今日定期検診で来られた患者さんのレントゲン写真を見て、これはまずい、と驚きました。
このレントゲン、上下で2年半ほどの時間が経っています。
上が2年半前、下が今日です。
下顎の骨の中に親知らずが埋まっているのですが、その親知らずに黒い虫食い状態が認められていて、それが2年半経って広がって来ているのが明らかだからです。
こんな骨の中に埋まってるのに、どこから虫歯菌が感染して、こんな病変を作るのでしょう?
そして、どうしてたった2年半で広がってしまって来るのでしょう?
それは、実は親知らずは、骨に埋まっているようでいて手前の歯にぶつかっていて、その歯周ポケットから外界に交通している、と言うことなんです。
手前の歯の歯周ポケットから親知らずの周囲に感染路ができてしまっていて、それで親知らずに虫歯菌が取り付いて増えて行って、大きく成って来ている、と言うことです。
虫歯ができているのに痛まないのか?と患者さん方は、我々の説明に疑いの眼差しで聴かれる方がとても多いですが、このような部位にできる虫歯は外界からの刺激が殆ど加わらないので、痛くなることがないんです。
ですから、かなりの大きさ、骨の方の骨髄に感染が及び、そこで初めて痛覚神経刺激することになって痛みを覚えることになるんです。
かなりの大きさ、骨髄にまで及ぶ所まで、と言うのが大きな問題です。
そこまで大きな病気にならないと、患者さん自身では気付くことができない、そして大きな病変ですから、当然治すのも治るのも大変なことになるのです。
そして、これは患者さん達に知っておいて欲しい重要なことですが、レントゲンで見える黒い病変、病気の大きさは実際に病気が及んでいるのよりも小さくしか写らない、つまり本当の病気の大きさはもっと大きい、良くて2割増し、下手すると倍の大きさ、であるかも知れない、と言うことです。
なので、この患者さんの例ですが、私も骨への影響が不安なので大学病院に紹介させていただくことになるかも知れません、とお話しました。
で健康で、健口な人生を歩むためには、こう言う病変は小さいうちに処置するのが良いと私は思います。
上の段の状態でしたら、私の所の歯科用CT駆使して、何とか私の低侵襲手術で抜かせていただこう、と思って、その時に一所懸命やりましょう、と提案したのですが、虫歯とかの治療だけでさせていただけませんでした。
それが、たった2年半でここまで広がってしまい、これは骨への影響は?と不安になってしまう状況に到ってしまいました。
前の状況なら、私がと思っていたのですが、今回の状況ではどうしよう、になってしまったのです。
低侵襲手術で何とか出来る、と思える範囲内でしたら、私は全力を尽くし患者さんをお救いしようと頑張ります。
しかし、骨髄への影響とか、色々なことまで専門的に対処しないとまずいかも、となると、専門家にお願いするしかなくなります。
しかも、患者さんのお仕事の関係で、今現在お痛みもないと言うことで、先延ばしに又なってしまいました。
病気の進行状況として、いついきなり激痛が襲うかも知れない、危ない状況であることをお話して、なにか兆候があったら絶対に我慢しないで直ぐにご連絡いただけるようにお約束しました。
今回、このように変化、悪化して来ている、と言う状況を見付けられたのは幸いなことですから、油断しないで少しの変化にも直ぐに対処する、と決めて置いて下さい、と良くお願いしました。
そして、私が思ったことは、やはり親知らずの抜歯が大変である、と言うことが高いハードルとなってるから、より悪い状況になる、と言うことでした。
そこのハードルを低くすることができるなら、そこまで悪くならないうちに抜歯しようと思ってくれる患者さんはもっと増える筈です。
この患者さんのように、親知らずの抜歯、大臼歯の抜歯即時荷重インプラント、上顎の親知らずの抜歯と言う3つの手術をしても、ここまで腫らさない痛がらせない低侵襲な手術ができるなら、患者さんの抵抗感もかなり減ると思うのです。
実はこの患者さんも、手前の大臼歯の抜歯即時荷重した歯は、他の歯医者さんで抜いておこうか、と言う話も出ていたそうです。
しかし、申し訳ないのですが、二度手間になるので、私の方で抜歯して、病巣取って、その上で骨再生造成処置してインプラント植立、歯茎再生処置させていただいて、一気に治させて欲しい、とお願いした経緯があるんです。
正直に言ってしまいますが、他の歯医者さんでの抜歯後で、そこへのインプラント植立でお受けした時に、失礼ですが病巣の処置が甘い、と言うことを多数経験してしまっており、それで抜歯、病巣除去から私にさせて欲しい、と言うのがあるんです。
そこも、大きな問題で、抜歯後の病巣除去が、思いのほか徹底できてない、と考えるしかないことを、昔から何度も経験させられているんです。
だから、私は抜歯後の病巣除去には執念を燃やして、徹底的に追及することをしています。
そうしないと低侵襲で小さい術野でしかしないから、こんなチャンと治せないんだ、と言われかねないからです。
ちゃんと治す為には、すべきこと、しなければならないこと、をやらねばならないのです。
低侵襲でごく小さい手術でする、となるととても難しいことになりますが、それでも大きな手術をすることの苦痛を患者さんに与えてしまうことと比べれば、私は自分が苦労して何とかする方を取ります。
失礼な言い方になるかも知れませんが、大きく良く見える手術をする、と言う選択は、術者寄りの考え方である、と感じています。
私の考え方は、強拡大鏡でライト付けて良く見る、専用の危惧を取り揃えてチャンと見る、そしてしっかりと病巣を取り切る、つまり徹底した低侵襲をする、です。
その概念を実現している実例が、写真の患者さんです。
顔写真は翌日の炎症が最も出る時間、簡単に言うと腫れ痛みが一番出る筈の時の写真です。
しかし、私の手術の術後は、腫れてないし痛がらせてもいません。
これが理想的な低侵襲手術、です。
こう言う予後をお約束できるようになれば、最初のレントゲン写真の患者さんのような方は減る、と思います。
その夢の実現に向かって、私は一所懸命頑張ります。
これらの知識、技術を広める為、いつでも門戸は開いておりますから、有志の先生方是非お越し下さい。
夢の実現に向けて、一緒に頑張りましょう!