温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

関温泉 登美屋旅館

2011年09月24日 | 新潟県

妙高の温泉地の中でも関温泉は、近所の赤倉や燕など有名温泉地の影に隠れてしまっており、存在感としては比較的マイナーですが、赤倉とも燕とも違う、独特の泉質のお湯を、どの宿も完全源泉掛け流しで提供していると聞き、どんなお湯か入ってみることにしました。温泉街入り口の看板には誇らしげに「源泉100%かけ流し」と記されています。

 
今回お邪魔したのは登美屋旅館。玄関まわりには立ち寄り入浴を積極的に受け入れていそうな雰囲気が漂っていたので、こちらを選ぶことにしました。玄関上の扁額や脇の立看板には「子宝の湯」と書かれていますね。特徴的な泉質を有しているのかしら。
帳場で料金を支払って浴室へ。ロッカーは無いので貴重品は帳場で預かってもらいます。

 
お風呂は男女別の内湯で露天はありませんが、妙高高原に向かって大きなガラス窓が嵌められており、麓の景色や遠方の山稜が見晴らせる、眺望のよい開放的な浴室となっていました。
お湯は湯口ではほぼ無色透明ですが、湯中に小さく細かな赤い湯の花が無数に浮遊しているため、湯船では薄いコロイド溶液みたいにほんのり橙色に濁って見え、特に浴槽や湯口まわりは赤茶色に強く染まっています。加温加水循環消毒なしの完璧な湯使いで、しっかりオーバーフローしています。湯口のお湯を口にしてみると、薄い出汁味+炭酸味+薄い金気味が感じられ、遅れて仄かな苦みも伝わってきました。臭覚としては、薄ら油のような匂いと金気臭が嗅ぎ取れるのですが、湯口では油臭が強く、湯口から離れるにつれて油臭は減り、かわりに金気臭が明瞭になってくるようでした。弱めですがスベスベ浴感が得られます。遊離炭酸ガスが480mgとかなり多めですが、浴槽へ注がれるまでに飛散してしまうのか、炭酸味としては残っているものの、湯船における肌への泡付きは確認できませんでした。

ところで上述のように、この温泉は「子宝の湯」なんだそうですが、当ブログで取り上げた台湾の瑞穂温泉、そして国内では伊香保や有馬など、各地で「子宝の湯」と称されている温泉は大抵鉄分が多いことが共通しており、この関温泉も赤く濁らせている鉄分が子宝をもたらせているのかと思われます。もっとも他の「子宝の湯」は、泉質ではなく、かつて存在した三助さんが影の主役だったという説もありますが、山間に湧く関温泉の場合は純粋に赤く濁った鉄分のお湯が効能を発揮していると考えた方がよさそうです。

燕温泉や赤倉温泉の傍にありながら、両者とは全く異なる泉質のお湯が完全掛け流しで楽しめる関温泉は、湯めぐりする上で、意外な穴場かもしれませんね。ところで○○ソムリエの家元さんは確か赤倉温泉の方だったかと思いますが、この関温泉はその○○ソムリエの認定ツアーに含まれているんでしょうか。いずれにせよ、近所で白濁湯(燕)と赤濁湯(関)の両方を比較体験できるんですから、妙高山の自然って素晴らしいですね。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 48.8℃ pH6 530L/min 溶存物質2205mg/kg 成分総計2685mg/kg
Na:630mg(69.4mval%), Ca:140mg(17.7mval%), Mg:40mg(8.3mval%), Fe2:1.2mg(0.1mval%), Fe3:3.4mg(0.5mval%), Cl:640mg(72.0mval%), HCO3:420mg(27.4mval%), 遊離CO2:480mg

新潟県妙高市関山6087-25  地図
0255-82-2319
ホームページ

立ち寄り入浴時間:不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

妙高池の平温泉 元気村温泉ハウス

2011年09月24日 | 新潟県

妙高高原のイモリ池から望む妙高山は秀麗ですね。まるで風景画の中に自分が溶け込んでいるかのようです。


このイモリ池周辺の池の平地区は多くの宿泊施設が点在していますが、池から南東へちょっと入った一角にはペンションが数軒固まっている「元気村ペンションビレッジ」という区画があり、そこのペンションが共同で管理している「元気村温泉ハウス」という温泉浴場があります。基本的にはペンション宿泊客のための施設ですが、料金を支払うことにより外来者も利用できます。


浴場は常時無人で施錠されているため、利用に際してはまずペンションで料金を支払って鍵を借りる必要があります。

 
鍵を貸し出すペンションは当番制になっており、その日の当番の施設へ一度足を運ばなくてはなりません。どのペンションが当番なのかはボードに掲示されていますが、案内表示の裏に隠れてわかりにくいので要注意です。私もはじめは全く気付かず、かなり迷いました。なお鍵を借りる際にはデポジットとして1000円を預ける約束になっているため、入浴料と合わせて1500円を用意しておく必要があります。もちろん入浴が終わって鍵を返却するときに1000円は返されます。
建物内には休憩スペース・飲料自販機などが用意されていました。日ごろからよく手入れされているようで、館内はとても清潔です。

 
お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。逆光の見難い画像で申し訳ありません。
タイル貼りの正方形に近い形状の浴槽で、縁には石板が貼られています。木の枡のような湯口から常時源泉が投入され、浴槽手前側の切り欠けから溢流しています。つまり掛け流しですね。
単なる普通の浴槽かと思いきや、一定間隔でジェットバスが作動し、忘れたころに突然ジュワっと泡が勢いよく噴射されて驚かされます。個人的にはジェットバスは余計だなぁ…。

源泉は妙高山山腹の南地獄谷から引いているものを使用していますが、南地獄谷のお湯は本来黒く濁っているはずであり、それに反して浴槽のお湯は無色透明であることから、供給される手前で沈殿濾過処理が行われているようです。本音を言えば真っ黒に濁ったお湯に入りたいのですが、濁ったままでは多くの観光客にとっては使い勝手が悪いでしょうから、濾過するのはやむを得ないのでしょう。それでも湯口では噴気地帯の黒泥のマッドポッドを思わせるような硫黄の匂いが弱く感じられました。また濾過処理を潜りぬけたのか、あるいは再生成されたのか、湯中では黒い羽根状の湯華がちらほら浮遊していました。お湯が浴槽から溢れ出てゆく流路周辺のタイルも黒く染まっています。なお味はあまり感じられませんでした。浴感にも特徴的なものはありません。

わざわざ訪れるような温泉施設ではないかと思いますが、イモリ池から近く、濾過されているものの掛け流しのお湯なので、近くを訪れた際には立ち寄ってみるのも良いかもしれません。


単純硫黄温泉 72.0℃ pH8.4 溶存物質844.6mg/kg 成分総計846.7mg/kg
Na:35.3mg(15.46mval%), Mg:28.2mg(23.29mval%), Ca:85.8mg(42.97mval%), HS:9.5mg(3.25mval%), S2O3:18.4mg(3.70mval%), SO4:188.7mg(44.01mval%), HCO3:253.4mg(46.47mval%), 遊離H2S:0.4mg
沈殿ろ過済み
湧出地:妙高山南地獄谷

新潟県妙高市池の平温泉元気村ペンションビレッジ1252  地図
0255-86-3779

10:00~21:00
500円(+鍵デポジット1000円)
シャンプー類あり、ロッカーやドライヤーは無し

私の好み:★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする