曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

パイロット コクーン万年筆を買ったのだ

2017-02-26 23:26:51 | 文具
先日のFFGMの記事で、黒魔道士の7段攻撃を「スターフォール」と書いていた。正確には「スターレイン」である。訂正してお詫びいたします。

村上春樹の新作「騎士団長殺し」の第1部だけ買って読んでいる。1800円もするのでもったいないからゆっくり読んでいる。別に早く読まなくてもネタバレ情報とか耳に入ってきたりしないことを、「色彩を持たない〜」と「1Q84」で僕は学んだ。

では本題。

仕事でメモ書きなどに使う筆記具をまた買ってしまった。今回はパイロットのコクーンの万年筆である。コクーンにはシャープペンシルとボールペンもあるが、万年筆である。

用途は手帳への筆記。ほぼ日から高橋の週間レフト式にしたので、書ける範囲が狭い。紙をピッと平面にしてかけないことが多く、筆圧をかけずに書ける方がいい。

パーカーの5thアーバンは太すぎるし、リフィルが高くて補充できていない。アウロラ・イプシロンFでもまだ太い。国産の万年筆のFがいい。でもプレジールは飽きた。

というわけで国産筆記具の雄、パイロットの万年筆がいいとなった。あんまり高価なのはいらない。1万とか出すなら性能は低くても僕は輸入物にする。

カクノはペン先の顔が子供っぽい。透明プレラは万年筆に見えなくていいが、女性向きなのか軸が短かすぎる。5000円以上は出したくない。自動的にコクーンとなった。コクーン万年筆は、だいたい3000円である。

色は目立たないようにメタリックグレー。手放したホンダ・ストリームのポリッシュドメタリックに似た色だ。金帯などもないので、知らない人には万年筆だと思われないだろう。

軸が真鍮なので重い。コクーンで筆記したあとプレジールを使うと、軽すぎてペンが暴れる。

ペン先はもちろんF。ペン芯は正確にセンターにくっついており、書き味に変な偏りはない。イタリアやドイツのFとは別物の細さで、さすがにヌラヌラとかはしないが、さらさらと引っ掛かりなく線が引ける。今入れてるのはパイロットの松露だが、フローもちょうどいい。

キャップの嵌合部もカチッと綺麗に嵌まる。いかにも工作精度が高そうな感触である。嵌合部の段差が大きいので気になる人は気になると言われているが、僕はもっと下を持つので全く気にならない。

輸入物のエキゾチシズムはないが、目立たず手帳に細かい字を軽い筆圧で書けるので、これは買ってよかったと言えよう。


近未来の棺桶みたいな入れ物に入っていた。


パイロットのコンバータCON40を装着。プレピー/プレジールのカートリッジみたいな玉が中で動く構造になっている。それでインクをかき回して固着を防いでいると思われる。

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WBC 2017 日本代表 私的スタメン&投手起用

2017-02-20 23:43:41 | スポーツ
WBCの初戦まであと2週間ほど。各球団のキャンプも終わり、球界はそろそろ侍モードである。小久保監督の采配は僕には理解できないので、実際の試合とは全然違うことになると思うが、小久保が選んだ現状のメンバーで自分ならどうするかを考えてみた。

まずスタメン。

1青木 中
2菊池 三
3坂本 遊
4内川 一
5筒香 指
6山田 二
7平田 左
8大野 捕
9秋山 右

テーマは安定感・確実性。打線として好不調の波が少なく、どんな相手からも4点は取れるイメージで考えた。

現役のメジャーリーガーでWBC経験者の青木が1番として何度も打席に立てば相手は嫌だろう。かつてのイチロー的な役割。

菊池は外されてもバットに当てるなど、いろいろ器用に繋げそうなので2番。山田との兼ね合いでサードに回ってもらう。

昨年からの坂本は充実しているように見えるので最重要な3番。多分彼は今選手人生で一番乗っている時期。

中田は手首だっけ?万全ではなさそうなのと、プレッシャーがかかる試合だと脆そうなので、スタメンからは外した。代わりの4番には、高い技術によって不調ということがほとんどなく、経験豊富で年齢的にも今回リーダー的であろう内川を指名。

