曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

NHK スペシャルドラマ「犬神家の一族」の感想

2023-04-30 11:15:00 | テレビ・映画



先週から当ブログの犬神家関係の感想記事がランクインしている。この二週にわたって放映されたNHKのやつのせいだろう。はい。見ましたよもちろん。

キャストが個性的。「岸辺露伴は動かない」と同じ脚本家だからだろうか。珠世は横溝正史作品中ナンバーワン美女のはずなんだが個性的。腕力が取り柄の猿蔵なのに小柄で弱そう。野卑なはずの佐武がインテリっぽい。佐智が「はっぴいえんど」時代の細野晴臣みたい。吉岡秀隆はいいんだけど、メンバー中最年長に近く見えるのはバランスおかしい。髪は黒く染めてもよかったのでは。

原作及び過去の映像作品で読者・視聴者が突っ込んだであろう穴を突いてくる。例えば、落石とかボートの穴とかの珠世殺害未遂が小夜子の仕業ということになった。松子はあんな稚拙な殺しかたはしないという理由で。言われてみれば確かにそうだ。続く四人は一発で仕留めているのだから。

野々宮大弐が性的に不能で、珠世が佐兵衛の孫という設定はあり。OK。佐智が脱出したけど廃屋に戻して殺された。OK。でも意味なく吊るされてた。駄目。佐清(静馬)の下半身だけ逆さのアレの絵解きがない。大減点。そもそもあれをやった理由は、佐清が生きていると悟った(一度は手形の指紋が合致)松子さんが、菊と琴の判じものを真似ようとした(初めて犯行を隠す必要が生じた)わけで、謎解きの後に出したら駄目じゃん。

静馬の動機が愛情になってた。佐清の口から語られただけなので、佐清の作り話かも、という含みはあるのかな。松子のタバコの毒で自殺からの「しまった!」はいつも通りにあった。

中盤までは理にかなった改変が多く(松竹梅子は籍に入ってないので相続権がないとか)、これはこれでいいんじゃない?と思ってたのだが、ヨキケスの絵解きがなくてかっかり。「小夜子の子にも継がせてやってね」もなく、佐智、佐武は殺され損だった。


ところが最後、今までなかったどんでん返しが!!

刑務所で佐清と面会した金田一が、全部君の思惑通りだ、悪意をもって母の犯行を見逃し、焼身自殺未遂も未遂で助かるように子供に告白書を届けさせたのではないかと言い出した。

静馬として死ねば、確かに丸く収まるので、山狩りをやめたのは意味あるなあと感心してたのだが、こういうことね。郵便だと警察がいつ読むか分からないので子供に託したのだろう。佐智殺害は、防ごうと思えば防げたわけだし、殺しやすいように縛ってるからね佐清が(結果的には脱出されたけど)。いや、よく考えられてるわ。新解釈だな。

だがしかし!

佐清は、俺が本物だと言って出てくるだけで、全部手に入れられたんだよね。珠世に好かれてるという設定がなければ、この新解釈も面白いんだけど。

たぶん脚本家もそれは分かってると思う。深読みするなよ。勝手に解釈するなよ。原作との相違点を細かくWikipediaに書くなよ。SNS時代はこれだから。といったメッセージが込められているような気がした。最後に佐清が金田一に放った「あなた...病気です」に。






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サブ子の旅(40)

2023-04-27 07:56:00 | デジタル関係



パッチ6.4の前。比較的暇な時期だった。やることがないわけではないんだが。

◾️レポリット族

レベル80以上のクラフター用友好部族デイリークエスト「レポリット族」の続き。

ヒトがアーテリス(地球)を脱出して月に移住する手伝いを楽しみにしていたレポリット族。サブ子ら暁メンが世界を救ってしまったため、やることがなくなっていた。

ドリーミングウェイ(夢はテクノミュージシャン?)とサブ子の活動によって、それぞれのやりたいことが少しずつ形になっていった。毎日のクエストで上がる友好度が一定の値になったらイベント発生。壁画ができたり、新型ロボの展示ブースができたりした。


小さなレポリットたちの大きな壁画

ストレスから毛が灰色になった灰毛くんは、アーテリスに行かなくてもヒトと交流できる職業、ラジオのディスクジョッキーになってメンタルを回復し、24時間テレビのシャツを着る。灰色の毛が普通に戻るかと思ったら戻らなかった。その代わり、トーキングウェイを名乗る。

