曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

小田原ドラゴン「今夜は車内でおやすみなさい。」第10巻の感想

2024-07-22 12:25:00 | 
すでに最終の11巻が出てしまった。10巻の感想を書くまではと思って、まだ封を開けていない。

9巻はまるごと沖縄だった。10巻のルートは沖縄から九州に戻って長崎、軍艦島、福岡、門司、実家の明石(兵庫県の)から一端帰京。夏を飛ばして秋に再度北海道へ。念願の三毛別に行って本州に戻り、福島まで、かな。次は最後に残った北陸へ、というところまで。

ルート的に中途半端な巻で、内容も若干散漫というか。作者自身も言ってるが、北海道編、沖縄編という大きいネタが終わって、あとは日本一周達成に向けて淡々と準備したりだらだらしてる感じ。

今に始まったことではないが、シャークの特殊な個性というか変わった性格が話に出てきてしまっている。自宅のトイレでしか大ができないとか、スーパー銭湯に行っても湯船には入らないとか、親戚が来て家にいられなくなって車中泊したとか。創作ではなく作者の実際の性癖を隠さず描かれていて、うーんそこはもうちょっとキャラとして作った方がいいのでは、と思う。もう主人公はシャーク小笠原ではなく、小田原ドラゴン本人になってしまっている。

刺さったのは明石の実家を売りに出すシーンかな。うちの母親もここ数年ずっと調子が悪く、シャーク同様僕も父をなくしているので、実家をどうするかは他人事ではない問題である。





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小田原ドラゴン「今夜は車内でおやすみなさい。」第9巻の感想

2024-05-26 17:44:39 | 

またしても遅くなった。10巻が出てしまったので慌てて9巻の感想である。

8巻は阿蘇で終わっていた。9巻は宮崎を経由して鹿児島へ。沖縄に行くかどうかという「この旅最大の決断」をして沖縄へ(往復17万もかかるらしい)。22日も滞在して、巻の最後で沖縄を去る。9巻は、ほぼ沖縄巻といってもよい。帯にある通り。

那覇は千葉県といわれてもわからないくらい都会だと作者は言っている。首都圏との違いは植物が元気なことと、いたるところにシーサーがいることだと。あと、同じ気温でも日差しの強さが全然違って、突き刺さるような暑さ。今までは車中泊の旅なのにと読者に謝りながら、たまにホテルに泊まっていたが、沖縄では熱中症対策として謝罪なしのサイレントホテル泊をしている。

サイン本を買いに来た人から、この作品はうつ病にいいんですと言われる。気分が晴れると。僕も仕事で落ち込むようなことがあった時にこの本に出会って救われた(1巻と2巻のころ)。一見しょーもないことばかり描かれている漫画なのだが、落ちている人にはそういう効果があるんだなと思った。

いつ来ても同じところに停めてる車上生活者的な人がいたり、東京を捨てたシャークの元担当編集O江さんと再会したり、シャーク自身もだらだらと22日間もいたりして、人生にはぐれた人が流れてついてしまう雰囲気が沖縄にはあるらしい。シャークの筆にかかると、それは魅力的というよりも、ちょっと澱んだ感じというか、やる気が出ない気だるさというか、そういうのがあるように読める。実際そうなんだろうか。

うつ病だという読者が本を買って行った後のページ

沖縄っぽいページをピックアップしてみた

 


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小田原ドラゴン「今夜は車内でおやすみなさい。」第8巻の感想

2024-03-10 21:25:00 | 
さっさと書かないと9巻が出てしまうので慌ててレビュー。

北海道から本州に戻り、東北を南下、宮城県、群馬県を通っていったん帰宅。4ヶ月後に再出発。実家に寄ってから四国を通過して九州上陸、阿蘇まで。

見所というかポイントは巻の冒頭いきなり来る。読者からの質問に答える回で、旅に出て良かった、景色が変わると自分も変わると、まとめ的な持論を展開した。

シャークがすでにそういう境地に入っているので、中年男性のメンタルをえぐるエピソードや述懐はほとんどなく、由美子さんも登場しない。

父親を全く信用していなかったとか、小用でも座ってするとか、小さな従姉妹から花火を取り返したとか、今までもちょいちょい出てきたシャーク=ドラゴンの特殊な個性が改めて公開された。割と回想が多い巻だったかもしれない。