筒香も全日本の4番は年齢的にもまだ荷が重いので5番。三冠王松中も駄目だったくらいだからね。まあ、彼の場合はポストシーズンに弱すぎたというのもあるが。

山田は昨年の死球禍から立ち直っていないかもしれない&春先の山田は並以下の打者なので、取り敢えず6番で気楽に。調子が上がらないようだと、6番サードに松田を入れ、菊池をセカンドに戻す。

平田はプレミア12の時のように確変するかもしれない。そういうのが7番にいると敵としては本当に嫌なはず。確変しない場合は早めに見切って鈴木誠にする。

正捕手は大野。嶋は経験豊富だが、肩が衰えてきたような気がする。嶋はバックアップで。

ラストバッターは秋山。今回のメンバーの中で、9番にいると一番嫌な打者だと思う。次が青木で左が続くのが我ながら気になるけど。


投手起用は、先発は3人、第二先発という役割がある、という小久保構想(?)は守って考えみた。

先発:菅野、藤浪、武田翔

第二先発:石川歩、則本、牧田

中継ぎ:平野、秋吉、増井、松井、岡田、宮西

抑え:千賀

先発3人は、たぶん小久保構想と同じ。昨年散々だった藤浪が心配だが、やばそうなら早めに第二先発にスイッチすればいい。

第二先発は牧田がポイントかな。増井でもいいのだが、牧田はワンポイントとかより、アンダースローが苦手とわかっている相手に長めに投げさせるほうがいいと思う。走者を背負った場面で牧田だと、球威が不安というのもある。短いイニングorピンチでは球威のある増井のほうがいいかな、ということで牧田は第二先発。

中継ぎは松井がポイント。プレミア12の衝撃の敗戦以来、僕は彼を信用していない。小久保は抑えに使うだろうが、僕は左のワンポイントとしか考えてない。でも左殺しの一番手はおそらく宮西。

で、抑えは千賀を指名する。落差のあるフォークが抑え向き。リリーフの経験もあるし、内心はどうなのか知らんけど、あの不敵な面構えは、相手が外国チームの最終回でも変わらないだろう。

・・・・・

野手は、柳田と丸がいないくらいでベストメンバーだろうけど、今の日本球界は内野の層が薄いなあと感じる。内野でこの人も選びたかった、という人、いないもんね。中村(おかわり)が選ばれてないが、彼は代表にやる気を見せないからなあ。

もっといないのは捕手だけど。12球団で去年規定打席に乗った捕手っていないんじゃない?

僕が安定志向の打線にしたのは、予選ラウンドでキューバ、オーストラリアという強敵と当たるからだ。WBC4回目にして初めて、予選ラウンドで絶対に勝てるという安全牌がいない。中田を中軸に入れると、当たれば大量点だが、外れれば淡白に試合が終わってしまいそうなので、確実な内川にした。

投手は涌井や菊池雄星、野村祐、中崎、山崎なんかもいるので、松井を選ぶ理由が分からん。せっかくプレミア12とかで使って慣れさせたから今回も、みたいな小久保の硬直した思考で選ばれた投手が何人かいる感じ。松井が緊張する場面で投げることのないように、打線は早め早めに、大きめに勝ち越して欲しい。

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Final Fantasy Grand Masters その後~現在

2017-02-16 23:03:20 | デジタル関係
約一年前に始めた「ファイナルファンタジー・グランドマスターズ(グラマス/FFGM)」、まだダラダラと続けている。ポケモンGOは無期限休止中なんだけど、グラマスは毎日やってる。だってFFXIリブート(スマホ版の本家FFXI)がさっぱり出ないから。

前回の記事からグラマスは随分変わった、とも言えるし、意外に変わってないとも言える。

ヴァナディールへの帰還


共闘するときの人数が4人から5人に増えた。メインクエストが増えた。でもまだ終わっていない感じ。現状最後のクエストはフェ・インの「骨王」戦だ。いずれズヴァール城と闇王戦が実装されるのだろうが、一年経ってもまだ三国ミッションが終わってないのか、とも思う。

暗黒騎士が予定より遅れて実装された。アタッカーのはずだが、いまいち人気がない。色々変遷して現在人気のアタッカー(グラマスでは火力と呼ぶことが多い)はシーフと黒魔道士だろう。

以前のアイテム入手手段はガチャ以外にNMドロップくらいしかなかったが、今はトークンというシステムになっている。討伐ラッシュなどの戦闘でドロップするアイテムを集めて好きなものと交換する。また、ガチャで出した不要なS装備10個と好きなS装備一個を交換できたりする。

