曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

「犬神家の一族 2018」の感想

2018-12-25 16:40:32 | テレビ・映画


僕は「犬神家の一族」が横溝正史作品で一番好きである。本格推理小説としての評価は「獄門島」などに比べると落ちると言われているが、「犯人も知らなかった事後共犯」「二人一役」をこれほど効果的に使った作品を僕は知らない。なので、なぜクリスマスイブに犬神家? なんでも平成最後のって付けるんじゃねえよ、と思いながらも見てしまった。

さきほど他の人の感想を見てみたら、市川昆監督・石坂浩二主演の映画と比較して批判する人が多かった。僕もあの映画版は大好きだが、あの映画にも重大な欠陥がある。佐智の死体を屋根に上げる無意味さとか、湖の逆さ死体の絵解きがないとか。おどろおどろしさとか広大な日本家屋の闇の表現とかでカバーしているが、あの映画だって手放しでほめられるものではなかった、と言っておく。

では今回の感想。

四分の三までは、だいたい原作に近い。CM込みで2時間だと入りきらないだろうと思っていたのだが、適度なテンポで各シーンを拾えていた。

マスクは佐清の顔を模したもののはずだが、今回のマスクは賀来賢人ではなくドランクドラゴン鈴木のように見えた。

市川崑版は撮影時期の関係か夏っぽいのだが、今回のは原作どおり秋から冬で、そこはよかった。

加藤シゲアキは、あれはあれでいいのでは。昭和24年だと金田一耕助はまだ若く、あのくらいの歳でも問題ない。演技も彼なりの金田一耕助をやれてたと思うけど。ただ、旅館に着いていきなりホームズばりの推理を披露するのは余計だった。金田一耕助はそういうタイプの探偵ではない。もちろん原作にもあのシーンはない。

生瀬勝久の橘署長が面白かった。金田一が勝手に出ていったときの「ちゃんと閉めろよ」とかはアドリブなんだろうか。加藤武の「よし!わかった!」のポーズも小さくやってた。

高梨臨は割りと好きな女優だし、雰囲気もあってるが、結婚しちゃったからなあ。佐清も既婚だけど。

佐智が珠世に形だけの結婚で協力を仰ぐのが新しいと思った。原作では、珠代は絶世の美女なので色欲なしは有り得ないと佐武、佐智共に思っているので。

その佐智の遺体は木に吊るされた。吊るす意味は語られなかったが、女性一人の犯行であることを隠すためだとしたら、まあ有りかな。ロープで上げるとき、かなり力が要りそうに見えたので。じゃあそう語れよとも思うが。

というわけで、前半はよかったのだが、後半は原作改悪が連発してた。

一番ダメな改変は、珠世が犬神佐兵衛の初恋の人・野々宮晴世の孫だから遺産を相続させるというところだろう。原作では珠世は佐兵衛の孫である。野々宮大弐は性的に不能で、佐兵衛と晴世は大弐公認の不倫関係にあった。エグい設定なので自粛したのかもしれんが、そのエグさが横溝正史だし、まさか孫だったとは!という原作のびっくり感もない。それに、お金だけならともかく、何千人も従業員がいる会社の行く末を決めるのに初恋はないでしょ。

小夜子(佐武の妹)が存在しないので、真・佐清と珠世に遺産を継がせつつ、小夜子と佐智の子供も経営に参加させてやってねという松子の配慮から生じるこの作品の爽やかな読後感が半減している。

宮川香琴が青沼菊乃だという設定がない。呪うほどの仇敵に琴を教えるのは不自然と言えばそうなのだが。市川崑の映画にもこの設定はない。

一度でも手形が一致したということは、本物の佐清は生きていると松子夫人は確信するわけだが、黒木瞳は偽者を殺したあと意気消沈していた。おかしいなあ。

で、佐清が生きてるからには、まだ逮捕されるわけにはいかないと、ない知恵を絞って「スケキヨ」を逆さにして上半身を湖に突っ込んで「ヨキ」を表現し、一連の呪い的なやつに見せかけたわけだが、あの判じ物はなぜか猿蔵が考えたことになった。市川崑の映画は、判じ物の説明すらないので、そこは評価したいが。

全体的には、期待してなかった割には楽しめたし、頑張ったのはわかるのだが、残念な部分もあった。でも残念なのは加藤シゲアキのせいではない。やはり脚本が、というところかな。

