内牧の街外れにある、麗しく美しき田園風景の中の、一軒宿のような佇まいをした旅館「旅の宿 阿蘇乃湯」。こちらでは「町湯」、つまり内牧の公衆浴場としてもお客さんを受け入れているので、私も立ち寄ってみることにしました。今回訪れたのは田植えが終わったばかりの頃。苗が綺麗に並んだ水田は水鏡となって、阿蘇の外輪山を写していました(半年前の内容で申し訳ございません)。
道路に面して足湯が設けられており、無料で利用できます。
宿の玄関には日帰り入浴の営業時間が掲示されていました。シックな佇まいの館内にお邪魔すると、お宿のスタッフが朗らかで且つ丁寧な対応をしてくださいます。フロントに設置されている券売機で料金を支払い、そのスタッフさんに券を手渡して浴場へと向かいました。なお脱衣室内にはロッカーが無いので、貴重品を持っている場合は、ロビーにあるロッカーを使用します。
フローリングの脱衣室は清掃が行き届いており、とても快適です。窓下には休憩用の小上がりも設けられています。
木の扉を開けると、天井の高い浴室が広がっていました。壁や天井など室内には木材が多用されており、実際の瓦を用いて瓦塀を模している装飾もあって、全体的に和風な趣きです。
窓に面して洗い場が配置されており、シャワー付き混合水栓が6基並んでいます。洗い場の向かい側には腰掛けが一列に並べられ、ケロリン桶が整然と積み上げられていました。
浴室にある2つの浴槽の内、右側の一段高くなっている槽は水風呂です。私はそのことに気づかず、確かめもしないでいきなりここに飛び込んでしまい、あまりの冷たさにビックリして、その場で飛び跳ねてしまいました。
一方、水風呂より二回りほど大きい左側の槽が、温泉の注がれる主浴槽です。岩の湯口よりお湯がドバドバ注がれており、縁から惜しげも無く溢れ出ている他、窓下の槽内にも穴があって、そこからも排湯されていました。お湯の投入量が多いためか、湯船のコンディションは良好で、実に気持ち良い湯浴みが楽しめました。
「町湯」とはいえ、本来は旅館のお風呂ですから、屋外には立派な露天風呂も用意されています。黒川温泉テイストな、黒塗り木造屋根の下に、4~5人サイズの岩風呂が据えられ、お湯が絶え間なく注がれています。朝の陽の光を反射する湯面は、キラキラと青白い輝きを放っていました。
内湯同様に湯口から投入される量が多く、浴槽を満たしたお湯は縁からザブザブと溢れ出てゆくので、その様を見ているだけでも豪快な気分になれます。
お湯は無色透明でクリアに澄んでおり、芒硝的およびゴム的な(樹脂的な)味と匂いが感じられる他、弱いえぐみも含まれているようでした。また、湯船に浸かるとトロミが伝わり、ツルスベとキシキシが拮抗するものの、ツルスベがやや勝っているような浴感が得られました。
露天風呂の浴槽周りは塀に囲まれているため、湯船に浸かっちゃうと視界から周囲の景色が消えてしまうのですが、その場で立ち上がれば、木々の間から麗しい田園風景が目に入り、その向こうに聳える阿蘇の外輪山もはっきりと眺めることができました。
広くて清潔感があり、それでいて落ち着いた雰囲気を有するこのお風呂は、注がれているお湯もクリアで鮮度感も良好。実に気持ち良い湯浴みを満喫できました。
退館時にはスタッフの方が丁寧に玄関で見送ってくださいました。気持ち良いのはお湯だけではなかったんですね。私のような立ち寄り客でも大切にしてくださる、お宿のおもてなしの心が伝わってきました。
温泉分析表確認できず
JR豊肥本線・阿蘇駅より産交バスの内牧温泉方面行で「内牧」下車、徒歩10分
熊本県阿蘇市小里6 地図
0967-32-1521
日帰り入浴可能時間 8:00~10:00、17:00~23:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★