交換システムのお陰で、ほとんどS装備しか持っていない状態になったが、Sより上の青い「ジョブ専用装備」が導入された。ジョブ専がないと共闘時に戦力になれないような状況なので、全部Sでも全然凄くない。

僕の変遷としては、まず黒魔道士がレベル60(カンスト)になった。討伐ラッシュ(NMとやるBF戦)の中級をソロで勝てるようになることを目標に装備を強化した。古代魔法を揃え、大体勝てるようになったのだが、黒ではでっかい亀NMアダマンタスの最初の攻撃に耐えられないことが判明したのでナイトに転向した。

黒だと一撃で2000以上食らうような攻撃でも、ナイトなら200ほどで済んでしまう。本家では微妙な性能で「内藤」などと呼ばれたナイトだが、グラマスでは圧倒的な防御力を誇る。

しかし、攻撃力の低さも圧倒的なので、すぐには倒せない。耐えながら属性剣(○○ブレードII)てじっくり削る戦法だった。それで中級なら全部の敵を倒せるのだが、敵の属性に合わせて6種類の属性剣を持ち替えるのが面倒になってきて、モンクに転向した。

モンクには気功弾という無属性のアビがある。しかも敵の防御力を無視し、必中という素晴らしい性能。これなら敵の属性は関係ない。サポートジョブをシーフにし、「不意打ちIII」「ためるIII」「インピタスIII」を重ねがけして「気功弾II」を撃てば、どんな敵でも999999ダメージが出た。仕様上の最大ダメージ、カンストである。中級のNMはHP60万なので、一撃で倒せた。

このパターンで機械的にソロでNMを倒し、スタンプを押したりトークン用のアイテムを集める日々が続いた。時々僕でも参加できるイベントがあれば出て共闘した。一人ではきついが、5人いれば楽勝みたいな難易度のイベントだ。最近では正月のニワトリ退治イベントや、NMニーズヘッグ討伐イベントというのがあった。逆に、今やっているNMアカモート討伐は、敵のHPが4000万とかあって重課金勢しか参加できない雰囲気だ。僕なんかが紛れ込んでも足を引っ張る。

話を戻すと、モンクで機械的に作業していたら仕様が変わった。シンククエストとかいって、討伐ラッシュなど一部のバトルが5人共闘でちょうどいいくらいにプレイヤーの攻撃力を制限するようになった。「不意ためインピ気孔弾II」でもダメージ1万も出ない?最近試してないから分からんけど(試すと倒せなくて死ぬし)、使い物にならなくなってしまった。

これは終わったかなとも思ったが、あるイベントで戦士のスリップダメージアビ「フラクチャー」がやたらデカいダメージを出していたのを思い出し、シンククエストで使ってみたら(もちろんソロ)、1ターン19万とか減ってくれて解決。現在はまたナイトに戻し、サポ戦、フラクチャーIII装備で討伐ラッシュ上級をソロでやっている。この戦法だとソロで超級も倒せるのだが、超級になると上位のドロップアイテムが増えて、欲しいトークン用アイテムが出づらくなるので上級が主戦場である。あと、ナイトのHP依存アビ「スピリッツウィズイン」もシンクの制限を受けず、レベル5なら11万以上のダメージが出る。

そのように、昨年秋ごろからはシンクのないクエストや共闘するイベントはモンク、ソロでトークンを集める討伐はナイトでやってきたのだが、正月イベントあたりからイベントで頑張ればもらえるスター系ジョブ専用装備の黒用「スターレイン」とシーフ用「綺羅星」が猛威を振るい始めた。これらのアビの特徴は7回攻撃。本家で言う「多段」攻撃である。1発のダメージは99万9999までという制限があるので(※)、どんなに攻撃力が高いアビでもいずれ頭打ちになるのだが、この計算は攻撃1段ごとなので、7回攻撃なら最大700万ダメージが出せるのである。

※現在は上限を+50万するアビなどもある。

これからは多段だ。僕はそう思い、モンクの属性乱撃II(5回攻撃)を6属性全てアビレベル5にするべくトークンを集めている。現在、氷と闇が3で、他は全部5になったが、乱撃IIは強化してもせいぜい1回40万弱なので力不足。八天撃という8回攻撃で1回90万以上出そうなジョブ専用装備が欲しいのだが、Sでも出にくいのにジョブ専用なんて狙って出るわけがない。イベントでもらえるモンクの専用装備は流星拳というやつで、威力は異常に高いが単発である。イベントのジョブ専で多段は先述のスターレインと綺羅星だけである。

