曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

iPhone 14 ProでHipstamatic 〜 HIGHLAND PARK HIPSTAPAKの巻

2023-12-31 13:36:00 | カメラ
ギリギリのタイミングになってしまったが、12月配信のHIGHLAND PARK HIPSTAPAKのレビュー。

パックの公式の一言は「クラシックスナップショット」で、あまり説明になってない。テーマ地はロサンゼルスらしい。



BURCHAMレンズはシャドー部を明るく持ち上げ、全体的に露出オーバー気味かな。



FIGUEROAフィルムはシート式のインスタントカメラ風のグレー枠。枠内に収めるのでなく、周りをカットなので、中央上寄りの窓枠を意識して撮らないと、変なところで切り取られてしまう。あと何故か露出を少しアンダー気味にしてくる。シャドー部が広くなる。

BURCHAMレンズの露出上げのせいで、僕が撮ると平板な絵ばかりになってしまう。公式の作例は結構かっこいいのに。

作例は全てこのパックの組み合わせ。











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極私的FFXIVジョブ観・賢者編

2023-12-20 12:55:00 | デジタル関係
僕がCFでヒーラーを出すときは、ほぼ賢者である。前回占星術師の記事を書いているときに2回、タレイアに占星で行ったが、3回めはなかった。記事を書き終わったからだ。

次は賢者を書くからと、占星ではなく賢者でタレイアに申請。相方のヒーラー(白)の最大HPが極端に低くて初見。これは賢者で正解かもしれんと思った。その白魔道士はとにかく死にまくった。予習してないのか。次のエリアに来るのが遅かったので、回線にも問題があったのかもしれない。たぶん合計10回以上死んでる。蘇生係は僕である。僕が彼にかかりきりだったので、パーティーは頻繁にピンチに陥った。僕の蘇生が間に合わない時は、他アラのヒーラーが蘇生してくれたりした。3ボスからは、もうこいつは生きててもしょうがない、ほっといて自分一人で回復役してたほうが全体のためになると判断。ボスを倒すまで放置した。彼は生きててもグレアガとメディカラしかしてなかったし。他アラのヒーラーも蘇生しなくなった。

まあ汗かきまくったわけだが、これ占星だったらおそらく回らんかった。僕が賢者の操作に慣れてるってのもあるが、詠唱なしのスキルが多く、走りながら回復できる賢者は、こういう時にピッタリなのだ。

▪️システィマ・エウクラシア

賢者のスキル名はギリシャ語なので、見出しもそれっぽくしてみた。文法的に正しいかは不明。

賢者の特徴の一つがエウクラシアだ。エウクラシア状態で何かすると、「エウクラシア・ほにゃらら」という、素の「ほにゃらら」とは別のスキルになる。

エウクラシアは詠唱なし。リキャストは1秒で実質なし。自分をエウクラシアなんとかを使える状態にする。これだけでは何も起きない。繋がるスキルを打つか、自分で切らない限り効果永続。

エウクラシア・ディアグノシス:単体を300回復し、540回復分のバリアを付与。クリティカルだと[強]と表示される540x2分のバリアになる。詠唱なし。

エウクラシア・プログノシス:自分と周囲のメンバーを100回復して300分のバリアを付与。クリティカルはない。詠唱なし。

エウクラシア・ドシスIII:ヒーラー4ジョブ全部が持ってるDoT。敵単体に無属性の継続ダメージ75を30秒で総計750。詠唱なし。カルディア(後述)の対象を170回復。

エウクラシアを付けないディアグノシスは単体回復450で詠唱1.5秒、プログノシスは範囲回復300で詠唱2秒。どちらもなんの変哲もない回復スキル。詠唱があるのであんまり使わない。

Eディアグノシスがバリア分のダメージを吸収して消滅すると(バリアが割れると)、アダースティングというリソースが1個付く。アタースティング1個でトキシコンIIを1回撃てる。アダースティングは3個までスタックできる。Eプログノシスの場合は、自分についてたバリアが割れた場合にアダースティングが付く。

トキシコンII:対象とその周辺の敵に威力330の無属性魔法攻撃。詠唱なし。着弾時にカルディア(後述)対象を170回復。

【心の主張】トキシコンはエウクラシアのバリアが割れないと撃てない。トキシコンを撃つためにEプログノシスを張るのだ。与ダメ貢献のためなのだ。メディカラとは訳が違うのだ。誰も大して減ってないのにバリア張り替えまくりやがってとか思わないでほしい。

