発刊を待つ 「人のさいご」

2024-05-19 10:30:23 | タナカ君的 日常

 

 今日の東京新聞朝刊で 「人のさいご」なる40pほどの小冊子が発刊される事を知った。 Webで注文と考え調べてみたら、 価格は540円、 未だ市販に至っておらず、 発刊は6月になるとされていた。

 

 この小冊子は在宅医療を行っている「桜新町アーバンクリニック」さんに関わる、 お医者さんや看護師さん達の手によって書かれたそうだ。

 

 院長の 遠矢 純一郎 氏 は ”発刊に寄せて” の一文の中で以下の様に記している。

 

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 誤解を恐れずに言えば、在宅医療とは看取る医療でもある。様々な病気や老いにより徐々に衰弱していく過程に寄り添い、やがて訪れるいのちの終わりが、苦痛なく穏やかで幸せなものとなるように医療やケアを施していく。たくさんの方の最期をみてきた僕らにとって、命のフライトの最終段階はおおよそ同じような経過をたどることを経験的に知っている。だから多少の雨が降ったり横風が吹いても、大きくぶれることなく、安全に着陸するのを導くことができる。

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 ところで僕の80年の人生の中で人の死の間際の状態をどれほど経験したか? 成人してから身近にあった人の死、近親者の死は数人を越えているけれど、 大半は病院や介護施設の中で亡くなってしまった後に死に顔を見ただけ、本当の意味で死の直前から死に至る人を間近にする経験、 それはたったの2回しかありません。

 

 一度目は癌の手術で入院中の母を見舞った際に隣のベッドに居た高齢の患者さんに対する「看護師さんに依る痰の吸引作業中」吸引作業が上手く行かず、 「あっと言う間に呼吸が停止」呼ばれて駆けつけた医者によって付き添って居た患者の妻に対して死亡が告げられ、 慌ただしくベッド周辺のカーテンが閉じられた様子を目撃した。 

 

 そんな事が有った1年後、 退院して自宅で生活していた50代前半だった母の容態は急速に悪化し、 ひどい臭の血便を出す状態になった。  当時、勤務先の夏休み期間を利用して帰省していた僕は毎日下血そんな真っ只中から息を引き取る母と数日を過ごしました。

 

 近所の開業医は痛みを感じている母に対してほぼ毎日、 モルヒネ注射などで対処して呉れていたのだが、 亡くなったその日、 僕の推測では「痛みを抑えるよりも多量のモルヒネ注射で死期を早めて呉れたのではないか?」と感じ、 「心停止」の確認を告げられた時には「ホッとした」気分になったものでした。

 当日、 枕頭にいた叔父からも「心臓マッサージすれば、 まだ動き出す可能性はあったかも知んねえけど・・・」と言葉が有りました。 50年以上も前の事になりますが 「人の最後になんでもかんでも病院に放り込み、 医療費をバカスカ消費する事の今より少なかった時代」の話です。 

 

 これ以降、 父、 祖母、 叔父や叔母、 そして近年では同年代の従兄弟の死がありました・・・、 しかし母の死後は自宅で天寿を全う出来た祖母(近所で暮らす叔母の世話に依る生活維持が長寿に繋がった感が強い)を除くと、 他の人々は全て病院や介護施設で亡くなる時代になってしまいました。

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