良い音を求めて行くと「伝送ロスの極少化」と「音変換率の向上」の二つに集約されると考えています。
この事は私が考え付いた訳では有りません。オーディオと悪戦苦闘した先輩達が書き残した文章を読んで「共感」したからに他なりません。実際に自分で格闘してその事を実感し共感したのです。
「伝送ロス」の件は「一本のケーブル」の思想に相通じる部分だと思います。おなじCDPのラインOUTのケーブルを交換するだけで「情報量」の変化を感じる事は皆さんもご存じの事でしょう。ここでは「良いケーブル・悪いケーブル」の類の判断がされ、おそらく「情報量の多い」ケーブルが生き残る事でしょう。これが両極端の差の有るケーブルで有れば誰でも簡単に聴き分け出来ます。
ではこの「差」は何なのでしょう? これこそが「伝送ロス」の存在を知るきっかけになります。そのキーワードは「インピーダンス」(抵抗値)だと推測しています。実際に同じ長さのラインケーブルを作り、(材料を替えて抵抗値を違わせる・・・同じケーブルで長さを変える方法は判定を困難にし易い)それぞれの音を聴き比べて採点する事です。(官能検査)
一本のケーブルには ①ケーブル材 ②プラグ材 ③半田材等 の材料が使われており、それらも比較対象の一つで有る事を肝に銘じておくべきです。トータルとしてそのケーブルの位置づけをしないといけません。
もう一つの大きな柱「音変換ロス」についてはあまり語られていません。40年前、オーディオを始めた時に「オーケストラを聴くならオーケストラの各楽器の音を良く再現できるユニットをオーケストラの人数の分だけ並べる事が必要ではないか?」と思いました。ど素人が単純に考えた事が「真理」を付いていたのかもしれません。
現在SPはメーカー製が殆どになってしまいましたが、40年以上前は「良い音を求めるなら自分で作る」事が必要でした。同じ挑戦をしてもメーカーに遠く及ばない方もいれば、メーカーも唖然とするようなサウンドを出しておられる方もいました。各自の知識と努力の結果だと思います。その頃はパーツとしてユニットも各社から出ていましたので、やり易かったと思います。現在ではユニットで購入される方、自作される方が少なくなったのであまり見かけなくなって来ました。
現在出来るのは「ビンテージユニット」を集めて自作する事でしょう。この自作をしている過程で「音変換ロス」を確認しました。
メーカー製では、例えば3ウェイのSPなら低域・中域・高域の各帯域1個のユニットで構成されているのが一般的です。なぜ1個で十分なのでしょう? 単純にコスト的な所から来ていると推測され「本当に必要な個数」とは違うと思います。実際に「音数」を意識しながらSPを組んで行きますと1帯域を1個のユニットではまかなえません。
SPユニットにはコーン型、ホーン型、ドーム型、コンデンサー型、リボン型等の方式の違いが有りますし、音の質やその音の帯域、音の出方も違います。でもそれは「それだけ音の種類が有る」訳で、1種類や2種類のユニットでは作れない音が有る訳です。
理想としては全てのユニットの方式を一緒に鳴らしてやれれば最高と思いますが、ここでは「位相」を考えて組み合わせをすると効果的になると思います。私の装置ではケーブルとユニットに「オンの音とオフの音」(位相が異なる)を組み合わせる事をしています。
基本にすべきは「自然の音」で有り、尺度として使いたいと思います。まだまだこの先は長いと思います。