▪️システィマ・カルディア

誰かにカルディアを設定すると、攻撃するたびに対象が170回復する。賢者自身を対象にすることも可能。賢者の攻撃スキル6種全てがカルディアに対応している。

つまり、賢者は攻撃しながら同時に誰か、もしくは自分を回復できる。学者のフェアリーによる自動回復に相当するスキルと考えられる。

カルディア自体は詠唱時間なしで設定・解除自由。普通はタンクに設定する。賢者二人体制の時はタンクにダブルで設定される。贅沢。

ソーテリア:15秒間カルディアの回復力を約289(1.7倍)にする。詠唱なし。リキャスト90秒。タンクがたくさん被弾しそう&自分がいっぱい攻撃する予定、というシーンはなかなかないので、あんまり出番ない。ソロ用かな。

▪️システィマ・アダーガル

賢者にチェンジした瞬間から20秒経過する度に1個、アダーガルが付与される。最大で3個スタックされる。アダーガルを1個使って詠唱なしの回復やバリアのスキルを使用できる。

ドルオコレ:単体を600回復。自身のMPを700回復。賢者はMP燃費が悪いので、こういうのが付いてるのかも。リキャストは1秒で実質ゼロだが、アダーガルの溜まりが20秒なので、リキャスト20秒とも考えられる。

イックソコレ:自分と周囲のメンバーを400回復。MPを700回復。1個につき20秒必要なアダーガル消費なのに、リキャスト30秒。アダーガルが複数あっても連打はできない。

タウロコレ:単体700回復で15秒間ダメージ軽減10%。ケーラコレと同時にかからない。MP700回復。リキャスト45秒。僕はこれをタンクへの強攻撃に合わせることが多いのだが、回復分が無駄かもと悩んでいる今日この頃。

ケーラコレ:自分と周囲のダメージを15秒間10%軽減。さらに継続回復100を15秒で総計500。MP700回復。タウロコレとは同時にかからない。リキャスト30秒。僕は全体頭割り直前によく使う。

▪️その他詠唱なしでアダーガル使わないけどリキャスト長いやつ

ピュシスII:周辺範囲を継続回復130の15秒で総計650。さらにメンバーの回復効果を10秒間10%増加。リキャスト60秒。僕は全体戻しでこれを多用する。相方ヒーラーの戻しの邪魔にならない気がするので。

ホーリズム:周辺範囲回復300と300分のバリアを30秒。さらに被ダメ軽減10%を20秒。リキャスト120秒。全体強攻撃に対抗する切り札。

パンハイマ:周辺範囲メンバーに5スタックのハイマの印(回復200分のバリア)を付与。ダメージを吸収して印が消滅すると、次の印がバリア200を付与し直す。15秒経過後、残った印の数x100回復。連続全体攻撃に効くように見えるが、印の再付与が意外に遅くて間に合わず、結構喰らった上に4枚残ってるとかよくある。使いかたを思案中。単にハイマという単体対象のもある。タンクにつけておけばしばらく休めるので、サボり用として使える。

▪️エピセティキ・デクシオティタ

見出しはギリシャ語で「攻撃スキル」という意味。chatGPTに考えてもらった。

ここまでにいくつか攻撃スキルの説明をしてしまったので、その他ということになる。

ドシスIII:威力330で詠唱1.5秒。ヒーラーがみんな持ってる短詠唱主力単体攻撃魔法。ヒマな時はこれを撃ち続ける。もちろんカルディア対応。

ディスクラシアII:威力170の自分中心範囲攻撃。リキャストなし(GCDの2.5秒)。ターゲット決めずに撃てて楽。詠唱なしを利用して、カルディア回復の回数を増やす目的で連打することもある。

フレグマIII:対象範囲に威力600攻撃。詠唱なし。リキャスト40秒で2スタック可。強力だが射程が6mと短いので、まあまあ敵に接近する必要がある。モーションがガチャガチャしてるのも特徴。カルディア対応。

