長いこと、一度でかい戦闘艦を見てみたいと思っていた。
21世紀の今日、かつて「戦艦」と呼ばれた巨大な主砲を持つ主力艦は退役、原子力空母がその位置にある。
「横須賀基地に一度空母を見に行こう」と思いつつ早10数年。
とある日、海上から船で第七艦隊の「ロナルド・レーガン」をみられるツアーを見つけて家人と参加することにした。
朝、東京駅をバスで出発。横須賀基地のオープンイベントに参加し、船で艦船をながめるという趣向である。
ところが当日は悪天候のため、船が出せずに陸上見学のみ。
残念。
基地には戦艦三笠公園のゲートから入っていく。
様々な屋台が並ぶ中、乗艦体験ができるミサイル駆逐艦に向かって歩いて行くと長蛇の行列。
まあ寄港中の艦船をながめることができるのでさほど退屈でもない。
まず間近にみえてくるのが「揚陸指揮艦ブルーリッジ」、第七艦隊の旗艦である。
就役が1971年というから艦歴47年の大ベテラン。
全長190mであるから、旧帝国海軍でいえば軽巡最上より少し短く幅が少し広い。
通信に特化しているため派手な武装はない。
ハワイの司令部とテレビ会議ができるそうで守備範囲が広大な米海軍の旗艦は海に浮かんでいるほうが都合がいいのだろう。
海上自衛隊の指令機能は全て陸上にあり、旗艦という概念はないのと対照的といえよう。
艦船の隙間からロナルド・レーガンがちらちらみえているが、想定通りばかでかい艦である。
この新鋭空母は2015年10月に横須賀にやって来た。
全長333m、東京タワーのサイズである。
満載排水量は10万トン超。
F/A18E/Fを50機、その他支援機を搭載する。
第7艦隊の空母は初代が「ミッドウェイ」、「インディペンデンス」「キティホーク」「ジョージ・ワシントン」が務めてきた。
艦上はクレーンで何やら作業中、折しも北朝鮮情勢が緊迫している今年ここまで、どうやら緊急体制でもない様子で少々ほっとした。
じわじわと乗艦できる艦に近づいて来た。
ミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」。
1991年就役、全長153m余、満載排水量8,362トン。
帝国海軍の軽巡川内などと同じようなサイズである。
私がこれまで乗艦した軍艦は三笠記念艦とN.Y.に係留されている「イントレピッド」。
実戦配備の艦船は初めてである。
2時間近く並んでいよいよ乗船。
案外警備はいい加減なもので甲板を歩き回れるし装備にもほぼ触れることができる。
武装は全くもって強力。
2.5inch単装砲1門、機銃を数挺。
そしてミサイル駆逐艦の名のように甲板にMk41ミサイル発射プラットフォームを搭載。
こいつは垂直にミサイルを発射する(VLS)。
湾岸戦争の際、このプラットフォームから発射されるミサイルの映像をよく視た。
対艦対地トマホーク、対空スパロー、対潜アスロックなどやりたい放題。
今日一番みたかったのがこのプラットフォーム。
間近でみると意外に普通の造作でコンクリートで固められているようにみえる。
フタがパカッと開いて着火されたミサイルが飛び出していく。
誘導管制用のイージスシステムもみえている。
甲板からは空母「ロナルド・レーガン」の全体がみえる。
その光景をしばらくながめて退艦。
ツアーの自由時間がほとんどなくなり、三笠記念館にちょっと寄って終了。
公園近くの土産物屋に寄ってツアー終了。
海上から空母を見れなかったのは残念だが満足。
かようなイベントが催されるのも平時のこと、戦が起きぬよう祈る。