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初期の国産メダルゲーム機(5) ユニバーサル その1・沿革

2018年04月22日 17時30分04秒 | 初期の国産メダルゲーム機

ユニバーサルは、タイトーと並び、日本にメダルゲームという市場が誕生した早い時期からメダルゲーム機の開発を始めていました。この二社は、セガによって国産初のメダルゲーム機が発売された1974年の翌年から、オリジナルのメダルゲームの発売を始めています。今回は、そのうちのひとつであるユニバーサルについて記録するつもりだったのですが、本題に入る前に一つ、気になる案件を片付けておきたいと思います。

ユニバーサル」は、支配体制が変わったというわけでもなさそうなのに、これまでに何度か社名を変更しています。特に若い人には「アルゼ」と呼んだ方が通りが良いかもしれません。そのアルゼは、現在は「ユニバーサル・エンターテインメント」に社名変更されていますが、ラスベガスで行われるGlobal Gaming Expo(G2E)では未だに「アルゼ」のブランドで出展しており、何がどうなっているのかよくわかりません。


G2Eショウ2017におけるアルゼのブース。でかでかと「ARUZE」と掲げられている。

というわけでワタシは大きく混乱をきたしているので、この機会に整理しておこうと思いたって、現在の「ユニバーサルエンターテインメント株式会社」のウェブサイトから沿革を調べてみました。

◆ユニバーサルの沿革
 (ユニバーサルエンターテインメント公式ウェブサイトより抜粋のうえ要約)
1969年12月 ユニバーサルリース株式会社設立。ジュークボックスのリースを行う
1970年10月 遊技機の製造を開始
1971年10月 社名を「株式会社ユニバーサル」に変更
1973年06月 販売部門を「ユニバーサル技研株式会社として分離独立
1975年05月 「ユニバーサル技研」を「ユニバーサル販売株式会社」に社名を変更
         栃木県小山市に工場建設、各種ゲームマシンの製造を開始
1979年12月 開発部門が分離独立(→ユニバーサルテクノス株式会社)
1980年03月 パチスロの開発に進出
1988年04月 鳥取県に工場を取得しAM機の生産を開始
1993年04月 株式会社ユニバーサルユニバーサル販売株式会社が合併
1998年04月 ユニバーサルテクノス株式会社とユニバーサル販売株式会社を合併して
アルゼ株式会社」に社名変更(←1993年の合併後の社名は「ユニバーサル販売」だった?)
2000年10月 ARUZE USAの株式取得
2004年06月 2年間の期限付きでネバダ州のゲーミング機器メーカーライセンス取得
2005年03月 ネバダ州よりWynn Resortsの株主として適格と承認される
2006年07月 ネバダ州のメーカーライセンスが無期限となる
2009年11月 「株式会社ユニバーサルエンターテインメント」に社名変更


ユニバーサルの社名の変遷図。おそらくはここに出ていない関連会社も(特に海外で)あるのではないかと思う。

G2Eに出展しているアルゼは、正しくは「Aruze Gaming America」社というようなのですが、この沿革にはその記述がありません。わずかに、「ARUZE USAの株式取得」とあるだけです。しかしながら、実態はユニバーサルの関連会社であることは間違いないので、とにかく、拙ブログにおいては、「ユニバーサル」と言った場合は、特に注意が無い限り、アルゼも過去の社名も、あるいは関連会社も全部ひっくるめた名称ということにいたします。

これもやはり沿革には書かれていませんが、ユニバーサルは1980年代からカジノ向けスロットマシンを開発しており、この時に、ユニバーサルのGary HarrisとRandy Adamsという二人の米国人技術者によってリールマシンに「ステッパーモーター」が導入されました。これは、1964年にバーリーがリールマシンに起こした革命(関連記事:米国「Bally(バーリー)」社に関する思い付き話(2))以来のスロットマシンの大革命となりました。このころのユニバーサルのスロットマシンは、もしかすると今でもラスベガスのダウンタウンにある「エル・コルテス」というカジノに設置されているかもしれません。しかし、当時のユニバーサルは、ある件で業界を揺るがす大事件を起こしてしまい、その後業界を追われていたようなのです。現在、ラスベガスのG2Eショウに、「ユニバーサル」ではなく「Aruze Gaming America」として出展しているのは、ひょっとして「ユニバーサル」の名前では出てきにくくなっているからかも、などと勝手に想像しています。

いい加減長くなってきてしまいました。今回は前置きとしてここまでにして、次回、いよいよ本題に移りたいと思います。と言ってもそれほど多くの事が語れるわけではないんですけれども。

(つづく)


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