プネウマ:威力330で前方直線範囲を攻撃。敵が固まったところにぶち込むと気持ちいい。同時に周辺範囲に回復600。結構でかい。カルディアも対応。詠唱1.5秒のリキャスト120秒。回復力も高いので、攻撃目的で皆満タンの時に撃つのが勿体無くて躊躇する。

▪️ヴォイティティキ・デクシオティタ

見出しはギリシャ語で「補助スキル」
ここまでにまだ紹介してないものをいくつか。

イカロス:敵かメンバーの誰かの目の前まで高速移動する。25mまで。詠唱なし。リキャスト45秒。ヒーラーでは珍しい移動スキル。僕はドーナツ範囲を避ける時とかに使う。

ゾーエ:次の回復魔法の回復量を1.5倍にする。詠唱なし。リキャスト90秒。ピュアヒーラーのような大回復スキルがない賢者にとって重要なスキル。

ペプシス:対象にかかっているEディアグノシス、Eプログノシスのバリアを解除して、それぞれ450、350の回復に切り替える。これをうまく使えばピュアヒーラー並みの回復力になる…かもしれない。詠唱なし。リキャスト30秒。

リゾーマタ:アダーガルを1つ追加する。リキャスト90秒。詠唱なし。死にかけた人をドルオコレ2連打した時なんかに、これで補充することが多い。

クラーシス:対象が受ける回復魔法の効果を10秒間20%増加させる。詠唱なし。リキャスト60秒。これあんまり使わない。効果を実感できないっていうか。ゾーエと組み合わせればいいのだろうか(検証しろよ)。

▪️シノリキ・アクシロロイシ(まとめ)

ヒーラーなのに、詠唱ありのスキルが少ない。ドシスⅢとディアグノシス、プログノシス、プネウマの4つだけ。これ以外は全部即発。他のヒーラーも工夫すれば詠唱なしスキルだけで活躍できたりもするだろうが、多分賢者には敵わない。

このゲームの基本ルールとして、詠唱中は移動できない。詠唱中に動くと詠唱が中断されてしまう。避けたり入ったり、動かされるギミックの多いFFXIVなので、この賢者の、魔法使いなのに走りながら何でもできる機動力が気に入っている。

あと、いつでもバリアを張れること。白なんかだと、バリアのやりくりが大変だけど、賢者なら好きなだけ張れる。バリアはいらないけど回復したいから回復だけを目的にEプログノシスを使ったりもする。範囲踏んで被ダメアップが付いたDPSにバリアを厚めに張ったりすると喜ばれているような気がする。

前回は占星もいいなあと思って新式武器まで買ってしまったけど、記事のためにちゃんと調べて、やっぱり賢者だなと。ていうか、今後しばらく賢者として活動しようかなと思うくらい。次からはDPSの研究をしなきゃならないのに。


エウクラシア。毎回これを挟むのは面倒っちゃ面倒だけど、発動もモーションも速くて行動の邪魔にはならない

エウクラシア・ディアグノシス。基本。ケアル代わりに使っちゃうくらい基本


エウクラシア・プログノシス。手が覚えてみんな満タンなのに無意識にやってしまうくらい基本


ピュシスⅡ。これやっておけば安心するのはメディカラに近いからかも

リゾーマタ。これが使える状態だと安心する

カルディア。青ばっかりでスキルが分かりにくいと言われる賢者だが、カルディア系は緑


ペプシス。モーションがかっこいい


エウクラシア・ドシスⅢ。とりあえず開幕はこれ


ドシスⅢ。ⅢがあるということはⅡやⅠもある(あった)わけで。微妙に威力が上がってきてのⅢである

トキシコンⅡ。地対地ミサイルみたいに飛んでく様がかっこいい

フレグマⅢ。撃てる回数を考えると白のミゼリより強いと思う

プネウマ。どこまでも伸びていくビーム砲。賢者は全ジョブで最も未来的


ホーリズム。光の粒子を撒き散らしながら渦を巻いて回る天使っぽい技


イカロス。ファンネル(賢具)の推力を利用して高速移動する


アラレイド鬼周回の実戦で磨かれたホットバー配置。ほぼ完成系だが、右上のカルディアを僻地に移動したいような気もする


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TBS日曜劇場「下剋上球児」の感想

2023-12-19 08:41:00 | テレビ・映画
一応全話見たので感想。

プロデューサーが新井順子、演出が塚原あゆ子、脚本が奥寺佐渡子となると見ないわけにはいかない。この3人は「Nのために」のメンバーである。さらに言えば「夜行観覧車」「リバース」「最愛」も同じ。僕は全部見ている。

「VIVANT」が終了した後の特番か何かで主演の鈴木亮平が「甲子園に行くんですけど」と言ったのを聞いた。放映前の番宣でネタバレ?!放送事故?

