薬に相当するので扱いも難しいのですが、その鎮痛効果はかなりなものであるとのこと。
そして効き始めるのに半日ほどかかるものの、その後は3日ほど効果が持続するそう。
そこで私たちはそちらの処置をお願いし、再びピーコと共に家に帰ることができました。
「またお家に帰れるね♪」
(だから嬉しくて、つい寄り道しケーキを買ってしまいました。)
驚くことに、そんな状態でも目の中にはしっかりした光と力が宿り、
私たちの姿を常に確認するように追いかけてくれており、
帰宅後は娘の声に耳をあげ、頭をなでてもらえば しっぽも振りました。
だから意識はしっかりしており、まだすべてのことをちゃんと理解できている、
そういうことはまちがいなかったと思います。
その後夕方から2時間ほど痙攣もないので、
ほっとし、缶ビールを開けながらピーコを眺めて過ごしていると、
いきなり口を大きく開け、足をつっぱりだしたすではないですか!(午後8時10分頃)
これがその痙攣か!とそう思い、家族みんなで声をかけ体をさすりました。
すると、それは短時間で収まりすぐに力が抜け、息も深く静かに、「ふ~、ふ~」と。
ああ、よかった、今回は短時間だった…
とそう思いながら頭をなでていると、
あれ?なんだか様子が違う?
最後は奥さんが確認しました。
つまりあれは痙攣ではなく、まさに眠りにつく瞬間だったのです。
そうか、そうだったのか…
おそらくはパッチの効果はまだ出ていなかったとは思いますが、
それでも帰宅後の様子や、最後の姿を見ていると、
やはり家に連れて帰れてよかったと思います。
なにより、大好きな家族みんなに見守られ、声をかけられ旅立てたから。
思えば、昼過ぎからの痙攣というのも、実はただの痙攣ではなく、
その都度その都度、逝ってしまいそうなのを踏ん張っていてくれたのかもしれない。
そして、何とか頑張って、家族全員そろうのを待っていてくれたのかもしれない。
いや、そうに違いない。
何よりも、私たちがあの子を大好きだったのと同じに、家族のことが大好きな子だったから。
2007年8月21日、訳があり、不幸な生い立ちで3歳過ぎにうちに来て、
当初は、見るもの聞くもの、すべての人間が怖く、おびえることしかできなかったピーコ。
(特に男の人を異様に怖がり、私が触れると恐怖で脱糞するほどでした。)
だから家族でも、
「いつかこの子がしっぽを振り、楽しく一緒に散歩ができる日が来るといいね。」
と、そう話をしておりました。
そして、順々に時を経て、
股の間に丸めこんでいた尻尾をくるりと誇らしげに丸めて振りだし、
おびえるような目つきは、期待に満ちたクリクリのまなざしになり、
お散歩では、みんなの先頭を切って大好きなおばあちゃんお家向かって走ったり、
私の上着の中に頭を突っ込み、「ググーググー♪」と奇妙な声を出し甘えたり、
そして大好きなぽちという相手ができ、一緒に激しく遊んだり、
ドッグランでは、いつまでもひたすら笑顔で走りつづけたり。
そういうことができるようになりました。
そして最後までみんなの真ん中で…
無論、まだこの若さで、やっと、ここまで来たのに。
そういう思いがないはずがありません。
でもそれを、差し引いても、ピーコは幸せな時を過ごしてくれたと、
うちの子になってよかったと、胸を張って言えます。
たとえ、過ごせた時間が短くとも、その密度は計り知れないほど濃かったから。
うちに来てくれてありがとう。
うちの子になってくれてありがとう。
みんなのことを好きになってくれてありがとう。
そして、本当によく頑張ってくれてありがとう。
だから、後は先にゆっくりおやすみなさい。
またいつか、必ず会える時を楽しみにしているから、
それまでは他の子たちと仲良く待っていてちょうだいね。