先日、ファミ通のアンケート「平成のゲーム 最高の一本」で「クロノトリガー」が一位になったというニュース(https://s.famitsu.com/news/201904/22175124.html)を見た。
クロノトリガーは僕もやった。音楽が素晴らしく、メインテーマと魔王のテーマは楽譜を買ってきてシンセで打ち込み、カバーアレンジを作ったほどだ。
だが、ストーリーや、やり込み度の点でボリューム不足だった。タイムスリップものは最大でも時間の移動幅が数十年じゃないと面白くないのに、原始時代まで遡ったりして大味だった。好きなゲームだが、僕の中では平成のベスト10にも入らない。
というわけで、おそらく平成最後の更新になるであろう今回の記事は、曖昧批評が選ぶ平成のベストゲーム私的10選をお送りする。
10位:ファイナルファンタジータクティクス(スクウェア)
キャラをウォーゲームの駒のように動かして戦うシミュレーションRPGの傑作。同じ作者の「タクティクスオウガ」のほうがマルチエンディングで自由度が高くて云々とよく言われるが、全編丸ごと回想シーンとも取れる多層的なストーリー、ミニゲームやFF7のクラウド登場などやり込み要素が豊富で、こちらのほうが作品の奥行きが深い。
9位:トゥルーラブストーリー2(アスキー)
転校するまでの残り1ヶ月で目当ての女子と仲良くなるのを目指す恋愛ゲーム。一見地味だが、ときめきなんとかより内容が現実的で、変な癖もなく感情移入しやすかった。下校の会話で彼女の気分の盛り上がりを、寸止め、ジャスト、1ドットオーバーなど自由自在に操れるようになるほどやり倒した。逆に言うと、そういうプレイが出来るほど精密に作られていた。声優の故・川上とも子さんが準ヒロイン役で出演していた。
8位:ファイナルファンタジーVII(スクウェア)
PSのシェアを決定付けたRPG超大作。僕はもちろん、多分皆もフルポリゴンのゲームはこれが初めてだったと思う。最初の街ミッドガルのブレードランナー的雰囲気が大好きで、イベントをクリアしてミッドガルの外に出るのが嫌だった記憶がある。ヒロインが途中で死ぬというシリアスなストーリーもよかった。後日談が映画化もされた。
7位:実況パワフルプロ野球2018(コナミ)
NPB公認のプロ野球ゲーム。鬼のように多数のモードがあり、全部操作したい人、監督をやりたい人、球団経営をやりたい人、高校球児を作りたい人など、あらゆる野球ファンのニーズにこたえてくれる。中でも僕は一人のプロ野球選手の人生を操作するマイライフが大のお気に入り。後述する「ベストプレー」などで、ゲームを通じて監督としての視点でしか野球を見てこなかった僕が、いち野手の視点を得たことは野球ファンとして非常に大きかった(大げさ)。
6位:風来のシレン(チュンソフト)
いわゆるローグライクゲーム。戦術に無限のバリエーションがありつつ、常に最善手を打ち続けなければならない。まるで耐久詰め将棋。超高難易度ダンジョン「フェイの最終問題」クリアがゲーマーとして勲章になった。「ワナ道一直線」のガイバラなどギャグキャラも面白かった。
5位:Fighter Ace III(ケツジンスタジオ)
外国産空中戦ネットワークゲーム。使用機体は第二次大戦期のもの。遊びやすいように物理計算は多少簡略化されていたが、エネルギー管理は簡単ではなく、テクニックの差がはっきり出る納得の挙動だった。世界中から集まってきた凄腕パイロットとドッグファイトするのはエキサイティングだったが、自分が世界レベルにないことを突きつけられる辛さもあった。1年間で約2400機を撃墜し、約2200回撃破された。
4位:ダービースタリオン96(アスキー)
生産者兼調教師権兼馬主となってサラブレッドを作って鍛えてレースに出す競馬シミュレーション。ダビスタシリーズは僕が競馬を始めるきっかけになったゲームであり、血統に関してはダビスタが知識のベースになっている。この96は騎手が実名になり(それでトラブルも起こしたが)、トウショウボーイなど過去の種牡馬追加があったりして、一番充実したダビスタだった。この後のPC版などではブリーダーズカップが導入され、ダビスタは違う方向へ向かう。
3位:ベストプレープロ野球00(パリティビット)
ダビスタの薗部氏が作った野球シミュレータ。自分は監督で、指示だけ出して見守る。選手のパラメータが全て自由にエディットでき、どのチームも自由に操作でき(その試合の両方のチームを操作できる)るので、遊ぶ目的は勝ち負けではなく、そのデータでどんな結果が出るのかを確認することにある。もちろん監督として勝負を楽しんでもいいし、全チームオートでペナントの順位予想に使ってもよい。データを自分で作れるので(有志のツールで球場まで作れる)、2019年のペナントもやれるし、やっている人もいる。
2位:グランツーリスモ2(ポリフォニーデジタル)
元祖ドライビングシミュレータの第二弾。ゲームではなくシミュレータ。それまでのレースゲームと違い、グランツーリスモはレースの面白さではなく、運転操作と車の挙動のリアルさを追及していた。そしてそのリアルさは結果的に面白かった。この「2」は多分シリーズで一番車種が多い。トップグレードだけでなく、その一個下のも収録されていた。スカイラインならGT-RだけでなくGTS-tもある、みたいな。なので、レースではなくリアルに買えそうな車をタイムアタックモードで流すだけの、ただのドライブを延々とやってた。さらに、そのリプレイを繰り返し眺めながらコーヒーを飲む。僕にとってGT2はレースゲームではなく、車を愛でる環境だった。
1位:ファイナルファンタジーXI(スクウェア・エニックス)
国産では初の本格的オンラインRPG。見知らぬプレイヤー同士のコミュニケーションを強制する仕様が、リアルと同じような出会いと別れを多数生み、結果的にこのゲームのプレイタイムが第二の人生とでも言うべき体験になるという。いずれFF14との比較記事でも書くが、ほとんど全てをプレイヤーに任せる初期MMORPGの不親切なデザインが、良いほうに作用した作品なので、もう二度とこれを超えるものは出ないだろう。また、運営の予想を超えたプレイヤーの、時には無茶な創意工夫に耐えられるだけのキャパシティも備えていた。なのでこれが1位である。