慌てて調べた。10年連続初戦敗退の白山高校が、突如三重県大会を制して夏の甲子園に出た話が元ネタらしい。甲子園行きが確定した話なのか。安心感があると同時にハラハラ感がないドラマになりそう。

ところが最初の3年生は初戦敗退。次の年、1回戦は勝った。いつ甲子園に行くんだよ。

野球界のリアルさを追求してはいないようで、秋季東海大会(ほぼ翌春のセンバツ予選)がない世界だった。センバツを主催する毎日新聞系のTBSなのに。

で、ドラマ始まってから3年後の2018年夏の三重大会で優勝する。最初1年生だった連中が3年生。

選手役は野球経験者ばかりということで、プレーのリアルさは過去の野球ドラマ・映画とは比較にならないほどいい。エース犬塚、2番手根室共に、やってた人だなと分かるフォームで投げてた。他の選手も、打席での仕草や振る舞いに経験者を感じた。

試合内容はそんなに面白くなかった。弱小校の快進撃といえば山際淳司の「スローカーブを、もう一球」を思い浮かべてしまうのだが、あのような勝った理由が野球的にちゃんとした話ではない。

越山高の戦い方は、気持ち重視で戦術とかはあんまりない。決勝で代走久我原が転倒したふりして一二塁間に挟まれ、その間ホームインしたシーンぐらいかな。

準決勝がストーリー的に大一番だったので、決勝は省略が目立った。1点勝ってて9回裏無死満塁なら「江夏の21球」じゃん。どうやって無失点で切り抜けるのかを、もうちょっと詳細に描いてほしかった。

野球の描き方は100点とは言えないが、このドラマがすごいのは、ほぼロケだということだ。東京のセットだなと分かるシーンが少ない。溜まり場のファミマでさえ本物に見えた。ほんとに三重県、伊勢湾岸、志摩半島で撮ってるのかも、と思わせる美しい本物の風景が多かった。

決勝に勝った後、2023年に飛ぶ。犬塚がコーチになってたり、根室が社会人野球やってたりする。甲子園は? 連れていかない? ついに甲子園まで来た!でホワイトアウトして、あとはご想像にお任せで終わるかと思ってたけど、それもない?!

と思ってたら、そのさらに後に甲子園に戻る。CGかもしれんけど。11対0で負けてた(笑) スローカーブ〜の高崎高校も甲子園では初戦敗退だし、快進撃した弱小校あるあるの結末だった。負けても笑顔だったのも含めて。

このメンツならもっとすごいドラマを作れるはずだが、まあ最後ハッピーな気分にはなれたかな。

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忘れた頃にやってきたHipstamaticのHipstamatic(R)

2023-12-17 20:46:00 | カメラ
Hipstamaticから新しいアプリが出た。名前は多分Hipstamatic(R)。

Xでは数日前から立体的なヒプスタカメラの絵がティザー広告的に登場していた。反応してるのは全員外人だったが、ついに物理的に実在するカメラを出すのか、というポストもあった。物理なんかいらん。自分には関係ないプロダクトに違いない。

で、現地時間の14日、出てきたものは普通にiPhone用のアプリだった。なぜか僕の端末だと雲マークになっている。

こっ、これは…。

一度はインストールしたことがあるらしいので、ヤバいもんじゃなかろう。とインストールしたら、サブスク式のヒプスタだった。年間4000円かな。

UIは洗練されている。縦持ちでも撮れるのもいい。が、どうやらエフェクトは本家と同じだ。

つまりこれは、以前僕を激怒させた、あのHpstamatic Xだな。雲マークだし。ていうか、Xは一旦なくなってたのか。

1日だけ無料で使えるっぽいので撮ってみたが、デフォルトでセットされてるエフェクトがイマイチで、たいしたものは撮れなかった。1日すぎても撮れる?っぽいけど、勝手にJoinされても困るので消す予定。