クエストでは、ダンス好きなシェイキングウェイとダンス対決する「ダンス・ダンス・レポリット」が、ちょっと面白かった。彼をタゲってエモート「踊る」でクリアなのだが、「ビーステップ」など特殊な踊りを見せると、何それ!面白い!と驚いてくれる。クリアにはならないが。

ストーリーを完走すると、ミニオンの弟レポリットと、例の二重反転プロペラ機のマウント「ムーンホッパー」、エモート「お耳ピコピコ」を交換できるようになった。

灰毛くん用のラジオブースが完成。


夢をありがとう。ありがとうサブ子さんの図。


レポリット族の決めポーズ「お耳ピコピコ」 ヴィエラ族がやると耳が四つになってキモい。

◾️オルトエウレカその後

といってもそれほど進展はせずに止まった。

前回、メイン子、サブ子ともにB30をクリアし、気が向いたら強化値上げの周回するかもと書いた。メイン子さんはその通り周回して、なんと攻防ともに+99まで上げてしまった。

申請すれば即シャキ。毎回ダンジョンの形が違うし、アイテムの出も違うので飽きない。ロール構成自由だし、地形も敵もランダムなので決まったパターンがなく、攻略も臨機応変。特に先導役のやり方や性格が皆違うのが面白かった。

箱を全部開ける人、ほぼ無視の人、とにかく最速で出口を目指す人、全部の部屋をチェックする人など様々。先導が2人いる時もあったし、4人がそれぞれ勝手に行動することもあるし、2人死んで残りの2人でなんとか頑張って切り抜けたこともある。強力なアイテムが出たらすぐ勝手に使う外人にムカついたことも。MMOなのにドラマが少ないFFXIVにあって、オルトエウレカは、珍しくパーティプレイが面白いコンテンツなのであった。

+90を超えると銀箱を開けてもほとんど上がらず、B30クリア時の報酬でしか上がらなくなるため、最後は僕も箱なんてどうでもいいから、とにかく早く次の階に!となっていた。急いでた人たちの気持ちがよくわかった。

だが、+99/+99を達成し、ではと、おもむろにソロでB31に挑戦すると、なかなかキツイ。今まで4人で超高速攻略してたのに慣れ過ぎてかったるい。メイン子さん、今はいいや、と深層攻略は棚上げした。

中の人が同じなので、サブ子も深層に行く気が無くなり、ちょこっと強化の周回しただけで止まっている。+17/+19くらいかな。


オルトエウレカとは関係ないが、傘のエモート的なやつで記憶の中のJKふうに。

◾️青の道

FFXIVにもFFシリーズ伝統の青魔道士がある。モンスターのスキルをラーニングして使うソーサラーである。FFXIのなんかと違い、剣で殴ったりはできず、純粋に青魔法だけで戦う。

使えるスキルにクセの強いのが多く、攻撃力アップを盛りまくって自爆など、組み合わせによっては通常あり得ない戦果を挙げられるので、普通のダンジョンや討滅戦には参加できない。クエストも一部以外受けられないリミテッドジョブである。

青魔70AFのメイン子さん。


青魔50AFのサブ子さん。

サブ子は青魔道士を解放すらしていなかったのだが、メイン子さんはかなりやった。まず、いつかのモグコレで、タムタラの墓所を高速周回するには青4人がいいと聞き、FCメンバーにパワーレベリングしてもらって当時の上限レベル50まで上げた。必須スキルのラーニングも手伝って貰い、4人でかわりばんこに自爆する、みたいなタムタラ周回をバターになるほどやった。

その後、レベル上限が60、70と上がり、自力でレベル上げ、ラーニングを続けた。青のジョブクエストは節目で非常に難しい(僕は1人零式と呼んでいた)バトルがある。それに勝つために、強力なスキルを貪るようにかき集めた。

1人ではラーニングできないスキルを覚えるために、滅多にしない募集への応募をしまくった。あの朱雀戦も青でラーニングPTに参加して「鬼宿脚」をゲットした。デルタ編1層ではヒーラーがメイン子だけという手違いがあり、全滅させてしまった。難関「ザ・バーン」では、道中殺されても蘇生してもらえず、スタート地点に戻って泣きながら皆を追いかけた。


