妙高の温泉地の中でも関温泉は、近所の赤倉や燕など有名温泉地の影に隠れてしまっており、存在感としては比較的マイナーですが、赤倉とも燕とも違う、独特の泉質のお湯を、どの宿も完全源泉掛け流しで提供していると聞き、どんなお湯か入ってみることにしました。温泉街入り口の看板には誇らしげに「源泉100%かけ流し」と記されています。
今回お邪魔したのは登美屋旅館。玄関まわりには立ち寄り入浴を積極的に受け入れていそうな雰囲気が漂っていたので、こちらを選ぶことにしました。玄関上の扁額や脇の立看板には「子宝の湯」と書かれていますね。特徴的な泉質を有しているのかしら。
帳場で料金を支払って浴室へ。ロッカーは無いので貴重品は帳場で預かってもらいます。
お風呂は男女別の内湯で露天はありませんが、妙高高原に向かって大きなガラス窓が嵌められており、麓の景色や遠方の山稜が見晴らせる、眺望のよい開放的な浴室となっていました。
お湯は湯口ではほぼ無色透明ですが、湯中に小さく細かな赤い湯の花が無数に浮遊しているため、湯船では薄いコロイド溶液みたいにほんのり橙色に濁って見え、特に浴槽や湯口まわりは赤茶色に強く染まっています。加温加水循環消毒なしの完璧な湯使いで、しっかりオーバーフローしています。湯口のお湯を口にしてみると、薄い出汁味+炭酸味+薄い金気味が感じられ、遅れて仄かな苦みも伝わってきました。臭覚としては、薄ら油のような匂いと金気臭が嗅ぎ取れるのですが、湯口では油臭が強く、湯口から離れるにつれて油臭は減り、かわりに金気臭が明瞭になってくるようでした。弱めですがスベスベ浴感が得られます。遊離炭酸ガスが480mgとかなり多めですが、浴槽へ注がれるまでに飛散してしまうのか、炭酸味としては残っているものの、湯船における肌への泡付きは確認できませんでした。
ところで上述のように、この温泉は「子宝の湯」なんだそうですが、当ブログで取り上げた台湾の瑞穂温泉、そして国内では伊香保や有馬など、各地で「子宝の湯」と称されている温泉は大抵鉄分が多いことが共通しており、この関温泉も赤く濁らせている鉄分が子宝をもたらせているのかと思われます。もっとも他の「子宝の湯」は、泉質ではなく、かつて存在した三助さんが影の主役だったという説もありますが、山間に湧く関温泉の場合は純粋に赤く濁った鉄分のお湯が効能を発揮していると考えた方がよさそうです。
燕温泉や赤倉温泉の傍にありながら、両者とは全く異なる泉質のお湯が完全掛け流しで楽しめる関温泉は、湯めぐりする上で、意外な穴場かもしれませんね。ところで○○ソムリエの家元さんは確か赤倉温泉の方だったかと思いますが、この関温泉はその○○ソムリエの認定ツアーに含まれているんでしょうか。いずれにせよ、近所で白濁湯(燕)と赤濁湯(関)の両方を比較体験できるんですから、妙高山の自然って素晴らしいですね。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 48.8℃ pH6 530L/min 溶存物質2205mg/kg 成分総計2685mg/kg
Na:630mg(69.4mval%), Ca:140mg(17.7mval%), Mg:40mg(8.3mval%), Fe2:1.2mg(0.1mval%), Fe3:3.4mg(0.5mval%), Cl:640mg(72.0mval%), HCO3:420mg(27.4mval%), 遊離CO2:480mg
新潟県妙高市関山6087-25 地図
0255-82-2319
ホームページ
立ち寄り入浴時間:不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は帳場預かり
私の好み:★★★
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