元々正方形の写真になるアプリなので、縦持ちと相性は良い。

エディットできるようだが、そのためには素通しで撮れる設定がないとだめじゃん。



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BS-TBS「Nのために」再放送最終回の考察と感想

2023-12-14 12:31:00 | テレビ・映画
最終回の記事が、話の流れだけで長くなってしまったので、感想や考察はこちらに書く。

▪️考察

事件の最大の原因は、やはり安藤が外側のドアチェーンをかけてしまったことだろう。ドアチェーンが掛かっていなければ、西崎と杉下は野口邸を脱出できたし、脱出できれば警察に通報して野口を抑えることができた。

では、なぜ安藤がドアチェーンをかけたかというと、成瀬に対する嫉妬、敵対心と、N作戦2から外されていて、誰も何も教えてくれない疎外感からだろう。その感情は以前からちょいちょい刺激されていたが、エレベーターの中で西崎から、成瀬が作戦に参加していることと、成瀬が杉下の究極の愛の相手だと知らされて行動に出てしまった。

だが、予定通りなら西崎と安藤が鉢合わせするはずがなかった。作戦は安藤が来る前に終わるはずだった。少なくとも、西崎は安藤よりかなり早く到着するはずだった。

到着が遅れた原因は、花屋が混んでいたことだ。女に花を贈ろうとする男性達がレジ前に長い列を作っていた。西崎は店員に、クリスマスイブだから当然、みたいなことを言われている。予測が甘かったといわざるを得ない。結局、西崎の到着は20分以上も遅れ、安藤とばったり会ってしまった。



安藤も、取引先との打ち合わせがキャンセルになって到着が早まり、到着後も仕事の電話が入って少し立ち止まったりして、西崎と遭遇するように状況が流れていったところもあるが、それは5:50頃のこと。予定通りなら5:30に着くはずだった西崎が大幅に遅れたのが一番悪い。

花屋が混んでるのを予測できなかったことについては、仕上げの打ち合わせをしなかったからかもしれない。なぜしなかったかというと、シャルティエ広田氏が成瀬に安藤のプロポーズ計画を知らせたからだ。あれで成瀬は、杉下の女友達だと思っていた安藤望が男だと知り、杉下に対して消極的になってしまい、仕事を理由に追加の打ち合わせを断ってしまった。西崎と成瀬はそういうことに疎そうだが、杉下がいるので、もう一度打ち合わせをしていたら、イブで混んでるかもしれないから花屋には早めに行こうとなったかもしれない。やや飛躍した読みだが。



もうひとつ重大なやつ。奈央子が西崎個人に「花屋の振りをしてきて連れ出してほしい」と頼んだことだ。当初の計画通り、西崎がシャルティエ広田のスタッフに化けて、成瀬と一緒に突入していれば、すんなり終わっていたかもしれない。到着が6時になるので安藤と遭遇する可能性もあったが、チェーンをかけられたとしても、男二人なので野口を取り押さえられたかもしれない。



本作は、僕のテレビドラマ視聴史上最高傑作だと思っているが、ひとつ弱点があるとも思っていた。奈央子の行動理由だ。

夫のDVから守るために連れ出そうとしたら、私ではなく希美ちゃん(杉下)を連れ出して欲しいと言いう。野口と杉下がこそこそ会っているのは将棋の作戦会議だったのだが、いつも奈央子から見えない部屋に籠ってやってたので、杉下に嫉妬していたと思われる。

でもそれなら、希美ちゃんがうちに来ないようにしてくれと、もっと前から頼むのが自然だ。クリスマスイブのパーティーの前に、その場で連れ出してくれ、というのは不可解すぎる。

これだけの作品に不可解なんてない。「理由としては弱い」と言ったところか、なんて擁護していたのだが、今回の視聴でこの件について、別の解釈の余地に気づいた。

奈央子は絶命する直前に「彼と一緒にここを出ていく。酷いことをしてごめん」と言っている。この「彼」は西崎のことではないのか? この時、奈央子は西崎の腕の中にいるので、「彼」が野口という可能性も微粒子レベルで存在するが、まあ西崎だろう。奈央子は野口のことを「夫」「この人」と呼ぶことが多いし、意識がなくなる寸前の朦朧とした状態の譫言でもあるし。「ごめん」も、西崎に対しての口調としては不自然で、夫に対してだろう。

