温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

長湯温泉 ながの湯

2014年11月05日 | 大分県
 

長湯温泉に点在する外湯の一つである「ながの湯」は、中心部から2キロほど離れた長野集落にある民営の公衆浴場です。山里の長閑な田園風景に、渋い木造の湯屋がポツンと佇んでいます。広々とした駐車場を完備し、家族風呂も併設されていますが、公共交通機関は無いため、車が無いとアクセスしにくいかもしれません。L字に建つ2軒の湯屋は、左側が家族湯(時間制の貸切風呂)で、右側は大浴場(いわゆる大衆浴場)です。


 
今回利用したのは大浴場の方です。無人の番台を挟んで右が女湯、左が男湯に分かれています。このカウンターにある料金入れへ湯銭を投入するのですが、どういう事情かカウンターの上にはパソコンのモニターが点けっぱなしになっており、今どき珍しい"Windows 2000 Professional"の画面を表示していました。
こぢんまりとした脱衣室は全面板張りで、ロッカーが設置されているものの、有料であるためか、私の訪問時に利用している人はおらず、皆さんご自身の荷物や衣類を、備え付けのカゴに収めて、床へ置きっぱなしにしていました。


 
浴室は伝統的な共同浴場の様式を踏襲するような、装飾性の無いシンプルな造りであり、壁は羽目板張りで、床や浴槽はコンクリ打ちっぱなしなのですが、温泉成分の付着によってコンクリ部分も赤茶色に染まっており、浴室全体が茶色一色に占められているようでした。室内の隅っこには上画像のようなL字形のパイプが立てかけられていたのですが、これって湯口のお湯を浴槽外へ逃がすためのものでしょうか?


 
洗い場にシャワーは無く、蛇口が2つあるばかりですが、私がこの蛇口を開けてみても水は出てきませんでした。従いましてこのお風呂で掛け湯する場合は、湯船から桶で直接汲むことになります。でも、200円という低廉な料金設定であるにもかかわらず、ボディーソープとリンスインシャンプーのペアが2組も用意されているのは立派です。


 
浴槽は目測で2.5m×4m、おおよそ6人サイズといったところ。湯口からはバフッバフッと、エアを噛んでしまったポンプのように間欠的に音を立てながらお湯が吐出されており、湯船ではやや熱い44℃前後の湯加減となってました。お湯はモスグリーンと橙色を帯びた山吹色に濁り、底面が目視できないほど強い濁り方を呈しています。吐出口からは金気臭がプンプンと漂っており、そのお湯を口にしてみますと、金気味と土気味、石灰感(硬水的な重い味)、正苦味泉的なビター感、そして明瞭な炭酸味が口の中で広がりました。なお炭酸味は有していますが、温度が高くてガスが抜けちゃうためか、湯船に浸かっても気泡の付着は見られません。湯使いは完全掛け流しであり、鮮度感は実に良好。この手のお湯らしいギシギシ引っかかる浴感が得られます。湯上がりは温まりが長く持続するとともに、土気のベタつきと引っ掛かりが肌に残り、お湯の濃厚さが実感できました。


 
長湯温泉のお風呂どこでも夥しい析出が見られますが、こちらもその例に漏れず、槽のまわりは成分析出で覆われて赤みを帯びたベージュ色の染まっており、特に浴槽の外側は細かなデコボコで覆われていました。また排水口周りの床では、成分付着がミルフィーユ状の層を成している様子を観察することができました。単に析出で覆われているのではなく、それが幾重にも重なっていたんですね。


 
 
今回私が利用していない家族風呂も、基本的には無人ですので、性善説に基づきセルフで所定の料金入れに湯銭を納めるのですが、そこから先の手筈がちょっとユニークです。浴室は通路に沿って何室か並んでおり、空いているところを任意で使うことができるのですが、入室の際にはホワイトボードにその時間を記入しておくのがここのルールとなっています。1組40分の時間制限があるのですが、部屋数が限られているために混雑時には空室待ちが発生するらしく、待っているお客さんのために、このような配慮がなされているようです。実際に私が訪れた時間帯(平日の夕方)にも常時1~2組は家族湯を利用していましたから、週末などはホワイトボードが活躍するほど混雑するのでしょうね。気取ったサービスや飾りなど無い質素なお風呂ですが、お湯の良さは折り紙つき、それゆえ多くのお客さんから好評を得ているのでしょう。


長野湯
マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉
温泉分析表見当たらず(別表の掲示は確認できました)
加水加温循環消毒なし

大分県竹田市直入町長湯7961
0974-75-2200

8:00~20:00
大浴場200円、家族湯800円(40分)
ロッカー(有料100円)・シャンプー類あり

私の好み:★★+0.5
コメント
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