堀北真希と檀れいのダブル主演とは、なんという俺得な配役であろう。しかし、タイトル、特に工夫のないサブタイトルに強い地雷臭を嗅ぎ取った。見る前はそんな感じで期待と不安が半々だった。
堀北真希は来宮渚という刑事。殺人現場で犯人の悪意にシンクロして手がかりを得る。その後必ず倒れる。ぶっきらぼうな物言いや、表情が変わらないところなど、なりきってるじゃん。普通に感じ悪いわ。ということは演技が上手いのか。あと、悪意を感じ取ろうとするときに、まったくまばたきしないことに僕は気づきました。
檀れいは、峰岸雪乃という頑固で真面目で反抗的な刑事。カンみたいな感覚に頼る来宮を嫌っている。「福家警部補の事件簿」とは真逆のキャラクターである。「推理なんて面白い?」という台詞は「あんたが言うなwww」というツッコミを期待してのものだろう。
パート感覚のおばさんプロファイラーという紹介が可笑しかったYOUは柳という警部補。全然警部補には見えない。だが、この人が一番面白い。女性論みたいのが、たぶんこれ真理だな、という話ばかりで勉強になった。
26日に予定されている結婚式を全部中止しないと人が死ぬという脅迫状は、巧妙だと思った。全部中止出来るわけないし、この犯人が何もしなくても一日のうちに1件くらいは殺人事件が起きるだろう。憂さ晴らしとしてはよく考えられている。
と思ってたら少し違った。嫌がらせしたい相手の結婚式の日を狙って脅迫状を出していた。そして、やはり関係ない殺人が発生。
国生さゆりの死ぬ演技がうまかった。そんなに頑張らなくてもいいのにってぐらいリアルな呻きだった。有力な容疑者の井上麻弓には完全なアリバイがあったが、毒殺なら時間差攻撃できる(カプセルとか)とこのときは思っていた。
伊田殺害では容疑者の鈴木遥子にアリバイがあった。2つの殺人と2つのアリバイ。交換殺人だな!それならシンクロしたのに何もなかったのも頷ける。
課長(大地真央)に「あなたはもっと優秀だと思っていた」「来宮はなぜ現場に立つと思うか」といわれて峰岸が改心する。ちょっと簡単だなと思った。現場に行ってみたらまたぶっ倒れてて、来宮の刑事としての使命感みたいなのは認めざるを得ない展開ではあったが。
その後の18年前の事件の説明が若干急ぎすぎ。そこまでは各キャラクターの台詞が、おそらく意図的にゆっくり聞き取りやすくされていたり(壇れい除く)、手がかりや伏線の提示も丁寧だったのに。
それでも、すぐに「現代の美マダムも入れ替わってる」と僕は洞察できたので、わかりにくかったというほどでもなかったのかな。高校生男女の待ち合わせ場所がボロい小屋であることの不自然さは払拭できなかったけど。不自然っていうか、あの3人が小屋や断崖の周りで生きていたことのリアル感がなかったというか。
ずいぶん早めに犯人が判明したぞと思っていたら、断崖で犯人二人の長い告白。2時間サスペンスでは、犯人が動機と不幸な人生をペラペラしゃべるというルールを忘れていた。金曜ロードショーの枠でもルールには従うんだな。
交換殺人はいいんだけど、井上麻弓は伊田を殺さなくてもよかったのでは。約束を破ることになるが、相手の弱みは握ってるわけだし。ていうか、最終的には相手を殺す計画なわけだし。
花とヤミ整形が伏線になっていて、ちゃんと回収されていたのはよかった。
言うまでもないが、全体的に女性目線で女性が楽しめるように造られたドラマだと思った。女性じゃないと思いつかない会話や推理が多い。調べたら脚本家はやはり女性だった。だが、異様なほど番宣した割には強烈なインパクトはない。
何であんなに宣伝したのかなと思っていたら、最後に渚が両親の写真を見たり、大地真央が成長してるといってみたりして、明らかに次もある雰囲気。毎週1時間を11回とかではなく、年に3回くらいやる2時間ものとしてシリーズ化するんじゃないだろうか。堀北真希は2時間サスペンス女優って雰囲気じゃないけど。