温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

千手温泉 千年の湯

2011年09月16日 | 新潟県
兎口温泉の露天風呂「翠の湯」で後客として入ってきた方とお話していたら、その方はなんと十日町市の観光課にお勤めで、地元の観光に携わる人間としてどんな温泉なのかを体感すべく翠の湯へやってきたんだとか。その方に「十日町周辺で評判の温泉はどこですか?」と訊いたところ教えてくれたのが「千手温泉千年の湯」だったので、その日のうちに早速行ってみることにしました。

 
旧川西町の中心部に位置するこちらの浴場へ夕刻に訪れてみると、週末だからか駐車場はほぼ満車状態。ひっきりなしにお客さんが入ったり出たりしています。


古民家を模したような外観。敷地の関係か、ウナギの寝床の如く、縦(奥)に長い構造です。正面には無料の足湯もあり、多くの方が利用していました(画像の写っている簾の向こう側です。利用客に配慮してこのような撮り方をしました)。

 
伝統的な建築様式を取り入れながらも現代風に思いっきりアレンジされた館内空間は、天井が高く広々しており、それでいて温かさと落ち着きが存分に伝わってくるデザインで、休憩スペースがしっかり確保され、寛ぎをとてもよく重視している設計になっています。2階には仮眠室までありました。券売機で料金を支払って中へ。


2つある浴室を日によって定期的に男女入れ替えにしているらしく、この日男湯は左側の浴室でした。ロッカーも荷物を置く棚も十分な数が用意されており、洗面台はとっても綺麗。
混雑していたので内湯の様子はほとんど撮影していませんのであしからず。脱衣所から浴室へ入ってすぐのところにある洗い場にはシャワー付き混合栓が計11基用意され、スペースの関係か、4つのブロックに分かれて配置されています。
内湯の浴槽は窓に面して据えられており、室内ながら開放的で明るく入浴できました、浴槽はL字形で縁を玉石で囲んでおり、フクロウが2羽立つ湯口からお湯が注がれています。浴槽で画像に写っていない箇所(右の方)には泡風呂やジャグジーがありました。また、浴室内にはサウナ(&水風呂)があり、これの利用者が多い多い。


いかにも現代和風な趣の露天風呂は、浴槽こそコンクリですが、縁は檜材が用いられています。頭上には簾が覆っていますが、この簾には雨樋が設置されていたので、夏の日差しを遮るためだけではなく、季節を問わず常に掛けられているのかと思われます。

お湯は麦茶に赤みを増したような色で透明。湯中にはちらほら褐色の浮遊物が舞っています。ほろ苦い味を有しており、モール泉的な匂いとタールのような匂いがそれぞれ仄かに混ざり合いながら湯面から香ってきます。重曹が主成分なため、ヌルヌルツルツルスベスベ感がとても強く湯上りはすっきり爽快です。内湯は常時加水、露天は夏季の暑いときに加水されるそうです。加温や循環の無い掛け流しですが、実質公営な第三セクターが運営する公衆浴場の悲しい宿命、常時塩素系薬剤により消毒が行われています(館内にその旨が明示)。でも消毒に関してはほとんど気になりませんでした。

使い勝手が良く、空間構成も雰囲気も優れ、しかもお湯も良質となれば、混雑するのは当然の理であり、特に週末の午後は覚悟を要するかと思いますが、そんな人気や混雑が納得できてしまう、万人におすすめできるお風呂だと思います。

 
ちなみにここの近くには私が大好きなへぎそばの名店「小嶋屋総本店」があります。フノリ(海藻)をつなぎに使った蕎麦は独特の歯ごたえと喉越し、そして海藻ならではの風味が味わえるので、私はこの妻有地方へ訪れた際には、必ずここへ立ち寄り、そばを手繰って腹を満たします(画像は「へぎそば」ではなく「天ざる」ですが…)


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 53.5℃ pH8.1 350L/min(動力揚湯) 溶存物質1053mg/kg 成分総計1053mg/kg
Na:257.5mg(92.87mval%), Cl:87.7mg(20.58mval%), HCO3:493.1mg(67.33mval%)

新潟県十日町市水口沢121-7  地図
025-768-2988
ホームページ

10:00~22:00 無休(メンテナンスに伴う不定休あり)
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類(リンスもあり)・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
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原町温泉 ゆくら妻有