というわけで、今度は共闘イベント用にシーフの準備を進めている。スターレインで黒も考えたが、防具のレベルを上げるのが辛い。シーフならモンクと共通の軽装備なのだ。

まずニーズヘッグ討伐でランキング3000位以内に入って綺羅星をゲットした。綺羅星はレベル1だと1戦闘1回しか使えないので、サブとしてトークンでエヴィサレーションをゲット。本家でもシーフの主力WSだった多段攻撃だ。本家で僕はレベル37までしかシーフをやっていない。まさか自分がエヴィ撃つことになるとは思わなかった。

レベルのことを書くのを忘れていた。レベルは暗黒騎士を含めて全ジョブ60になっている。一時期サボテンダーイベントが乱発され、サポ赤ならソロでもNMサボテンダー(ひげ)を倒せることを発見した僕は上げ放題だった。全ジョブカンストしちゃったので、後は経験値はメリポ(メリットポイント)に振るしかないのだが、とりあえず物理攻撃力に振った。シンクが導入されてからはHPに振ってる。

・・・・・

無課金勢にとって現在のグラマスは、トークンとS装備交換システムを利用して地道に理想の装備に近づけていくゲームになっている。時間さえかければガチャ産ジョブ専用装備以外はほぼ揃い、アビレベルも5になるはずなので、いつかはその作業も終わりが来る。つまり、ゲームが終わってしまう。

その終わりが来る前にシンクなどの仕様変更が入り、使える装備が変わり、終わりが先延ばしになる。今のグラマスはそういう感じだ。本家はレベルを上げて強くなれば、いろんなところに行けるようになった。それは何物にも変えがたい報酬だった。グラマスは強くなっても共闘で活躍できて嬉しい、という程度しかない。さっさとFFXIリブートを開発して欲しい。


お部屋画面。強制バレンタイン仕様。お気に入りの白いスーツアバター装備。


討伐上級ギーヴル戦。フラクチャーIIIのスリップダメージで敵のHPは1に。後は普通に一発殴るだけ。


骨王戦。撮影のために一人で行ったが、こいつのレベルは500もあり、一人では倒せない。クリアしたときは共闘だった。ちなみに上級討伐のレベルは150。


イベントクエストのメニュー。下の二つが討伐ラッシュ。


新ルールのステータスシンク。


トークンシステムの画面。交換装備は日替わり。


今やっているグラフェスガチャ。10連を20回回すと、つまり10万突っ込むとジョブ専用装備(青いやつ)しか出ないガチャを1回回せるが、ジョブ専用装備にもハズレがある。怖い世界だ。


ランキングイベントで入手した綺羅星。


一応ガチャでも青いのは取れている。これらナイト用の他にモンク用の羅刹脚を持ってる。どれも使いどころがあんまりないけど。

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iPhone 5sでHipstamatic 〜Venis Hipstapakの巻〜

2017-02-12 18:43:19 | カメラ
2月分の配信はベニス。「ベニスに死す」のベニス。

いや、「ベニス」と入力しようとしたらGoogle日本語入力が「ベニスに死す」を候補に出したもんで。

公式サイトによると、このパックは「Life on the beach」なのだそうだが、季節のせいか公式の作例も「夏の海岸」って感じではないかな。ていうか、このパックのエフェクトは全然夏でも海岸でもないと思う。

GJE GJEレンズはソフトフォーカスとクールコントラストとレトロレンズと公式にはある。

この描写の甘さは、ケンコーのソフトフィルターやソフトフォーカスのニッコール135ミリみたいなのとは違う。フィルム時代の古いレンズの儚い感じ、ちょっと湿度高めな空気感があると思う。

コントラストは高め。青空がかなり濃くなり、シャドー部は潰れ気味になる。

ABBOT K20フィルムは「Warm matte」と公式には書いてある。ヒプスタの常套句であり、ほとんど何も言ってないに等しい。ヒプスタのフィルムは殆どが温かみがあってマットである。

