山田太一さん「異人たちとの夏」の二度目の映画化。
アンドリュー・ヘイ監督。主演はアンドリュー・スコット氏。
舞台はロンドン、主人公が同性愛者の男性という設定になったが、
そうするとドミノのようにぱたぱたとあらすじの意味合いが変わって、
おおー、という感じでした。
脚本家の主人公は仕事に追われて暮らしていたが
ふと気が向いて子供のころに住んでいた町を訪れると
そこに父がいて…というあらすじ。
30年前の人間の同性愛に対する偏見発言あり。
家族へのカミングアウト描写あり。
ラストまでばれ
日本の幽霊話の体裁の大林宣彦監督版が好きです。
抒情的に撮られている両親のパートも、
まあ言ってしまえばミスディレクションで、
でもだからこそ美しいような。
名取裕子さん演じる女の苦悩も投げっぱなしで
ただ哀れで綺麗な女なんですよね。残酷なんですが好きです。
この映画はもっとこう、
登場人物の心に細やかに寄り添っています。
自分が同性愛者であると告白できなかった、
その後悔を現代で解消するわけです。
勿論両親は30年前の人間なので、
差別的な言葉がどんどん出る。
苦しいけど、でもそれでも愛しているので
泣いて泣いて、ハグして、一緒に居る。
代償としてゴーストストーリーの部分は霞んだけども。
冒頭、ハッピーエンドにならんかな?
と思っていたら早々にハリーが来て
「これはだめだ…」と思ったが、案外駄目じゃなかった。
原作では死者と一緒に居ると生者はどんどん衰弱していくので
それで両親はもう会わないよって言うんですけど
この映画では「あなたが前に進めないから」とかそういう理由になって、
なぜ?と思ったらあのラストのためかー!
でも明らかに主人公体調が悪くなってたよね…?
あとお母さんが、「いつまで会えるかは
自分たちでは決められない」とも言ってたのでそれを考えると
まあまあのメリーバッドエンドではないかと思います。
・大林監督版だと「なんてひどいやつだ!お前が悪い!」
という感じでしたが、今回は「うん…まあ仕方ないよね…。
防犯的見地から断るよね…君は悪くないよアダム」と思った。
・お父さん役はジェイミー・ベル氏。
お父さんっぽさを出そうとして成功していたような気がする。
・ゲイとクィアにそんなニュアンスの違いが…。
・「お前が同級生だったらいじめてた」って言葉を聞いて
それでもなお父親を愛せるのは結構すごい。
あと英国のいじめ、本格的。
・狂犬病、なくなってないよ!?英国が清浄国なだけだよ。
・ロンドンダンジョンが「ロンドン塔」と訳されていたが
知名度を鑑みてだろうか。英国残酷史ホラー見世物小屋。
現在は移転してテーマパークみたいになってるそう。