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「マイケル・ムーアの世界征服のススメ」

2016年06月01日 | 考察映画

第二次大戦以降戦争に勝てなくなってしまったアメリカの陸海空軍のトップから、
アメリカを何とかしてほしいという依頼を受けた(この部分は捏造ジョーク)マイケル・ムーア監督が
世界の国々を回って、アメリカに役立つものを略奪しまくるという体裁のドキュメンタリー映画。

イタリアの労働時間、フランスの豊かな学校給食、世界一の学力を誇るフィンランドの教育、
スロベニアの学費無料の大学、ドイツの労働環境、ポルトガルの麻薬合法化、
ノルウェーの快適な刑務所、チュニジアの女性権利獲得の戦い、
アイスランドの完全男女平等、などコンセプトの割に結構真面目です。

イタリアには土日祝以外に通常8週間の有給休暇がつくらしく、
「アメリカには基本的に有給制度はないんだよ」って言われた時の
「何を言ってるのか理解できない」という感じのイタリア人の目が印象的でした。
あと、フランスの給食はコース仕立てになっていて、
日本のレストランだと2000円くらいかな?って感じの豪華な内容なんですが、
同じようにアメリカの給食の写真を見せられたフランスの子供たちが
「オエー!気持ち悪い!」って顔してたのも面白かった。

今回いつものあの痛烈な皮肉やジョークが少なくなって、
しかも作品全体的に対象を糾弾するものではなく、
希望のある内容だったので、
何か心境の変化がおありになったのか、
それとも世界全体的に色々やばいので、
逆に気持ちを上げるような作品を撮られたのか、
どうなんだろうって思いました。

内容ばれ

優れた点の挙がっている国々には深刻な問題もあると思うんですが、
まあとりあえずそのへんには触れられていません。
(あと優れた点として挙がっている、再犯率の少ないノルウェーの刑罰制度、
犯罪者は適切でない環境でそうなっただけで、正しく教育もしくは治療すれば
必ず正常な集団生活が営めるという性善説に基いたもので、
私はあまり賛同できない。私が被害者または被害者の親しい者なら
犯人に更生など望まないし劣悪な環境で暮らしてほしい。
それがダメでも、罪人の快適な生活のために税金を使わないでほしい)
(世界史上、単独犯最高殺人数の「ノルウェー連続テロ事件」の
被害者の父親のインタビューが映画内にあって「犯人のレベルまで下りて
復讐などしたくない」という回答が入っている。そのあたり周到だなと思う)

監督はベルリンの壁崩壊や、マンデラ大統領誕生などに影響を受けた世代で、
その経験を踏まえて「世界は変わる」と断言します。
なんとなくアメリカのバーカ!バ-カ!で終わると思っていたのでびっくりした(笑)


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