遊戯(ゆげ)

世の中は、なるようになるわ。
あきらめないで、悠然と生きる事を楽しむ・・・・
それが遊戯(ゆげ)の心です。

尾瀬に死す

2014-01-12 | Weblog
土曜日 朝8時からのお楽しみ。
NHKラジオ 「耳で聞く短編小説」

作:藤原 新也  「尾瀬に死す」

『私は、中学校時代の親友の一人・倉本洋司から一通の手紙を受け取る。
そこには、倉本が妻殺しの容疑をかけられ、現在、裁判中であることが書かれていた
倉本はガンで余命4か月の妻・芳子とともに尾瀬を訪ねたが、その際、芳子は容体が
急速に悪化して死亡した。倉本は殺人の容疑をかけられた。
長い裁判の末、倉本は無罪を勝ち取るのだが、芳子はどのようにして死んだのか。
人はどのようにして自らの死と向き合うのか…。』 


 語り:清水 紀雄


         ★ 昨日録音したものを何度も聴き返しています。
           死に向き合う時、人はどのように死ぬのか。

『・・・・・・倉本は、妻の懇願により思い出の尾瀬に最後の旅に出たのだが、
思いがけなく妻が死んでしまう。しかし。覚悟の自殺だったと後で知ることになる。
しかし、どのように死んだのか わからないためいつまでも気持ちが残っている。
友人の私に 無罪が確定後会いに来て、心情を吐露する。

私は、自分の母の臨終の事を話す。

死に直面している母を前に、気がかりを一つずつ消していった。
母は、もう口もきけないのだが、なにか言いたい様子。
私は母の口元に耳を近づけ・・・
お父さんは、我々子どもが面倒見るから大丈夫だよ。
水道は、業者に直してもらうからね。
今朝買ってきたメバルは 後で食べるからね。
洗濯物は もう取り入れたから。
などなど、気がかりと思えるものをみな囁いてやった。
だから、もう伯母(以前に亡くなった母の姉)のところへ行ってもいいよ。

すると母が 突然「水が欲しい」という。
水を上げるとおいしそうに飲み込みにっこり笑ったとき、心臓が・・・
医師が、「ご臨終です」といった。


人は、死に直面すると、気がかりを一つずつ消していくんですよ。
私の母は自殺だと思います。


倉本は、妻が、尾瀬の湿原で、満足そうに 水筒の水を飲んだのを思い出した。』




                 ★この話は 実に胸に迫る話だと思いました。

                  なんか実感として胸に落ちるのです。









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2 コメント

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尾瀬に死すについて (のざわ)
2014-01-20 11:54:00
遊戯さん、はじめまして。
ラジオ文芸館「尾瀬に死す」のネット検索で
あなたのブログにたどり着きました。
録音したものを何度か聞き直しされたそうですね。
さすがに正確に物語を再現されていると思いました。
私もブログに感想やあらすじを載せました。
文学作品は味わう者の個性が感想にも表れ、それぞれ
なるほどと感心したり、勉強になったりします。
読ませていただき、ありがとうございました。
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Unknown (遊戯(ゆげ))
2014-01-20 13:13:45
のざわさん、コメントありがとうございます。ラジオ文藝館を毎週楽しみにしています。短編に、胸が締め付けられることもしばしばです。人というのは自分の置かれている状況に大きく左右されるものですね。昨年、親しい方がお亡くなりになったので、「尾瀬に死す」は、ことさら、胸に響きました。死に直面すると、一つずつ、気がかりをはがしていくと言うのは実感です。
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