とすれはだ。やはり「西崎とここを出ていく。酷いこと(出ていくor燭台で殴る)をしてごめん」が自然な解釈ではなかろうか。西崎への電話は、自分をここから連れ出すために花屋に化けて来てくれと。花屋は通すように私がエントランスに言うから、という、そのままの意味だったのではないか。「ごめん」は奈央子の夫に対する口調としては違和感があるが、西崎母のセリフと一致させたかったのだろう。

野口が言うには、奈央子は流産してから精神的に不安定になり、裸足でふらふら道路に飛び出したりしたらしい。流産の真偽と理由(野口は転倒と言ってる)はさておき、精神的に不安定だったのは確かだろう。軽い統合失調症というか、分裂症というか、軽い二重人格というか、状況に応じて意識が入れ替わる状態だったのではないかと僕は考えている。

夫に虐待されたり、家に閉じ込められたり、携帯電話を解約されたりしたときは、西崎とここから出たいと思い、夫が他の女と隠れて何かやってたりすると、独占欲や夫への依存心が出てくるわけだ。「連れ出してくれ」の電話をしておいて、いざ西崎が来たら自分ではなく杉下を連れ出せという。そのときの状況はといえば、夫と杉下が書斎に篭って何かしている。

事件当日にわざわざ来てもらって、やはりわざわざ来ている杉下を連れて帰れ、という意味不明の行動は、こういうことなんじゃないかと。



奈央子が野口を殴り殺した件については、単に暴れる夫を止めようとしたのと、止められるのは自分しかいない(「この人を止められるのは私だけなの!」)の2点が動機かな。夫の暴力を受ける権利は私だけのもの、という意見もどこかで見たが、どうだろう。

▪️感想

安藤が「俺のせいだ」とつぶやいたとき、西崎、杉下、成瀬が安藤を見る。皆も安藤のせいだと思ってるのだが、黙っている。あれが罪になるかは分からないが、バレれば二人の死についての責任は生じるわけで。皆はその罪?が明るみに出ないように、最後まで安藤を作戦の外に出しておこうとする。それが安藤には疎外感なわけだが、そもそも安藤だけ異質なんだよね。

西崎、杉下、成瀬は親に絡んで辛い過去があるが、安藤にはない。長崎の離島出身で、親は公務員という情報しか作中には出てこないが、普通に明るく前向きで、影のない青年である。その明るい安藤が、一番暗い行動をとってしまうのが皮肉だ。



恋にも敗れた安藤だが、安藤役の賀来賢人は、ご存知の通り杉下役の榮倉奈々とリアルで結婚。このドラマがきっかけらしい。安藤の杉下への視線とか表情は、演技じゃなかった可能性が高い。

火が怖いとか、顔以外の体中に火傷の跡がたくさんあって半袖を着られないとか、虐待された体験を小説化するとか、かなり病んでいる西崎が、奈央子の罪を引き受けることで「現実を生きて」いけるようになる(と本人は考えている)。そのことを杉下に語る時や、成瀬に「杉下を守ってやってくれ」と頼む時に、ちょっと目を潤ませていい顔をする。巻き込んですまないけど、俺はスッキリしている。あとは頼む、みたいな。西崎役の小出恵介、素晴らしい演技力だったんだけどな…。

最終回は人物の後ろから手持ちで撮影したカットが多い。一人称視点なような効果があった。

久々に原作を読み返して、諸々の解釈の確認をしようと思ったのだが、ドラマと違いすぎて参考にならなかった。例えば、奈央子が野口を殴り殺した動機は、杉下に殺される前に自分が殺して、自分だけのものにする、というものだった。西崎をボコボコにしている野口の気をそらせるために、杉下が花瓶を割ろうとして振り上げたのを誤解したのだった。

再放送の最終回を見てから、この作品と事件のことばかり考えていた。考えすぎて頭が痛くなった。これを書き終わらないと次に進めないと、勝手に重圧を感じていた。ようやく終わったみたいなので、西崎のように、これからは現実を生きていこうと思う。



毎話執拗に挿入される事件当日フラッシュの中でも、この成瀬の部屋捜索シーンが印象的。毎回これを見て心拍数が上がっていた。





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