またまたギャオネタ。
今松田優作特集をやっている。
その中に「野獣死すべし」があった。
以前観たことがあるが(面白いとは思わなかった、と
いうよりつまらなかったという印象)ちょっと観よう
かという気分になり、再び観てしまった。
結果、やはり面白くない。
そこで、面白くない理由を考えてみた。
まずは全体の印象。
安っぽい香港映画。
次に、主演の松田優作が演技過剰。
異常さを表現するためだろうが、その加減がちょっと?
この部分は、松田ファンからすると魅力のようだが、
そうでない人から見ると辛いものがある。
それとストーリー展開の無理無理さ。
これは、日本映画全体にいえることだが、嘘っぽすぎ
る。
所謂「リアリティーがない」というやつだ。
突っ込みどころが満載、と別の楽しみ方もできるが、
これは飽くまでも救済措置的映画の楽しみ方。
根本的に、ハードボイルド路線は、日本では難しいので
はないか。
何故なら、日本にはハンフリー.ボカートはいないから。
それで思い出すのは、高倉健主演の「ゴルゴ13」。
あれを観たときはあまりの安っぽさに呆然とした。
健さんも「網走番外地」以外だとこんなことになって
しまうんだ、と映画の怖さを実感したものだった。
唯、日本にも、ハードボイルド路線で成功した役者が、
例外的に一人いた。
市川雷蔵だ。
森一生監督の「ある殺し屋」などは、日本のフィルム
ノワール作品の傑作と言えるのでははないか。
良い監督と良い役者の幸福なマリアージュ。
そんな奇跡的出来事(どうも大袈裟だ)が、過去には
あったということだ。