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森羅万象 ~ 歩く印象派

梅雨いつまで?豪雨、冷夏で近畿の海ガラガラ 凶作も懸念

2009年07月30日 18時10分27秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
7月30日12時8分配信 産経新聞

 8月が目前というのに、近畿地方などで梅雨が明けない。気象庁によると、週末も天気はすっきりせず、近畿の梅雨明けは、最も遅い「8月1日ごろ」(平成15年)よりずれ込む可能性も出てきた。梅雨末期の集中豪雨で九州北部や山口県などで犠牲者が相次ぐ一方、8月は冷夏が予想されている。深刻な冷害に見舞われ、青森で稲作作況指数が「28」となるなど戦後最悪の凶作となった平成5年を思い、東日本を中心に早くも農作物への影響を心配する声もある。夏休みを迎えた海水浴場も閑散とした状態で、関係者の表情は「快晴」にはほど遠い。

■エルニーニョか

 大阪管区気象台などによると、今回の長梅雨は世界各地に異常気象をもたらすとされるエルニーニョ現象が一因という。この現象は南米・ペルー沖の太平洋赤道域の海水温が上昇する一方、インドネシア周辺の海水温が低くなるため、日本列島に暑さをもたらす太平洋高気圧の勢力が弱くなる。昭和57年に死者行方不明者299人を出した長崎大水害の時も発生していた。

 今回も太平洋高気圧の張り出しが弱い上に移動しないため、梅雨前線もほぼ同じ位置に停滞。九州北部など同じ場所で長時間にわたって大雨が降ったという。梅雨前線は少なくとも来月1日ごろまで停滞すると予想されている。

 近畿で「梅雨明け特定できず」となったのは平成5年。8月になっても雨が続いたためだ。気象台の担当者は「今年は未定」としながら「梅雨明けは夏本番をイメージするだけに、立秋(8月7日)を過ぎると梅雨明けも発表しにくい」と苦笑い。一方梅雨明けが発表された関東甲信地方でも天気はぐずつき気味だ。

■砂浜も閑散

 「スカッと晴れてくれないかなあ」。神戸市須磨区の須磨海水浴場では、関係者がやきもきしながら空を見上げる日が多くなった。

 例年、80万人以上が訪れる須磨海水浴場は今年、7月9日の海開き直後こそ人出が好調だったが、中旬以降は天気がぐずついて伸び悩み、28日までに計17万人。昨年同時期の約20万人を大きく下回った。

 特に25日は夏休みの土曜にかかわらず、雨模様だったため約1千人。海水浴場を管理運営する神戸市みなと振興部担当者は「砂浜も人影がパラパラだった」となげく。

■米騒動

 「平成の米騒動」。農業関係者の間で今も語り継がれるのが平成5年大凶作だ。小売店からコメが消え、農協の倉庫などからのコメ泥棒も続発。タイ米の緊急輸入などに追い込まれた。

 この年も九州から東北まで各地で「梅雨明け特定できず」となった。8月上旬は穂が出始める時期だが、5年は7~8月の最高気温が平年より最大5度低く、穂が十分実らなかったという。農水省によると、稲作の作況指数は全国平均が74。岩手が30、宮城が37など東北地方は軒並み50を割った。被害が少なかった西日本でも、滋賀で89の「著しい不良」だった。

 農水省は今夏、気象庁の冷夏予想を受けて各農政局を通じて日照不足や低温に対する技術指導の通達を出した。コメだけでなく、トマトなど夏野菜も日照不足による不作が懸念されるという。JA全農(東京)の担当者は「7月までの生育は順調だったので5年のようなことはないだろうが、コメにとって大事な時期。夏野菜も心配で、早く梅雨が明けて気温が上がってほしい」と気をもんでいる。