レンタルDVDでいいやと思っていた「麦子さんと」を劇場で観てきた。ダメ元で申し込んだ堀北真希の舞台挨拶付き(豊洲ユナイテッドシネマ)のが当選してしまったので。
予告なしのいきなりスタート。どうせ12時に行っても予告とか広告でしょと舐めていたのか、始まってから入る人がいた。
あ、ネタバレするので、まだ見てない人は回れ右したほうがいいかも。
最初に、予告にもあるタクシー(温水運転)のシーン。そこから、なぜ麦子がここにいるのかの説明が始まる。つまり、前半の東京編は回想シーン。この構成は意外だった。
お兄ちゃん(憲男)が、かなりのダメ兄貴。僕も妹がいるが、頼りない兄貴なので、妹に詰め寄られて返事に詰まる感じはよくわかる。
憲男は、何逆ギレしてんの?とか、だからお前はバカだっていうんだ!とか、麦子に対して容赦ない。堀北真希を、あそこまで罵倒するとは。
堀北真希も負けてはいない。兄に本気でパンチしたりする。結構効いたらしい。
それでも、この兄妹は仲がいいんだな、ということがそこはかとなく伝わってくるのは、二人の演技が上手いんだろう。ケンカをしながらも助け合って生きてきた本当は仲が良い兄妹だということを雰囲気を出している。
憲男は、麦子のことを「ムギ」と呼ぶ。麦子は、憲男を「お兄ちゃん」と呼ぶ。僕は実際に妹がいるので、「兄妹あるある」的に見るだけだが、お兄ちゃんと呼ばれることに憧れる向きには堪らないだろう。
憲男と彩子(余貴美子)が言い争いしてる時、麦子が見てるアニメが麦子の内心を表してるかのような演出が面白かった。「お兄ちゃん、心を開いて!」とか。
で、憲男が「ムギ、お前それうるせえよ!」と叫ぶのだが、なんかしらんけど僕にはストライクで、一番印象に残った台詞。早くDVDでもう一度聞きたい。
麦子がハマってるそのアニメ「今ドキ!同級生」は、エヴァのProduction I.Gが作ったらしい。その中で麦子が真似をするキャラクターは、ひそかに兄のことを想っている設定のようなのだが、麦子自身にはそういう気持ちはなさそう。そんな風に、人物の心情を暗示してるようで、そうでもない、いや、どう受け取るかは見る人次第、という演出が細かく施されている映画だった。僕は結構好きだ。そういう仕掛け。
麦子が、なぜ麦子という変わった名前なのか知りたかったのだが、説明はない。
堀北真希の箸の持ち方が正しくて安心した。きちんとしつけられた子なんだね。トンカツのパン粉をつける手つきも慣れてる感じ。
麦子はタイツとショートパンツ、ボア付きのコートに毛糸の帽子など、もこもこした服装が多い。堀北真希のそういう格好が新鮮だった。
山梨県都留市でロケだと聞いていたのに、泊まる民宿が海辺でびっくり。海沿いのシーンは千葉県富津市で撮影したらしい。
彩子の若い頃を堀北真希が演じている(つまり二役)。麦子を泊めてくれるのは、バツイチで何年も子供に会ってないミチル。母に捨てられた麦子が、子を捨てた女性と一緒にいる。ミチルは、親友の娘であり、母に捨てられた子供を泊めている。麦子と彩子はそっくりなので、ミチルとしては、親友と一緒に料理をしたり、買い物をしているような状態でもある。何重にも立場が交錯していて、なかなか巧妙な脚本だ。
堀北真希は歌が苦手らしい。「赤いスイートピー」は結局歌わず(歌えず)、「死にたい」と言ってたが、本音だろう。彩子役での振り付け付き練習でも声は聞こえない演出。ちょっとくらい歌声を聴いてみたかった。
ミチルのアパートや居酒屋、祭り、商店街の公園など五藤町の空気感がいい。都会の人が田舎に滞在してる感じがよく出ている。というか、麦子と一緒に滞在して、麦子と一緒に彩子の過去を辿る旅をしている気分になる。
一つ一つのシーンが丁寧に撮影されてるなあと感じる。が、所々話が端折られすぎてる。トイレで彩子が吐いて、次のシーンでもう死んでた。もう少し途中を説明してもよかったと思う。
最後も、母親を認めて一つ何かをクリアした清々しさを、歩くことで表現していたのだろうけど、もっとガツンと達成の証拠やイベントみたいなものを話に盛り込んだほうがよかったのでは。麦子の中では爽やかな風が吹いているのが分かるのだが、観客の方はちょっと物足りない。この作品は「涙活」で使われたそうだが、正直これでは泣くのは難しいと思った。
堀北真希と松田龍平の泣く演技は非常にうまかったんだけどね…。
どこかに行って成長して帰ってくるという話は好きだし、役者はいいし、ロケ地もいいし、カメラマンもいい。なので、端折ったところをじっくり語って、あと25分長くして欲しかった。この映像のクォリティーなら、もっと長くても心地よく鑑賞できる。
堀北真希を鑑賞する映画としては、多分ベスト。これだけ堀北真希ばっかり、色々な姿で映りっぱなしの映画はあまりないのでは? 衝撃の妊婦姿もあるが、喪服がよかった。(By ガダルカナル・タカ)
