三陸の海をさまよふ紅椿 中川浩子 「滝」7月号〈滝集〉 2011-07-31 19:14:34 | 日記 気仙沼の大島は椿の島。あの日、真っ赤に咲きそろった椿 はその意志とはうらはらにうねる波間に落ちていったろう。 その数は計り知れない。わたしを探して!。声をあげても届 かない。(小林邦子)
片づかぬ胸中つばめ来たりけり 渡辺登美子 「滝」7月号<滝集> 2011-07-31 12:26:00 | 日記 石巻にお住まいの作者は津波に襲われ六日後に救出された。 「俳句四季」八月号掲載の体験談には「多くの知人を失った」。 と書かれてある。「片づかぬ胸中」の中に込められた心情は 想像に余りある。巣をつくる軒を失った燕もまた困惑の中に いる。(H)
石楠花の溶けたる雲のありにけり 池添怜子 「滝」7月号〈滝集〉 2011-07-30 22:41:00 | 日記 石楠花の赤やピンクが溶け出して染まった雲。うっとり見 上げる空。江間章子の「夏の思い出」は石楠花色に黄昏れる 空だが、思わずハミングしてしまった作者。その日は晩のお かずが1品増えたかな?(小林邦子)
万緑や研究室のリトマス紙 菅原 祥 「滝」7月号<滝集> 2011-07-30 20:01:51 | 日記 万緑という生命感溢れる大景から、手元のリトマス紙に視 点が絞られ、何と言ってもリトマス紙が懐かしい。しかし、 理科教室ではなく研究室である。緑・赤・青の、光の三原色 からしか得られない白が、白衣にも思え、研究室にひるがえ る。(H)
葉桜や能狂言の高笑ひ 佐藤珱子 「滝」7月号〈滝集〉 2011-07-29 20:12:31 | 日記 仙台でも狂言の舞台は毎年のように観られる。多分は野村 万作の和泉流だが、高笑いという観点からすれば、大蔵流の 茂山千作の笑いはまさに高笑。葉桜の葉のそよぎも爽やかの 一語に尽きるのではないか。(K)