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eラーニングの現状と展望

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エンデの『モモ』読みました

2008-05-11 22:02:22 | 読書/新聞/映画など
ミヒャエル・エンデの『モモ』を読み終わりました。 世界の大ベストセラーで、日本でも読んだことがある人は多いと思います。

恋人たちにまじって、上海の人民広場の公園のベンチで。少し寒かった。

時間泥棒の話です。時間をうばわれた人たちは、どんどんいそがしくなり、お互いの会話や子どもたちとのコミュニケーションもなくなっていく、あげくのはてには、子どもたちをひとまとめにして管理する。

Time is Money. 昔、予備校の教師が言っていました。時間は貴重だと訳してはいけない。「時は金なり」だと。時間は利子を生む。時間は金なのだというのが本当の意味だと。

利子。エンデは、この仕組みに注目します。そして、この社会システムは、たえず成長を前提にし、また、未来を犠牲にしていると。『モモ』の中では直接的にはふれられていませんが、時間とは社会システムなのだという考えが基礎にあると思われます。

いかに、自分の時間を取り戻すのか。

ちょっと悲しいのは、この本で、時間をうばわれた人たちに自分で取り戻す力がないことです。主体性も奪われている。取り戻したのは、『モモ』という小さな女の子の力によってです。あるいは、取り戻す力を子どもに託したのかもしれません。

八丈島に似た架空の島を舞台にした小説『エンデの島』からはじまって、NHKスペシャルの『エンデの遺言』、続編の『エンデの警鐘』と読んできました。

エンデは、お金に二通りあるという。パンや野菜を買うお金と投資するお金と。そうですね、生活の消費につかう資金と生産にもちいる資本はまったくちがうものです。

利子とはなんだろうか。資本とはなんだろうか。

マルクスは、『資本論』のなかで、「資本とは人間関係である」と言っています。つまり、利子も資本も社会システムなのです。

そして、効率を最優先基準とするとき、時間さえも社会システムです。

それがエンデの考えです。

日本人の奥さんをもつエンデの物語に、ふと日本を感じる部分もあります。

いま、読み終わってすぐに、もう一度、はじめから読み直しています。