2011年09月16日 | 新潟県
 
私は行政が村おこしのために設けたような大きな複合施設はあまり好きではないのですが、そこに掛け流しの温泉があるとなれば話は別、たちまち触手が伸びてしまいます。十日町市(旧中里町)の「ゆくら妻有」はそんな施設のひとつでして、2004年に火事で烏有に帰してしまいましたが、翌年見事に建て直されて再オープンし、過日の大震災にもめげず営業を続けています。


目の前にはバス停もあって交通は至極便利…と言いたいところですが、便数が少ないんですよね。

この施設に付せられた名目は「地域農産物等活用型総合交流促進施設」。抽象的な熟語の羅列なので、いまいち意味が把握しかねますが、咀嚼して解釈すると、都会の人にここへ来てもらって、地域の農産部を買ってもらい、温泉にも入ってもらって、以て地域との交流を図ってもらいたい、ということのようです。一言でいえば「村おこし」ですよね。

外装は木造建築を模しており、周囲の環境に馴染むような、黒基調の渋くて落ち着いた雰囲気です。新しい施設ゆえに入口にはスロープが設けられているなど、バリアフリーがきちんと図られていました。
玄関入って右に受付があり、料金はそこで直接支払います。受付係員の方は愛想が良くてとても好感が持てます。中央に小さな休憩スペースが確保され、その右が女湯、左が男湯というように対称に分かれていました。


浴室はログハウスをイメージしたような造りで、全体として扇のような形状となっており、天井の梁は扇の軸から放射状に渡されていて、単純ながらも幾何学的な美しさが感じられました。側壁には木材が用いられ、洗い場のタイルは炭のような黒色、浴槽廻りのタイルもチャコールグレー等々、所謂現代風のモダン和風と称されるような、全体的にシックで落ち着いた色調でまとめられています。洗い場のカランは12箇所あって、全て新しいシャワー付き混合栓です。

浴室へ入った途端に鼻孔をくすぐるタールのような油臭が特徴的のお湯は、薄い黄色を帯びた透明で、口に含むとかなりしょっぱく、焦げたような苦みと微かな鉄味も混じっています。湯中では黄土色や褐色の小さな浮遊物がちらほら確認できました。それほど印象的ではないにせよ、ツルスベ浴感が得られます。湯使いは加温循環無しの掛け流しですが、夏季は加水され、また常時塩素による消毒が実施されているそうです。消毒に関してはほとんど気になりませんでした。

 
内湯から一歩屋外へ出ると、清津川の河原に面して露天風呂が設けられています。完全に屋根が架かっているので、半露天と表現した方がよいかもしれません。お風呂から望む河原には公園が整備され、川の対岸には丘陵の緑が広がっていて、とっても長閑な環境です。
内湯・露天共通なのですが、湯口には金属製の三角コーナーのような金網が置かれ、そこでお湯の浮遊物を漉し取ってから湯船へお湯を流していました。湯中でちらほら見えた浮遊物はこの金網をすり抜けてきたものなんでしょう。
内湯は43℃、露天は44℃強と、この日はやや熱めの湯加減でした。その上成分総計7954mg/kgというかなり濃い目の食塩泉なので、すぐに体が火照ってあまり長湯できず、湯上がりもなかなか汗がひきませんでした。でも豪雪に見舞われる厳冬期には湯冷めしない温泉としてその真価が発揮されること間違いありません。施設建設の目的通りに都会の人間がどれだけ来館しているかはわかりませんが、使い勝手が良いからか、訪問時には周辺集落から住民の方がたくさん集まって利用していました。


ナトリウム-塩化物温泉 57.4℃ pH7.6(採水24時間後) 309L/min(動力揚湯) 溶存物質7940mg/kg 成分総計7954mg/kg
Na:2447.0mg(79.13mval%), Ca:526.0mg(19.53mval%), Cl:4689mg(98.25mval%)

JR飯山線および北越急行・十日町駅より南越後観光バスの路線バス田代行で「ゆくら温泉」下車すぐ(所要約40分・土市駅からのバスもあり。本数僅少ゆえ注意)
新潟県十日町市芋川乙3267  地図
025-763-2944
ホームページ

10:00~21:00(最終受付20:30) 水曜定休(祝祭日の場合は前日)、年末年始・GW・お盆は無休
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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