青魔AF70はスカエウァキャスター装備と数値が同じという高性能。サブ子はジョブクエしてないので持ってない。

ソロはもっと厳しかった。聖モシャーヌ植物園(Hard)では、道中の雑魚から厳しくて1匹ずつ釣って倒した。ガンエン廟では孫悟空に10回くらい殺された。4人でやる70用のIDに70ソロで行ってるんだから、厳しいのは当然である。よくあんなことやったなと自分で思う。

青のエピソードは語り出すと無限にあるのだが割愛。メイン子さんは艱難辛苦を乗り越え、全104スキルをラーニングした。最後は勝つためというより、コンプしたくてやってた。


何度も何度も奈落へ落としてくれた朱雀の「鬼宿脚」が自分のものに!

「ランチャー」でエーテライト広場を焼き尽くす。


「ミサイル」で集落を焼き尽くす。というのは嘘で、木人にミサイル撃って、グルポに影響する動作をせずにここに来てグルポ撮影したのだった。

青魔道士は面白い。次々に新しいスキルを覚えていくのが面白い。スキルを24個セットして戦うのだが、自分のスタイルや敵の特性に合わせてセットを構築するのが面白い。

だが、戦闘は辛い。50、60、70のジョブクエで勝たねばならないコロシアムのバトルが難しすぎる。例のガンブレ80朱雀ソロなんかは、僕が勝手にソロで挑戦しただけで、誰もそんなことを頼んではいない。勝てなくても、しゃーないか、レベル上限があがったらやるわ、で済む。が、青のはソロ用に設計されていて、やらないと次の武器がもらえない。青の杖は売ってないのでクエストでもらうしかなく、上級のものほど上級の色とデザインなので、クリアした人としてない人が見た目でわかってしまう。なので、ジョブクエはいずれやらねばならない。


ヒカセンはストーリー上、2代目マスク・ザ・ブルーを襲名する。


取るのが難しい割に使えない「闘霊弾」

一番辛いのは、そうやってスキルをコンプしてクエストも全部やっても、エオルゼアライフにはそんなにメリットがないということだ。青は普通のIDに行けないので、いくら鍛えても最新のレイドやルーレットに参加できない。そもそもレベル上限が70だし。青の楽しみは、青の世界だけでのものなのだった。

青の道は茨の道だから、サブ子にはやらせたくない。

と思っていたのだが、パッチ6.45での青魔道士アップデートが発表された。レベル上限が80になり、新しいスキルが追加される。ラーニングツアー祭りになるに違いない。その祭りにはサブ子でも参戦したい…ような気がする。

青の道は茨の道だけど、使えるスキルだけをラーニングすれば、それほど辛くないのでは。辛いところも80になれば楽なはずだ(ガンエン廟とか)。

という長い前置きを経て、サブ子も青魔道士を始めたのだった。パワーレベリングしてくれる人はいないので、チョコボと1からレベル上げ。水鉄砲しかないのが辛い。メイン子さんが主力にしているソニックブーム(ラーニング相手はレベル59)は、遥か彼方だ。


レベル上げ前半は雪のクルザス方面に入り浸っていた。

某ブログのやり方に沿って場所を変え、ラーニングしながら経験値を稼いでいく。青はダンジョンで経験値をもらえない代わりに、フィールドモブから多めに貰える。針千本をラーニングしてからは、スティキータンで引き寄せとスタン、針千本のコンボでひたすら狩る。

ジョブクエストは後回し。まずはレベル70を目指す。レベル50でガーロンド装備に着替えて大幅にパワーアップ。早速蒼天エリアに移動。エレクトロジェネシスを覚えて、ようやく水鉄砲を二軍行きにできた。カッターズクライで氷結の咆哮を覚えた。周囲の敵を凍らせる青魔道士の代名詞的なスキルだ。チョコメテオ覚えて一気に攻撃力増強。ちょっと無理してアンズーに挑んでソニックブームをゲット。氷結からのメテオが強すぎて出番少ないが、詠唱1秒は気持ちよく打ててよい。


