お宿&かふぇ 布屋 《主人のひとりごと》

120年経った京町家を改修した民宿『布屋』

祇園祭2015 鉾建ての巻

2015年07月12日 17時35分44秒 | 京都観光
いよいよ祇園祭が始まりました。7月17日の巡行に備えて7月10日から鉾町では鉾の組み立てが始まりました。この時期は宿泊予約が結構あるのでなかなか実物を見ることが出来ませんでしたが今年はなぜか結構「空き」の日が続きます。これだけ市内に町家の宿が増え続けているので・・・。昨日の京都新聞の夕刊の一面に「ゲストハウス 出合い新鮮」なんてでっかく出ています。京都観光の新戦力「空き町家変身」とのこと。7月3日現在市内にはゲストハウスを含めた簡易宿所(布屋もそのなかの一軒です)が「498軒!」もあるそうです。2003年に始めたころは町家の宿は10軒くらいと聞いていたんで吃驚です。最近町を散策しているとあれっいつの間にこんなところに宿が出来てると感じることが多いです。なんて呑気なことは言ってられませんがでも祇園祭の鉾建ても見てみたいし・・ということで7月10日の初日に鉾町へ見学に行ってきました。この時期四条を通るバスは避けた方が賢明です。地下鉄で四条まで出てまづは四条烏丸の「長刀鉾」へ。



午後4時近いですが「長刀鉾」は縄がらみの真っ最中です。





ご存知のように釘は一切使わずひたすら縄で組み上げてゆきます。熟練の技にしばし感動。四条烏丸を西にゆくと



「函谷鉾(かんこほこ)は作業が終わっています。ななめ向かいの



「月鉾」も見事に組みあがって夕日に照らされています。美しい。もうひとつ四条室町を下がったところにある「鶏鉾」にも寄ってみます。



なんとここは組みあがって横に倒され「真木」(鉾の真ん中を貫き天に飾りをつけた芯棒)が取り付けられています。鉾建てをじっくり見るのが初めてなので暫く見てゆくことにします。この時点で午後4時過ぎです。



真木の先なんてこの機会しか見れません。



榊に白幣をご町内の方々がつけてゆきます。



暫く作業を見ていたら組み立てにあたりいろいろ指示、相談をしている人に気が付きます。あれっ「末川さん!」うちの第二次改装を担当して頂いた建築家の末川さんがいます。「こんにちは」「あれっ布澤さん」と一気に鶏鉾に親近感が涌きます。昨年の大船鉾の再建にあたり設計を担当された京町家作事組の理事です。「大船鉾担当なのになんで鶏鉾もやってるんですか?」「昨年の巡行の際に問題があった個所の再生を頼まれて・・」とのことでした。もう少しで取り付けが終わったら建てるとのことで建てあがるまで見学することにします。今晩は宿泊客もないので時間に余裕があります。



真木を取り付けて飾りつけを済ますと鉾の遥か先にあるウインチでワイヤーに縄を結び付けて引っ張るらしい。ところが色々準備や方法に手間取りなかなか建ち上がりません。すでに午後6時近い。炎天下で2時間。でも周りの見物の人はどんどん増えてゆきます。午後6時過ぎに



鶏鉾作事方が上にあがり引っ張る縄を結んで準備が始まりました。



掛け声とともにウインチで締め上げられた縄がギシギシ音をたてて徐々に上がってきます。北側の縄で引っ張り、よく見ると南側にも縄がありお互い声を掛け合い



徐々に上がってきます。観客もみな見上げています。







あと少しです。そうか北側と南側のそれぞれの縄でバランスを取っていたのだ。





45分くらいかけて建ち上がりました。観客一同が拍手で祝います。ご苦労様でした。もう午後7時近いです。結局3時間ばかり鶏鉾の鉾建てを堪能しました。末川さんが「鉾建てが一番見ごたえがある」と力説していました。宵山や巡行ばかり注目されますがホント祇園祭は奥が深い。次回は「曳き初め」を報告します。