「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

紅葉狩ただこの山に逢いたくて 大友順子 「滝」12月号<滝集>

2014-12-31 04:03:35 | 日記
 鮮やかな赤や黄色が満載の紅葉を視界いっぱいに映して景
色に浸っている。車の渋滞も足腰の痛みもなかったことにし
てしまう程の美しさに、只々この山に来たかった理由が改め
て分かった。そんな感激が良く伝わって来る句です。(H)

秋澄めり昭和の記憶コッペパン 梅森 翔 「滝」12月号<滝集>

2014-12-30 04:48:16 | 日記
 戦中、戦後、物のない時に育った人達には、昭和の記憶コ
ッペパンは偉大である。他に、脱脂粉乳、甘くないさつま芋、
おいしくない南瓜、麦が米より多いご飯など食べ物の思い出
が多い。コッペパンと脱脂粉乳は学校給食に出た。甘い物に
飢え、いつもお腹を空かしていた。現在の飽食時代太りすぎ
て、いかに苦労せずに痩せられるか悩んでいる人が多い。
あの頃を懐かしむと本当に昭和は遠くなりました。(鈴木弘子)

菊人形悲しき歴史美しく 加藤信子 「滝」12月号<滝集>

2014-12-29 04:28:23 | 日記
 菊細工で衣裳を飾った人形は毎年テレビドラマを題材にし
た物が多い。それも過去の歴史上人物にスポットをあてた悲
壮な物語、それは美しくて悲しい。今年の題材は軍師官兵衛
から取ったものでしょうか。戦で明け暮れた戦国時代は子供
も女も渦中にいて、つらかったと思います。
 菊人形展が開かれている間、菊の花の着せ替えやこまやか
な手入れが必要で、女性の菊師が多いと聞いている。秋の風
物詩として、菊人形展はいつまでも続けてほしいものです。
(鈴木弘子)

開演のベルのつまづき萩の花 鈴木清子 「滝」12月号<滝集>

2014-12-28 04:09:42 | 日記
 時計を見ながら、開演を今か今かと待ちわびている様子、
音楽会か演劇かわからないが、大勢の人が開演を待ち望んで
いる様子がよくわかる。その時、開演ベルがつまづくとは緊
張をほぐし、おかしみを醸し出しユーモアがあって、楽しい
句です。萩の乱れ咲きが似合っています。(鈴木弘子)

佐渡おけさ流れて柿の色づけり 早川のり子 「滝」12月号<滝集>

2014-12-27 04:09:52 | 日記
 ♪ハアー佐渡へ佐渡へと草木もなびくヨ♪で始まる佐渡お
けさ。佐渡島には「おけさ柿」という柿があり名産品の一つ。
何となく、日本海の暗さと島流しが結びつき暗いイメージが
付きまとうこの島を払拭するような柿の実の明るさがとても
いい。調べて見てば、山の奥深くまで続く柿畑の柿色の美し
さは、それはそれは見事だそうです。(H)