氷結の咆哮で凍ったモンスターは大抵驚愕の表情を浮かべる。

レベル60でイディル装備に着替え。また無理してコンガマトー(レベル68)に挑んで超振動をゲット。自分のレベル以下の敵なら、氷結から超振動で即死という、かつてFATEで大暴れしていた輝かしい時代の青の代表的なコンボが可能に。釣った敵をチョコボが早めに迎撃しに行って、敵が上手く射程内に集まらないなど難しいコンボだが、それでもかなりのスピードで経験値が貯まるようになり、レベル70到達。スカエウァ装備にチェンジ。

ここからはIDや討滅戦でラーニングになる。ここからが本番である。まずシリウス大灯台ハードでエーテルコピー。多数の雑魚と鬼ごっこしてるうちに被ダメ上昇が8も付いて死んだ。二度目は真面目にやって成功。エーテルコピーは、PCのロールをコピーするスキルだ。リムサのエーテライト広場で離席中の賢者からコピー。エモートでお辞儀して即テレポ。


ラーニングの瞬間。このロゴを見る快感を求めて、つい危ない敵に手を出してしまう。

ヒーラーコピーすると、回復スキルの性能が飛躍的にアップする。ソロでは必須の儀式である。エラプションを覚えるために真イフリートをやったが、何度やってもラーニングせず。リキャストを共有するフェザーレインの方が好きなので、後回しにして次へ。分かっていると、こういう効率化ができて良い。

善王モグルモグXII世討滅戦でポンポンケアル入手。メイン子さんの時はレベル60以下で挑戦して死ぬ思いをしたが、サブ子は70なので楽勝。

シリウス大灯台ノーマル4ボスから苦悶の歌ゲット。DoT魔法の主力。力溜めから苦悶の歌はメイン子さんの十八番で、手に操作が染み付いている。ジョブクエストで必要なグラワーをオーラムヴェイルでゲット。ソロでのみ効果のある闘争本能のおかげで走るのが早く、深いダンジョンでもサクサク進めて快適だ。


目から光線を放つ。怖い。

目標は、パッチ6.45の前に、ラーニングパーティーに応募できる状態にしておくこと。そのためには、あと超硬化があれば最低限揃ったことになるかな。加えて、マスクカーニバル用にルーム、戦闘力強化のためにショックストライク、徹甲散弾があれば、とりあえずオッケー。あとは使えないやつか、1人で取れない(取りたくない)やつになる。

青魔独自のエモートは気取っている。


僕の第4キャラのモデルにもなった初代マスク・ザ・ブルーことマーティン師。


個人的名シーン、マーティンの全裸土下座。

灰毛くんも黄色いシャツを着てトーキングウェイを名乗る。


フロントラインを頑張ると貰えるマウント。僕はスイカと呼んでいる。


レポリット族クエで入手した「ムーンホッパー」



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iPhone 14 ProでHipstamatic 〜 UJI HIPSTAPAKの巻

2023-04-24 08:54:00 | カメラ
4月の配信ギア、UJI HIPSTAPAKのレビュー。名前の通り、京都府の宇治がテーマらしい。宇治なら何年か前に「響け!ユーフォニアム」の聖地巡礼としてがっつり見て回ったことがある。

このパックはもちろんユーフォではなく、源氏物語の宇治十帖なんかの雰囲気をテーマにしていると思う。

MURASAKI 1000レンズは、やや緑方向の寄せつつコントラスト低下、まあまあ粒状化。粒状化にもう少しアナログ感あればよかったのだが、割と均一でデジタルな処理。1000は千年前の意味か。

SAKURA 23フィルムは、下側が太い黒縁と、ピンク色のドットっぽい模様、周辺部少し光漏れかな。ドットは桜の花びらのイメージなんだろうけど、よく見るとお椀の蓋か壺を上から見たところっぽい。なんだそりゃ。

昔、コニカのフィルムがサクラカラーというブランドだった。かぶっててもいいけど、ちょっと考えろよとは思った。

東京ではとっくに桜が散っている時期に桜がテーマのギア出されても困るわけだが、たまたま法事で東北方面に行ったので、桜と絡めた作例が撮れた。











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村上春樹「街とその不確かな壁」の感想

2023-04-19 19:23:00 | 
村上春樹の新作「街とその不確かな壁」を先日読了したので、その感想。

感想だけど、ストーリーの概略も書きます。がっつりネタバレするので、まだ読んでない人は注意してください。



今回はKindle版にした。0時にダウンロードできて感動しようとかではなく、単行本だとデカくて重くて通勤電車で読みにくいから。

各所で語られていると思うが、本作の成り立ちについては、多少説明がいる。僕の体験順に書く。

世間一般やニワカはともかく、ファンにとっての村上春樹の最高傑作は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985年)だとされてきた。たぶん「海辺のカフカ」(2002年)が出るまでは。