フィルムだけの作例は取り損なったが、幅広めの縁で、全体的に僅かにクリーム色に濁ってるかも的なエフェクトだと思う。


GJE GJEレンズとABBOT K20フィルムのベニスセット。


これもベニスセット。


これもベニスセット。



GJE GJEレンズとBlanko BL4フィルム。


古いレンズの雰囲気があるということは、白黒と相性がいいということだ。GJE GJEレンズとType-D plateフィルム。

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音質についての戯言

2017-02-08 00:25:11 | その他
このブログではほとんど触れていないが、僕は趣味で音楽を作っている。ジャンル的には一応テクノかな。いわゆる「打ち込み」で自宅録音。ライブとかはやったことがない。というか演奏力がない。元P-MODELの福間創が言った「楽器は演奏するのではない。操作するのだ」は名言だと思っている。

その自宅録音、今はPCだが、昔はマルチトラックレコーダーというやつで内臓HDDに多チャンネル録音していた。まずバスドラムを録音し、スネアを録音し、ハイハットを録音し、ベースを録音し…とそれぞれのトラックに録音して、最後に音量バランスや左右の定位を調整しながら2トラック(ステレオの左右)にまとめる。

ミキサーでまとめてレコーダーに送るのが普通だと思うが、僕はあまりミキサーが好きではなかった。BOSSのを持っていたが、安物だったせいか、ミキサーを通すと音の鮮鋭度が落ちた。面倒でもその都度機材をレコーダーに直結でつなげ直して一つずつ録音していた。

それをやっていると、世間で言う「音質」とは何なのか考えさせられた。皆、音質が何かわかっていないと思った。

僕は録音するまでシンセサイザーやリズムマシンやサンプラーで音を作りこむ。音作り曲作りの段階では、ヘッドフォンジャックにモニター用のヘッドフォンをつないでチェックし、128段階のローパスフィルターのカットオフ周波数を80にするか81にするか悩んだりする。僕は曲の制作中は最高の音質の原音を聞いている。

それらの悩みぬいて作ったトラックを1つ1つ録音していく。その段階ではまだ高音質だ。しかし、ミックスダウンして2トラックにまとめると一気に様子が変わる。設定したはずのスネアの微妙なざらつきがなくなったり、聞こえていたピアノのハンマー音がぼやけたりする。なぜか。

CDの音のデータ量は、量子化ビット16、サンプリング周波数44.1kHzである。縦軸が65536、横軸が44100の目盛を振ったグラフ用紙がデータの許容量と思っていただきたい。1トラックがそれである。最終的な音は、それが左右で2つと決まっている。しかし、まとめる前は16トラックとかなのである。その16トラックは、それぞれがやはり16ビットの44.1kHzの範囲をぎりぎりまで使って録音されている。単純計算で、バラで録音した16トラックの音声情報は、2トラックにミックスダウンすると1/8になる。そりゃ音質が劣化するわけですよ。原音を聞いている作者本人に言わせれば。俺が作った音色はこんなに眠くねえ、と毎度思う。

このように、皆さんが聴いているCDは楽器やボーカルの原音から十数分の1にまで情報量が減らされている。作った本人にしかわからないが、元の音と比べて輪郭がぼやけている。これはどうしようもない事ではあるし、作者以外のリスナーにとってはどうでもいい事で、それはそういう音なのだと思って聞いていればいい。

しかし、世の中にはオーディオに果てしなくお金を使う人たちがいる。100万円級の機材をそろえるマニアはもちろん、最近は高価なヘッドフォンアンプをiPhoneに繋げる輩なんかもいる。そういうのを見ると、なんだかなーと僕は思うのだ。君たちが聴いているその2トラックは原音と比べて激しく劣化しているのだよ、と。今はミックスダウン直前まで48kHzで処理するなどして何とか劣化を最小限にとどめる技術などがあるが、録りたてのトラックに比べると当然ながら劣化はある。僕は素人だからせいぜい16トラックだが、プロのは48トラックとかである。48トラックが2トラックに押し込められ、サンプリングレートも44.1kHzに落とされてCDとして売られる。iTunesやGooglePlayMusicで購入する楽曲はさらに圧縮され、音声情報は圧倒的に減っている。そういうのを聞きながら音質を語るな、と僕は言いたい。

劣化しているから、せめていいヘッドフォンで聞こう、ヘッドフォンアンプも用意しよう、という事かもしれないけどね。それならわからなくもないけど。

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