農業じゆう人

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全国に広がる寄席の楽屋裏

2019年05月25日 12時48分26秒 | 趣味
  日本の伝統話芸と呼ばれる落語は、実は長く「都市ローカル」の演芸だったそうだ。 
  落語家が出演する寄席を毎日運営するには、客となる人口が多いことが必要だからといわれてきた。
  戦後は東京にしかなかった寄席が、落語のブームと言われ始めた2000年代から、各地の100
   万都市に生まれ始めている。 「全国区」の演芸となるか? まずは木戸をくぐってみよう!
      
  ドンドンドントコイ! 神戸市兵庫区の神戸新開地喜楽館は、若手が入り口に立って客を呼び込む
   一番太鼓を打って始まる。 目の前のアーケード商店街では「喜楽館」と書かれた巨大な提灯や
   垂れ幕があっちこっちに・・。
  新開地は劇場や映画館が並ぶ神戸きっての歓楽街だったが、徐々に衰退し、演芸場は43年前に姿
   を消してしまったそうだ。
  転機は2014年。 大入りが続く大阪市北区の天満天神繁昌亭を運営する上方落語協会の“桂文枝
   会長(当時)”が「神戸あたりに上方落語の定席を」と発言した。
  新聞で知った商店街の若手が会長あてに手紙を送り、協議を始めたそうです。
  アンケートで可能性を探り、行政の支援や市民の寄付など約3億円で寄席を立て、商店主らでつく
   るNPO法人の運営で昨年7月開館したそうだ。
  繁昌亭とは電車で1時間。 「客を取り合うのでは」との懸念もあったが、今年1月末時点で一日
   平均115人と想定通りの入りという。

  昨年は寄席がもう一つ、仙台市青葉区にできた。 歓楽街の国分町近くにある魅知国(みちのく)
   席花座です。 繁昌亭にならい、スポンサー企業・個人の名入り提灯を並べて雰囲気を醸す。 
   月半分は主催公演の定席。 東京から来る落語芸術協会の落語家らをマンションに泊める。
   仙台出身の“サンドウィッチマン”が急にライブを開くほか、東北弁落語の“六華亭遊花”ら地元
   芸人も育ちつつある。 席亭の“白津さん”はイベント制作会社の社長。 10年から落語会を
   毎月開くと「回数を増やして」との要望が多くなり、定席に踏み切った。 意外と動員に貢献
   しているのは、仙台を本拠にするプロ野球の楽天イーグルスとみているそうだ。
   「生の臨場感やハプニングの面白さがわかってきたのでは・・」と。

  復活した寄席も。 名古屋市中区の大須演芸場は14年、当時の席亭による賃料滞納で約半世紀
   の歴史に一度は幕を下ろした。 耐震化工事を施し、新たに経営する一般社団法人を有志が立
   ち上げ、1年半後に再開場した。
   東西の落語家と地元芸人をまとめて見られる。 現支配人と縁のあった初代“林家三平師匠”の
   妻、“海老名香葉子さん”が最高顧問に就き、出演者を決めているそうだ。
   “橋本理事”は「伝統芸を発信する場を名古屋に残したい」と意気込んでいるそうです。

  新しい寄席は共通点がある。 定席は昼席のみで2~3時間。 出演者の当日変更は減速しない。
  最初から最後まで聴かせる落語会の形式は、客の入れ替わりを見込んでゆるさを残す東京の寄席
   とは対照的だ。 ただ、繁昌亭の“恩田支配人”のように「飛び入りで出演する人気者に立ち会
   えるのが寄席の醍醐味」という声もある。
  人の集まる寄席を経済の起爆剤に、との期待もある?  02年に開場した「横浜ぎわい座」は
   横浜市の公益財団法人が運営しています。 喜楽館は地域活性化の核施設として国の助成を受
   け、入場券による割引などで商店街と連携しています。
  また落語家(噺家)には安定した職場だ。 喜楽館の館長補佐を務める“桂三ノ助師匠”が「自分で
   企画する落語会は集客が大変」と明かすように、06年まで定席がなかった上方では歓迎の
   様子だという。

  寄席運営が難しいのは、客の入りが不安定なこと。 人気芸人は出演料の高いホール落語や独演
   会などを優先する。 東京では昭和中期までに寄席が相次ぎ閉じ、四つが残った。
   落語家の要望がきっかけで79年に国立演芸場ができました。一方、五代目“三遊亭圓楽師匠”
   が85年に建てた若竹は4年しか持たなかった。
   さらに動きが。 東京都北区では今年1月、NPO法人が住宅地で梶原いろは亭を始めた。
   昼席を週4回開き、継続を模索中。 本州を離れた札幌市では、中央区の狸小路商店街が中心
   となって13年から狸寄席を開いている有志が、常設演芸場をつくろうと取り組んでいる。
   今年は公演回数を倍増し、一般社団法人化して足元を固める。 “福井副代表”は「『何でやっ
   てるの?』と言われるけど、考えるだけで面白いですよね」。

  落語家は東西合わせて900人に迫り、東京大阪にとどまらず交通の便利な地方での公演が盛ん
   な現在、落語家のいない土地の定席は可能性がある。 
   横浜にぎわい座の“布目チーフプロデューサー”は「土地に合ったやり方があると思う」と。
   運営の成功例ができると、さらに広がるのではないだろうか・・落語ファンとしては楽しみ!

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