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は、タイトルの通り「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の2つの異なる物語が合体した作品である。高い壁に囲まれ、暗く静かな「世界の終り」という街で夢読みとなる「僕」のファンタジーと、脳の一部を外部記憶領域として機密情報を運ぶ「私」のスパイサスペンスが、章ごとに入れ換わりながら進行していく。

僕もこの作品が長編では最高傑作だと思っていて、特に「世界の終り」部分が好きだった。陰鬱な雰囲気の中に隠れている温もりとか、作り込まれた世界観とか、厳しそうだけど幸せもありそうな未来を予感させる結末とかが。「世界の終り」部分に影響を受けているというアニメ「灰羽連盟」も見た。


「世界の終り」の地図。結局本作に地図はついてなかった。

「世界の終わり」部分だけ何度か読み返すうちに、原型となった中編「街と、その不確かな壁」の存在を知った。雑誌に一度掲載されただけで書籍化されていない幻の作品。結末が「世界の終り」と違うらしい。出来がよくなくて書籍化していないとか。

僕はなんとかしてそれを読みたくて、ネット中を探し回って雑誌をスキャンした画像を手に入れた。昔の話なのでスキャンが粗く、文字の判別も難しいほどだったが、なんとか一度だけ読んだ。確かに完成度は高くないかも。

それから十数年後。4月13日の朝、新刊のニュース(夜中にハルキストたちが買うやつ)を知った。タイトルは「街とその不確かな壁」…だと…?!

そのタイトルだと買わざるを得ない。またあの街に行けるなら3000円は、まあ、払えるかな。というわけで、帰宅してからKindle版をポチった。

・・・・・

野球で言えば3回裏まで、現実世界の高校生「ぼく」と街の夢読み「私」の話が交互に進む。というか、私の回想がぼくの話である。ぼくは「きみ」に激しく恋をしている。きみは壁に囲まれた街のことを詳細に教えてくれる。

ある日突然きみの消息が分からなくなる。手紙の返事が来ない。電話も「現在使われておりません」状態。ぼくは一番大事な部分を失くしたまま生き、45歳で唐突に街に転移して、まだ若いきみ(私のことは知らない)と再会する。

「ノルウェイの森」じゃん。バイト先が中古レコード店だし。街はこんがらがった彼女の頭の中だろうか。彼女は空想の街に引きこもってしまったのだろうか。私は、ノルウェイの森の直子のように、おかしくなっちゃった彼女を救い出すために街に入るのか。

「世界の終り」の「僕」は若かった。20代半ばくらい。今回はおじさんだ。「おっさん版・世界の終り」か。これは面白いわ。感情移入しやすい。実らなかった激しい恋を抱えて生きていくのも共感できるし(何故かな)。

ところが、街の話は3回裏で終了。ちょっと早いけど、また戻ってくるのだろう。

最初の「街と、〜」は、影と一緒に街から脱出して終わる。影はその人の感情や魂を意味していると思われる。街では影を切り離さないといけない。

「世界の終り」での「僕」は、図書館の彼女を愛してしまう。感情を持ってしまった人が隔離される森で彼女と生きることを選び、影だけが街から脱出する。

今作「街と〜」は、影だけ脱出するが、残った私がどうなるかはとりあえず描かれずに第1部が終わる。ちなみに第3部まである。ということは目次で知って読んでいる。第3部が街再び編だろうか。

第2部は、また唐突に現実世界に戻った?私(45)の話。あの子に会える街に戻りたいけど、戻り方がわからない。勘に任せて会社を辞め、福島の山奥の町の図書館の館長になる。

この図書館は古い日本酒の醸造所を改造した趣のある建物で、僕は埼玉県小川町の図書館がモデルじゃないかと勝手に思っている。

前の館長の幽霊にアドバイスされながら、図書館を運営し、少しずつ街に戻るであろう雰囲気に近づいていく。前の館長の子易さんも、かつて深く愛した人を失っていた。図書館司書の添田さんがめちゃくちゃ有能。不自然なほど何でも知ってる。

