
発生した地震は、日本の酷暑の時期と重
なった。津波被害で長期の避難生活を余
儀なくされた場合、熱中症対策が課題と
なる。避難先となる全国の学校の体育館
のうち、冷房が整備されているのは2割。
災害時の環境改善の必要性はかねて指摘
されており、暑さへの備えが欠かせない。
最大1.3㍍の津波を観測した岩手県久慈市。
最高気温30.4度の真夏日となるなか、津
波警報の発令を受けて学校などを避難所
として開設したところ、一時579人が
身を寄せた。
本来避難先となる体育館に冷房設備がなかったため今回は空調が整う教室への誘導や保
冷剤の配布などで対応したといい、「暑さ対策が不十分な状況を再確認した」(担当者)。
市内の小中学校の体育館にエアコンはなく対策を講じる必要がるものの、財政的な事
情で今すぎに設置するのは難しいと明かす。 今回の地震を受け、”林官房長官”は3
1日の記者会見で、避難中に熱中症で11人が搬送されたと明らかにした。
5月時点の文部科学省の調査によると、避難所に指定されている公立小中学校の体育館
(柔道場や剣道場を含む)の冷房設置率は23.7%。 ほぼ8割は冷房が備えられていない。
都道府県別の設置率は、市区町村への補助制度を設ける東京都が92.6%。 次いで大阪
府が49.8%だった。 一方、岩手県と佐賀県は1%未満で、財政状況などを背景にば
らつきがみられた。 文科省は費用の半分を補助する交付金の制度を設け、空調の整
備を進めている。 だが毎年のように記録的な猛暑が続くなか、熱中症対策の遅れが
懸念される。
中京大の"松本教授(環境生理学)"は、冷房の設置率が高い普通教室の活用も検討すべきだ
と指摘。 「ミネラルウォーターが中心となっている避難所の備蓄を、塩分を含むス
ポーツ飲料に切り替えるといったきめ細かい対応も不可欠だ」と話している。