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iPhone 6sでHipstamatic ~ NEWTOWN NSW HIPSTAPAKの巻~

2018-12-16 22:12:55 | カメラ
12月分の配信はマークス・アンダーセンという写真家にインスパイアされたというNEWTOWN SYD HIPSTAPAKだった。

NEWTON SYDはオーストラリアのシドニーにあるニュータウン地区のことだと思われる。マークス・アンダーセン氏はシドニー出身らしい。

マークス・アンダーセンのサイト「Lens Culture」

今回のパックはレンズ1種、フィルム2種のセット。MARKUS NSWレンズは、例によってコントラスト増加という普通の特性だが、このパックのフィルムと合うように設計されているらしい。SPRKT-BWフィルムは粒状感が強い白黒フィルム。公式にある「2-stop pushed」は二段増感現像のことらしい(ISO400を1600に?)。SPRKTはスプロケット(フィルム巻き上げ用の穴)のこと? スプロケットは正直邪魔だが、極端なコントラストと増感時のようなざらつきは、森山大道のような写真を撮りたい気分のときに合うかも。

SPRKT-ULTIMOフィルムは「This 1600 ISO color film adds contrast and organic film grain to your photos.」とあるので、高感度1600のカラーフィルムっぽいやつらしい。オーガニックフィルムは銀塩フィルムのことだろうか。BWのほうをカラーにしたようなフィルムだが、BWほど面白くないのはなぜだろう。

作例は白黒がSPRKT-BWでカラーがSPRKT-ULTIMO。レンズは全部MARKUS NSW。












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Olli by Tinrocket マーキュリー&トパーズパック

2018-12-08 00:07:12 | デジタル関係
気に入ったアプリに追加のパックがあると、つい買ってしまう性分なもので、これもやはり全部買ってしまったのだった。前回と同じ鳥居写真を加工して、各スタイルを紹介していこう。

まずマーキュリーパック。


PERRY
塗り方が今までとはかなり違う。被写体によってはシャレオツになりそうだが、実際の色とはだいぶ違う。


LIDA
PERRYの青ピンク版だが、輪郭線も少し違うような。木の葉部分で拾ってる線が微妙に違う。生成するたびに多少ランダムなのかもしれないが。


OBIE
これはもう分かんないです。割と明るいところを黒く潰すみたいなんですが。何のためにそうするのか…。


ALMA
PERRYとあんまり違わない。ちょっと色合いが地味だが、こっちの方が実際に近い。

次にトパーズパック。

SALTの色違いなのでは?という不安を抱きながらポチりましたが、使ってみると違ってました。塗りのアルゴリズムが違うように思う。SALTはハーフトーンの塗りがないですが、トパーズパックはある。

でもトパーズパックの中では全部同じ描線と塗りで、色が違うだけ。モノトーンでSALTとは違う味わいのが欲しかったので満足してますが。


RUSSET


INDIGO


PINE


MAIZE


BERYL


ROSE

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Olli by Tinrocket シネマ&スイスパック

2018-12-02 20:48:54 | デジタル関係
Olliのスタイルには、購入時に最初からついてくるやつと、後で追加するやつがある。追加するやつは、無料と有料のとがある。

今回は無料のシネマパックと有料3パックのうちの一つスイスパックの効果を紹介する。


PLATINUM
まずシネマパックから。一番オリジナルに近いかな。


GOLD
適度に淡い色あいになってていいように見えるが、シネマパックは全体的に塗らずに透過させる傾向があるので、被写体によっては生々しくなることも。


BRONZE
プラチナの色違い版みたいな。鳥居の照りとかシエンタの銀色塗装の陰影とか、誇張されてるけどそのままなんだよね。これを僕は透過してるって言ってるんですが。


SILVER
透過・誇張のアルゴリズムは他のシネマパックと共通でグレイスケールにした、みたいな。


MAX
120円で購入したスイスパックの一つ。縁をぼやかしただけで個性がない。他のと輪郭の拾い方とかタッチで明確な違いを見せてほしかった。公式の作例はいい感じなのになあ。


SOPHIE
まあ、でも影の形は違うかな。スイスパックは陰影の付け方全部同じで色あいでバリエーション出してる感じだね。


LARS
抑えたっていうか褪せた色調。


TIPI
青緑っぽい色調。

それにしても「Olli」ってどう発音するんだろうね。僕はなんJ的に「オッリ」と読んでるけど。サンキューオッリ、みたいな。

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