添田さんは既婚者なので、この人とはくっつかないなと思っていたら、名もなきコーヒーショップの女性店主とくっつく。けど、この人は性的に不能だった。村上春樹の長編では滅多にないことだが、性行為のシーンがない。

イエローサブマリンのパーカーを着たサヴァン症候群の少年登場。超人的な記憶力で図書館の本を全部記憶する勢いで本を読む。この少年が消失して長い第2部福島編終了。

もうKindle表示で残り10%しかない。9回裏だ。第3部は予想通り街の話だが、ここの私は第2部の私の記憶がないので、おそらく第1部ラストで残った私だ。第2部の私は、第1部で溜まりに飛び込んで脱出した影だったのだ。

そこにイエローサブマリンの少年がやってきて、私と一体化する。夢読みとしての能力が強化され、「きみ」に評価されるが、街からの脱出を決意。脱出するためにロウソクを吹き消したところで物語は終了する。

・・・・・

深く愛した人、忘れられない人を精神の迷宮から救い出す「おっさん版・世界の終り」だと思っていた第1部では、このまま行ったらノーベル賞かもと思った。心の震えとかは迫真の描写だし、世界共通普遍的なテーマでもあるし。何より作者の書きたいことがいつになくわかりやすい。

だが、街の作り込みが甘いのが気になっていた。老人が「大佐」じゃない。発電所がない。心を捨てきれなかった人たちが暮らす森がない。寓話的童話的なイメージを強化する地図がない。この街は「世界の終り」ではなさそうだ。

第2部が長い。田舎暮らしの描写が上手くて臨場感あるが、生活様式はいつも通り。テレビを見ない。パソコンは持ってるけど好きじゃない。インターネットとGoogleとSNS(!)が出てくるが「私」には関係ない。休日には洗濯してアイロンかけて、簡単な料理(凡人からするとおしゃれな)を作ってラジオでクラシックを聴いて過ごす。いつものじゃん。

主人公の設定を変えればいいってもんじゃないけどさ。でもあまりにもいつもと同じじゃん。

「ぼく」が美しいと絶賛する「きみ」の描写も引っかかった。前髪パッツンでショートヘア。小柄で丸顔で目が大きくて鼻が小さい。ちびまる子ちゃんかな? 目の大きさはともかく。

添田さんは子易さんの過去を知りすぎてるとか、コーヒーショップの女性がいつもの「美人ではないが体つきがほっそりしていて感じが良い」だとか、唐突に奇妙な少年が出てきて、なんだかなあと思っているうちに第2部が終わって、ノーベル賞は無理だな今年もと思った。淡々とした話に小さな変化が生じて、何が起きるのかな?という興味が断続的にやってきて、グイグイ読ませる作品だとは思うけど。

僕がもし村上春樹をプロデュースできたら(=陽子夫人だったら)、あの「世界の終り」を長くした本格的な幻想小説を書かせる。世界観と設定をさらに詳細に詰めて、主人公と図書館の彼女はそのままで、他の登場人物を増やす。影と別れた後、彼女と放逐者の森に入って生きる。彼女が心を取り戻すのを手伝いながら。現実とのリンクは、付けてもつけなくてもいい。失われた大事なものを探す話にマイノリティーの問題とかも絡められて、ノーベル賞間違いなしだ。たぶん。というか、僕がそういう作品を読みたかった。

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謎のアクションカメラ「どこでもだれでもカメラ」

2023-04-16 16:48:44 | カメラ



うちのクルマにはドラレコをつけていない。特に必要を感じてなかったから付けてないのだが、最近そうも言っていられなくなったのではないか、と感じる。

うち以外の車が皆ドラレコをつけているような気がする。そんな中で事故を起こしたり、煽られたり、煽ったと難癖をつけられた時困るのでないか。相手はこっちの動きを記録してるのに、こっちは何もない。一方的だ。公平ではない。

だが、うちのヴェゼルは5年目に突入しかけている。いつものパターンだと乗り換えがそう遠くない。その気配はまだないのだが、乗り換えた場合、ドラレコもつけて買うと思う。配線とか作り付けの方が綺麗だし。

というわけで、繋ぎとして激安ドラレコをつけようかと思っていたら、変なのを見つけた。在庫処分で1000円で売られていたアクションカメラ「どこでもだれでもカメラ」である。変な名前だ。