最終巻まではまだもう少しあるはずだが、この旅=この作品の結論のようなものが出た

群馬県太田市では、広くて新しい大通りに面した風俗街に驚き、あるはずのドン・キホーテがなくて戦慄する。太田市は何度かドライブで行ったが、僕も同じ目に遭って?いる。


ヒプスタで作品的に撮ったので分かりにくいが、太田市の駅前通りから一本東にずれた大通りの風俗街。




テナントがほぼ全部撤退した太田市の駅前ビル。僕が行った時は、かろうじてドンキが臨時店舗で営業していた。





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小田原ドラゴン「今夜は車内でおやすみなさい。」第7巻の感想

2024-01-20 11:16:22 | 
第6巻の感想記事に書いた公約を破ってしまった。第7巻の感想は早めに書こうと決意していたのに、一昨日第8巻が出てしまいました。

7巻の感想を書くまで8巻は読まないと決め、これを書いております。8巻はまだビニールを破ってません。

やっぱり連載が終わると単行本の制作ペース上がるのかね。最近早いわ。

さて、7巻の行程は、根室近辺から帯広、富良野、旭川を回って札幌、室蘭、函館。連絡船で青森に渡ったところまで。

根室と釧路周辺が結構長い。釧路のイオン二軒を行ったり来たりする。僕でもすぐに場所のイメージが浮かばない標津町が多めに描かれたりする。

恐らく旭川あたりで、シャークのツイキャス視聴者のだんごむしちゃんからDMが来て、急遽彼女がいる札幌へ。Wi-Fiを使わせてもらうという名目で泊めてもらう。

ついに来たかと主人公は思うが、読者としては、またオチがあるんでしょという展開。特に何かが起こることもなく、だんごむしちゃんが寝てるそばで本作の原稿を描いてるうちに朝が来てしまう。

シャークは北海道に移住して彼女と...と想像するが、その後のやり取りで彼氏の存在が判明。やっぱり。

7巻は久々に人生とか青春とか塊根のネタが多い。根室の喫茶店では、この小さな町から出ていくであろう若者に想いを馳せ、連絡船の船上でだんごむしちゃんを思い出して涙し、青森では若い頃出会った女子大生を帰してしまったことを後悔して身悶えする。

室蘭の定食屋で食べた串カツ定食の串カツが小さかった。「楽しかった思い出は後で少し寂しい思い出になる。そうでなかった思い出は、後で少し楽しい思い出になる」とモノローグが入る。前者はだんごむしちゃんの件で、後者は串カツにがっかりした件である。シャークが旅人として完成しつつあると思わせる第7巻だった。

いろんな土地で人は生まれて、生きて(あるいは町を出て)、死んでいくということを根室の喫茶店で思う。

何もしないから何も起こらずに朝になってしまった。らしいオチだった。

久々に青春の悔恨が炸裂した巻だったが、由美子さんは登場せず。



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小田原ドラゴン「今夜は車内でおやすみなさい」第6巻の感想

2023-11-23 19:42:00 | 



発売されてからずいぶん時間が経ってしまった。どのくらい経ったかというと、先日7巻が発売されてしまった、というくらい感想を書かずに時間が経ってしまった。

言い訳はしない。単に書くのを忘れてました。

6巻は、北海道編の途中から始まり、一瞬東京に戻ってまた北海道旅行。の途中まで。ほぼ丸ごと北海道と言って差し支えない。

一瞬東京に戻る理由が結構重い。実は、シャークは日本一周前に念のため受けた健康診断で、肺に影が見つかっていた(作中ではここまで描かれてない)。気にしながら旅行してきたのだが、札幌モエレ沼公園付近で滞留中に微熱が続き、怖くなって一時帰京。

僕にはもうあまり時間がないかもしれない。そのときが来る前に日本一周だけは達成したい。

戻りのフェリーでそう決意したりしてシリアスな展開だったが、再検査の結果は肺炎の跡でしょうということで、問題なし。

身体に問題がないと分かると平常運転に戻った。紋別ではクルマで寝るのが寒くてホテルに泊まるものの、バッテリーを気にしなくていいのでネットを見まくってしまい、仕事(本作の執筆?)がまったく進まなかったりした。

日本一周が始まってからはずっとそうなのだが、青春の苦い悔恨とか老いへの恐怖とかがほとんど出てこない。そもそも由美子さんが出てこない。やはり一人旅は精神に良い効果があるのだろう。

7巻の感想は早めに書きます。と宣言して自分にプレッシャーをかけておく。


旅に出る前のシャークだったら有り得ない前向きさ



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