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eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

資本主義が経験をしたことがない世界

2011-08-11 23:19:18 | 読書/新聞/映画など
資本主義は、主要国の財政があいついで破綻するような局面を経験したことがない。

資本主義は、国家を武器として活用してきた。便利な道具とも言っていい。

国民経済をなりたたせるために、貿易の制限もおこなった。社会的な矛盾を緩和するために、さまざまな社会福祉政策も実行してきた。産業構造の転換にも国家の力を活用してきた。他の主要な資本主義国と武力で争うこともあった。アメリカこそ、その武力を最大に活用して、第二次世界大戦後の世界経済の編成の主導権をにぎってきた。

資本主義にとって、国家はなくてはならないものであった。

しかし、資本主義の矛盾と危機は、国家を破綻させつつある。こんなことは、資本主義は一度も経験していない。

2008年の金融危機において、「100年に一度」の深刻な経済危機ともいわれた。80年前の1929年大恐慌との比較があったのだ。

しかし、「100年に一度」ではないことが次第に明らかになっている。資本主義は、現在進行中のような経済危機をかつて経験したことはないのだ。国家の総力をあげても、中央銀行が死力をつくしても、噴出する危機に対応できず、国家財政が破綻にひんし中央銀行が疲弊し始めている。

国家財政の破綻がいかなる深刻な経済危機をもたらそうとも、もはや、それを救うための国家の本格的な経済活動はないのだ。

たぶん、経験したことがないほどの激烈な世界経済の再編が進行するのだろう。武力をつかわなくとも、ヘゲモニーのすさまじい移行があるのだろう。国家財政がまだまだ健全な新興国が主導権をとっていくのだろう。しかし、それはすべての国を巻き込んだ世界的な恐慌のなかで進展する。

全体のプロセスは、10年以上にわたるにちがいない。1929年恐慌からの再生は、第二次世界大戦の廃墟からの復興というプロセスをとった。実に15年以上の時間の経過をへて。

実際のところ、資本主義がかつて経験をしたことがない歴史的な破綻に直面するときになにがおきるのか、だれにも予測しきれない。