温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東八幡平温泉 八幡平温泉郷 森乃湯 (そして松川地熱発電所)

2011年09月26日 | 岩手県
 
東八幡平温泉郷の観光拠点を兼ねた日帰り入浴専門施設です。自然豊かな岩手山麓の環境と調和するようなログハウス調の建物で、ガラスを多用しているため明るい雰囲気です。

 
道路を挟んだ向かい側にはこんな足湯(無料)がありました。


ロビーフロアには暖炉が設置された食堂や物産販売コーナーがあるのですが、和洋折衷というべきなのか、洋風の山小屋のような造りなのに和風な暖簾が下がっていたりと、この手の施設にありがちな方向性の迷走が見て取れます。それでも利用者は多く、私の訪問時も多くのお客さんが食堂コーナーで寛いでいました。


脱衣所は広々しており、手入れもちゃんとしているので、使い勝手は良好でした。ロビーや脱衣所など、館内の内装にはやたらと白い塗装が施されているのですが、せっかくなら外観同様にウッディな雰囲気を出せばいいのに…と思うのは私だけでしょうか。


休日に訪問したため、浴室内は大混雑しており、洗い場にある9基のシャワー付き混合栓が全て埋まっていたほどです。浴室内には上画像の主浴槽の他、サウナと水風呂が設けられており、サウナが人気を集めていました。日本全国どこへ行っても、サウナ併設の浴室は、大抵の場合お風呂よりもサウナに人気が集まりますね。
主浴槽はとても大きく、ガラス窓に面しているため、明るくて開放感があります。湯口から掛け流しで供給され、上画像の手前側の縁からオーバーフローしています。画像の奥の方は寝湯スペースとなっています。ただ、浴槽の中央部は私が苦手とする泡風呂が設けられており、ブクブクと常時騒々しい音を立てていました。

お湯は前回取り上げた「元湯七滝」と同じ「マグマの湯」と称される源泉、つまり松川地熱発電所でタービンを回した後に冷却された蒸気を利用しています。同じ源泉のはずですが「元湯七滝」とこちらの施設では、掲示されている温泉分析表の数値が大分異なっています。こちらの施設の分析表の方が新しいのですが(「元湯七滝」は平成9年、こちらは平成19年)、その間に源泉というか地熱発電所に変化があったのでしょうか。無色透明ながら微かに白く靄が掛かったような濁りを帯びるお湯は、仄かに酸味を有し、ゴムテニスボールのような硫黄的な匂いを弱く漂わせています。主浴槽の底には白い粉のような沈澱が沢山沈んでおり、歩くと足跡ができてしまうほどです。湯加減は42℃ほどですが、それでも他のお客さんには熱く感じるらしく、巡回に来た係員のおじさんに対し口々に「熱いよぉ」と文句を言うので、おじさんは大量に加水をはじめました。加水の是非はともかく、係員がこまめにお風呂をチェックしに来る点は大いに評価すべきことだと思います。


屋外に出ると露天風呂が2つ用意されていました。浴槽は上下に分かれ、上画像は下段の浴槽を写しています。その脇の階段を上がってゆくと…


上段の露天風呂です。上段の露天は2人入れば一杯になってしまいうそうな小さなものです。上段に上がったからといって、特段見晴らしが良いわけでもありません。強いて上段のメリットを挙げるならば、露天風呂の湯口は上段にしか設けられておらず、上段の浴槽のオーバーフローが下段の浴槽へ注がれるスタイルになっているため、下段で入浴していてもあまり良い気分にはなれない、上段の方が誰も触れていないお湯に入れる、ということでしょうか。でも露天はお湯の投入量が少なくて鮮度感がいまいちでした。

掛け流しのお湯ですが、温泉ファンが満足できるかはちょっと怪しいかもしれません。でも建物は立派で一通りの設備は揃っており、使い勝手はよいので、間違いなく一般受けするでしょう。


八幡平温泉(マグマの湯)
単純硫黄温泉(硫化水素型) 70.7℃ pH3.5 溶存物質178.4mg/kg 成分総計265.0m/kg
Na:17.0mg, Mg:1.3mg, Ca:7.0mg, SO4:79.3mg, 遊離CO2:75.7mg, 遊離H2S:10.9mg
平成19年8月8日分析

岩手県八幡平市松尾寄木第1地割590-280  地図
0195-78-3611

10:00~21:00
500円
ロッカー(小型・100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★


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●松川地熱発電所
この「森乃湯」を含めた東八幡平温泉郷へお湯を供給しているのが松川地熱発電所です。ボーリングして得られた地下の地熱で蒸気を作ってタービンを回して発電し、その蒸気は冷却塔で冷やされて、循環水として再び発電に使われたり、還元井によって水を地中へ戻したりしますが、その一部が温泉水となって麓の東八幡平温泉郷へと引かれているわけです。発電所本体は立ち入り不可能ですが、その入り口にあるPR館ならば見学可能ですので、ちょっと立ち寄ってみました。アイスランドの地熱発電所は本体に立ち入れるんですけどね…。


発電所へ近づくと武骨で大きな配管類があちこちに目立って敷設されているので、そのパイプに沿って先へ進むと…。


発電所の標識が立っていました。見学者に向けた注意も掲示されているのですが、浴衣での見学NGという旨が書かれていることに思わず苦笑。そんな奴いるのかしら。

 
こちらは松川発電所のPR館。一般者はここまでなら立ち入ることができます。開設期間中は年中無休なのですが、9:00~16:00までと閉館時間が早いのが残念。建物脇の配管設備からは、蒸気が音を立てて出ていました。

 
館内に入ると人里離れた山の中には場違いな綺麗なお姉さんが受付でお出迎え。それほど大きな施設ではなく、地熱発電の概要や仕組みなどをパネルや映像(スクリーン)を用いて説明しているだけでした。その中で目を惹くものは、松川発電所で以前使われていた日本最初の発電タービンや、本格運用開始前に稼働していたタービン発電機でしょうか。いずれも実物展示ですが、既にお役御免になったものですから、動物園に行って剥製を見せられているようなものですね。

 
思いっきり逆光の醜い画像で申し訳ないのですが、この大きな塔が冷却塔です。地熱発電所って、タービンや発電機よりも、冷却塔の方が目立っちゃうんですよね。タービンを回した後の蒸気は、この塔で冷却され、その一部が温泉水として東八幡平温泉郷へ供給されているわけです。つまりこの塔が源泉みたいなもんです。


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