予告なしのいきなりスタート。どうせ12時に行っても予告とか広告でしょと舐めていたのか、始まってから入る人がいた。
あ、ネタバレするので、まだ見てない人は回れ右したほうがいいかも。
最初に、予告にもあるタクシー(温水運転)のシーン。そこから、なぜ麦子がここにいるのかの説明が始まる。つまり、前半の東京編は回想シーン。この構成は意外だった。
お兄ちゃん(憲男)が、かなりのダメ兄貴。僕も妹がいるが、頼りない兄貴なので、妹に詰め寄られて返事に詰まる感じはよくわかる。
憲男は、何逆ギレしてんの?とか、だからお前はバカだっていうんだ!とか、麦子に対して容赦ない。堀北真希を、あそこまで罵倒するとは。
堀北真希も負けてはいない。兄に本気でパンチしたりする。結構効いたらしい。
それでも、この兄妹は仲がいいんだな、ということがそこはかとなく伝わってくるのは、二人の演技が上手いんだろう。ケンカをしながらも助け合って生きてきた本当は仲が良い兄妹だということを雰囲気を出している。
憲男は、麦子のことを「ムギ」と呼ぶ。麦子は、憲男を「お兄ちゃん」と呼ぶ。僕は実際に妹がいるので、「兄妹あるある」的に見るだけだが、お兄ちゃんと呼ばれることに憧れる向きには堪らないだろう。
憲男と彩子(余貴美子)が言い争いしてる時、麦子が見てるアニメが麦子の内心を表してるかのような演出が面白かった。「お兄ちゃん、心を開いて!」とか。
で、憲男が「ムギ、お前それうるせえよ!」と叫ぶのだが、なんかしらんけど僕にはストライクで、一番印象に残った台詞。早くDVDでもう一度聞きたい。
麦子がハマってるそのアニメ「今ドキ!同級生」は、エヴァのProduction I.Gが作ったらしい。その中で麦子が真似をするキャラクターは、ひそかに兄のことを想っている設定のようなのだが、麦子自身にはそういう気持ちはなさそう。そんな風に、人物の心情を暗示してるようで、そうでもない、いや、どう受け取るかは見る人次第、という演出が細かく施されている映画だった。僕は結構好きだ。そういう仕掛け。
麦子が、なぜ麦子という変わった名前なのか知りたかったのだが、説明はない。
堀北真希の箸の持ち方が正しくて安心した。きちんとしつけられた子なんだね。トンカツのパン粉をつける手つきも慣れてる感じ。
麦子はタイツとショートパンツ、ボア付きのコートに毛糸の帽子など、もこもこした服装が多い。堀北真希のそういう格好が新鮮だった。
山梨県都留市でロケだと聞いていたのに、泊まる民宿が海辺でびっくり。海沿いのシーンは千葉県富津市で撮影したらしい。
彩子の若い頃を堀北真希が演じている(つまり二役)。麦子を泊めてくれるのは、バツイチで何年も子供に会ってないミチル。母に捨てられた麦子が、子を捨てた女性と一緒にいる。ミチルは、親友の娘であり、母に捨てられた子供を泊めている。麦子と彩子はそっくりなので、ミチルとしては、親友と一緒に料理をしたり、買い物をしているような状態でもある。何重にも立場が交錯していて、なかなか巧妙な脚本だ。
堀北真希は歌が苦手らしい。「赤いスイートピー」は結局歌わず(歌えず)、「死にたい」と言ってたが、本音だろう。彩子役での振り付け付き練習でも声は聞こえない演出。ちょっとくらい歌声を聴いてみたかった。
ミチルのアパートや居酒屋、祭り、商店街の公園など五藤町の空気感がいい。都会の人が田舎に滞在してる感じがよく出ている。というか、麦子と一緒に滞在して、麦子と一緒に彩子の過去を辿る旅をしている気分になる。
一つ一つのシーンが丁寧に撮影されてるなあと感じる。が、所々話が端折られすぎてる。トイレで彩子が吐いて、次のシーンでもう死んでた。もう少し途中を説明してもよかったと思う。
最後も、母親を認めて一つ何かをクリアした清々しさを、歩くことで表現していたのだろうけど、もっとガツンと達成の証拠やイベントみたいなものを話に盛り込んだほうがよかったのでは。麦子の中では爽やかな風が吹いているのが分かるのだが、観客の方はちょっと物足りない。この作品は「涙活」で使われたそうだが、正直これでは泣くのは難しいと思った。
堀北真希と松田龍平の泣く演技は非常にうまかったんだけどね…。
どこかに行って成長して帰ってくるという話は好きだし、役者はいいし、ロケ地もいいし、カメラマンもいい。なので、端折ったところをじっくり語って、あと25分長くして欲しかった。この映像のクォリティーなら、もっと長くても心地よく鑑賞できる。
堀北真希を鑑賞する映画としては、多分ベスト。これだけ堀北真希ばっかり、色々な姿で映りっぱなしの映画はあまりないのでは? 衝撃の妊婦姿もあるが、喪服がよかった。(By ガダルカナル・タカ)