定価は5680円とからしい。マウントや水中ハウジングなど込みで1000円は安い。16GBのマイクロSDだけだって千円以上するだろう。確保だ。

ヘルメットや自転車につける器具は付属してるのだが、車載用の器具はなかった。そりゃそうだ。みんなドラレコだもん。アクションカメラを車載する人なんてユーチューバーくらいしかいない。そんな需要の少ないものは同梱しない。

GoProとかなら専用品が売り場にあるのだろうが、普通のやつ?はどこになんという名目で売ってるのか全くわからなかった。なら通販かなあ。でもとりあえず、なんでもあるような気がする秋葉原のあきばお〜に行ってみた。吸盤付きのマウントが230円で売ってた。さすがだ。

その激安マウントでヴェゼルのフロントガラスに付け、何度か車載動画を撮った。

動画は15フレーム秒のフルHD(1920)と、30フレーム秒のHD(1280)の二種類。FHDのほうがやや精細感高いが、もともとが解像感ないので滑らかなHDのほうがいい。どのくらい荒いかというと、どちらも前の車のナンバーの地名が読めないくらい。

コントラストが高めというか、明るいところは飛びがちだし、暗いところは潰れがち。被写体の明るさによって感度変えたり、ホワイトバランスを変えたりはしてくれるんだけど。

最大の欠点はファイルのデカさだ。HDで10分あたり1GB超になる。凄いよね。2時間の映画かよって感じ。FHDだとさらに3割増しくらいになる。

原因は、おそらくMotion JPGだから。拡張子はAVIだ。インターネット黎明期のフォーマットだ。ハード内でのエンコード機能が20年前って感じ。何も圧縮せず書き込んでるんじゃないかと勘繰っている。

付属の16GBだとフルで100分くらいかなあ。でも、100分もバッテリーがもたない。70分くらいで切れる。カードいっぱいになったら先頭から消して撮り続ける機能があるんだけど、ほぼ意味がない。1ファイルは最大30分までで、超えると次のファイルになるというドラレコ的な機能はある。

パソコンのVLCが「インデックスがないぞ」と警告してくるファイルがある。してこないのもある。違いがわからん。どっちもなぜか再生できる。

電源OFF時に変なドラム音のジングルが鳴る。街角スナップで邪魔だ。いじってるうちに、動画撮影時の音量レベル(3段階ある)を0にすると鳴らなくなることを発見。どういうロジックなんだ。

静止画も荒いので、500万画素なのにトイデジみたいな絵しか撮れない。ケンコーのピエニ(という超小型トイデジがあるんだけど)と違って、モニターがあるだけ高級だと思うようにしてるが、街角スナップならスマホでいいし。うーむ。

青が良かったのだが、黄色しか在庫がなかった。フロントガラスにつけると結構目立つ。外から見て、何か撮ってる、あるいは撮ろうとしてる人だというのが丸わかり。リアウィンドウに「後方録画中」のステッカーを貼った車の後ろについたとき、いやこっちもあんたの運転を後ろから撮ってますけど、という威嚇にはいい。

同梱物。アクションカメラとして一式揃ってるのだろうとは思う。


上面の赤丸が動画撮影ボタン。正面の電源マーク長押しで電源オンオフ。電源ボタンはモード切り替えにも使う。左側面にマイクロSDスロットとUSBタイプB端子。


背面モニターに設定画面を映してみた。右側面の↑↓ボタンでメニュー内移動。動画撮影モードで↓ボタンを押すと静止画撮影。動画撮りながら静止画は撮れない。


ヴェゼルのフロントガラスに貼り付けたところ。ドラレコと違って熱に弱そうなので、クルマを降りる時にいちいち外して持って出るのが面倒。


HD動画のキャプチャ。わざわざPCからアップしたので、gooブログアプリの変な縮小が効いてなくて、このままと考えてもらって良い。はず。


FHD動画をキャプチャしたもの。違いがわかりますかね?


これは静止画。横2500ピクセルあるのでgooブログの仕様でパソコンからでも1920以下に縮小されてるはず。スマホで見るとそれなりですが、パソコンで見るとひどいです。


上の静止画の中央部分を1024ピクセル四方で切り出したもの。解像感がわかりますかね?


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