扶桑往来記

神社仏閣、城跡などの訪問記

種子島行 #3 薩摩の船旅

2016年10月15日 | 取材・旅行記

二日目はいよいよ種子島に渡る。

早起きして港まで歩いて行く。

天気は今日もよくはないが桜島が目の前にどーんと構えている。

 

船は高速船、「トッピー2」。

トッピーとはトビウオの意でこの船の性能を表している。

動力源としてジェットエンジンを使い、海水を放出して動く。

海中には水中翼があり揚力を生み出し船体を浮かせる。

このため、外から見ると船は船底まで空中にあり空を飛んでいるように見えるのである。

全長27.4m、163トン、最高速度は時速45kmという。

 

鹿児島港を出港した船は薩摩大隅両半島の間をゆるゆると行く。

幕末の頃、薩摩藩が要所に砲台を築き攘夷に備えた。

実際にイギリス艦隊が侵入、錦江湾で大砲撃戦を展開するのであるが、こうして現場検証してみるとなかなか勇気の要る航路といえる。

 

 

右手に開聞岳がみえてくるといよいよ外洋に出て行くことになる。

波が荒く船は盛大に揺れ、船酔いを通り越して怖いほど。

揺れるままに屋久島に停船。

半分ほど乗客が降りる。

外国人も散見され、トレッカーの装備をしている人が多い。

 

再び発進、馬毛島を左にみて港に向かっていく。

種子島は起伏が乏しく平たい。

南海の島として珍しく耕作に適していて米が豊富に取れ、二期作が可能。

おかげで米に困った薩摩藩に可愛がられた。

薩摩はもう少し南の奄美群島を琉球から取り上げ、相当にあくどいことをやったが、種子島までは同朋意識があったのではなかろうか。

 

無事に西之表に停船、上陸。

港内でレンタカーを借りて門倉岬に出発。

クルマはHONDAのフィット、小型車だがなかなか居住性がよく走行も快適。

種子島はひまわりの種のような形をしており、中程までは西の海岸線を行く。

天気が悪いのが残念であるが、交通量もごく少なくほぼひとり旅。

 

途中、坂井神社に寄り、日本一という大ソテツを見物。

 

 

次に近くにある国の重文「古市家住宅」を見学。

種子島最古の住居である。

切妻の平屋で本土のそれとさほど変わらない。

弘化3年(1846)の築というから幕末の動乱前夜の頃である。

 

 

 

古市という姓は大阪に多く、この古市家は戦国時代に種子島家の招きで来島したとある。

鉄砲伝来程ない頃で、いろいろ妄想が膨らむ。

 

ちょうど雨が降ってきたので雨宿りがてら茫々としていたら、庭掃除を終えた方がやってきた。

屋敷の維持をやっている近在の方で、しばし世間話などした。

旅の途中、こうした何気ないほのぼのとした時間は何とも心安らぐ思いである。

 

さらに南下、丘の上を走って行くと島の南端に向かってゆるやかに道が下っていき、その先に海が見えた。

なかなかドラマティックな景観といえよう。

坂を降りるとそこが門倉岬。

鉄砲伝来の地である。


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