ちょい不良ゴーシュの豪酒録

何年やってもビギナーチェリストの日記

ホール・イン・ワン

2010年07月14日 20時13分06秒 | 卒研生あれこれ
ゴルフの話ではありません.
NMR(核磁気共鳴装置)の話デス.

NMRは有機合成では必須アイテム.
スペクトルを測定するには,まず,ローターをサンプル・チューブに装着する.
これを,磁石にはさまれたプローブのなかに入れる(↓).



うちの装置の場合,サンプルをこの穴の中に挿入する(↓).
プローブは,深い穴の底にあるのだ.



プローブ内の磁場に置かれた有機化合物は,ラジオ波を吸収して共鳴する.
つまり,磁場の中で分子は踊る.
分子のダンスを記録して,化合物の形を見るのデス.

通常,ローターはサンプル・チューブをはさんでいる.
だから,NMRの測定終了後,穴の底から空気を噴射すれば,サンプルは押されてプローブから取り出すことができる.

でも,今日,ラボの卒研生は,うっかりローターだけをプローブの穴へ落としてしまった.
ローターをプローブの穴へホール・イン・ワン.
ローターは中央に穴が開いているので,これを筒に落とすと,下から圧搾空気を噴射しても,筒から飛び出さない.



下手人は「隣でかわいいギャルが,変な実験やっていたので,気になってしまった.」と言った.
「かわいいギャル」が気になったのか,「変な実験」が気になったのか?
どちらが気になったのか,興味はあったけれど,あえて追求しないのが大人の対応?

とりあえず,長い棒の先にガムテープを貼り付けて,プローブの穴の中へ挿入.



底に落ちたローターをガムテープにくっつけて,なんとか無事回収した.



ハイテク・マシンのトラブルにしては,原始的な対応.
でも,これが一番シンプルで安全なやり方.

横で見ていたボスは,あんたはやることが大胆.
当たればデカイけれど,失敗すると悲惨!
と,誉めているのか,けなしているのか,分からないコメント.

NMRのホール・イン・ワンは,ゴルフよりも起こる確率が高いかも?
みんな一度は経験するドジなのデス.